投資者保護基金に関する命令 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)及び金融システム改革のための関係法律の整備等に関する法律(平成十年法律第百七号)の規定に基づき、並びに証券取引法を実施するため、投資者保護基金に関する省令を次のように定める。 (顧客資産となる財産) 第一条 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号。以下「法」という。)第七十九条の二十第三項第二号に規定する内閣府令・財務省令で定めるものは、法第百十九条の規定により金融商品取引業者(法第七十九条の二十第一項に規定する金融商品取引業者をいう。以下同じ。)が一般顧客(法第七十九条の二十第一項に規定する一般顧客をいう。以下同じ。)から預託を受けた金銭、有価証券(法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう。以下同じ。)又は倉荷証券とする。 (認可申請書の添付書類等) 第一条の二 法第七十九条の三十第二項に規定する内閣府令・財務省令で定める書類は、役員の履歴書及び住民票の抄本(本籍の記載のあるものに限る。)又はこれに代わる書面並びに役員が法第二十九条の四第一項第二号イからリまでのいずれにも該当しない者であることを当該役員が誓約する書面とする。 2 内閣総理大臣及び財務大臣は、法第七十九条の三十一第一項の審査を行うために必要があると認める場合には、発起人に対し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。 (認可申請書の提出先) 第一条の三 法第七十九条の三十第一項の規定による認可を受けようとする者は、金融庁長官を経由して、内閣総理大臣に認可申請書を提出しなければならない。 (基金の業務範囲を限定する旨を定める定款に関する事項) 第一条の四 法第七十九条の四十九第二項に規定する対象有価証券関連取引に関するものとして内閣府令・財務省令で定める顧客資産は、金融商品取引法施行令(昭和四十年政令第三百二十一号。次項において「令」という。)第十八条の七第一号に規定する一般顧客の計算に属する金銭若しくは有価証券又は金融商品取引業者が一般顧客から預託を受けた金銭若しくは有価証券とする。 2 法第七十九条の四十九第四項に規定する対象商品デリバティブ取引関連取引に関するものとして内閣府令・財務省令で定める顧客資産は、令第十八条の七第二号に規定する一般顧客の計算に属する金銭若しくは有価証券又は金融商品取引業者が一般顧客から預託を受けた金銭若しくは有価証券及び同条第三号に規定する一般顧客の計算に属する商品又は金融商品取引業者が一般顧客から預託を受けた商品とする。 (業務規程の記載事項) 第二条 法第七十九条の五十一第一項に規定する内閣府令・財務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。 一 法第七十九条の五十七第四項の規定による補償対象債権(法第七十九条の五十六第一項に規定する補償対象債権をいう。以下同じ。)の取得に関する事項 二 法第七十九条の五十九第一項の規定による資金の貸付けに関する事項 三 法第七十九条の六十に規定する裁判上又は裁判外の行為に関する事項 四 法第七十九条の六十一に規定する顧客資産の迅速な返還に資するための業務に関する事項 五 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)第四章第五節、第五章第三節及び第六章第三節の規定による顧客表の提出その他これらの規定による業務の方法 六 法第七十九条の五十第一項の規定による業務の委託に関する事項 七 破産法(平成十六年法律第七十五号)の規定により選任される破産管財人、保全管理人、破産管財人代理若しくは保全管理人代理、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の規定により選任される監督委員、管財人、保全管理人、管財人代理若しくは保全管理人代理、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の規定により選任される管財人、管財人代理、保全管理人、保全管理人代理若しくは監督委員又は外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)の規定により選任される承認管財人、保全管理人、承認管財人代理若しくは保全管理人代理の業務に関する事項 八 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第百二十六条の四第三項に規定する特別監視代行者の業務に関する事項 九 預金保険法第百二十六条の六第一項に規定する機構代理の業務に関する事項 十 その他必要と認める事項 (補償対象債権の評価方法) 第三条 法第七十九条の五十六第一項に規定する内閣府令・財務省令で定めるところにより算出した金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。 一 補償対象債権に係る顧客資産(法第七十九条の二十第三項に規定する顧客資産をいう。以下同じ。)が金銭である場合 当該顧客資産の金額 二 補償対象債権に係る顧客資産が金融商品取引所(法第二条第十六項に規定する金融商品取引所をいい、外国において設立されている類似の性質を有するものを含む。以下この号及び第四条の二第一項第一号において同じ。)に上場されている有価証券である場合 投資者保護基金(以下「基金」という。)が法第七十九条の五十五第一項の規定による公告をした日の当該金融商品取引所における最終価格(当該最終価格がないときは、認可金融商品取引業協会(法第二条第十三項に規定する認可金融商品取引業協会をいう。次号及び第四条の二第一項第二号において同じ。)が発表する当該公告をした日の気配相場又はその日前における直近の日の当該金融商品取引所における最終価格のうち、基金が指定するもの。第四条の二第一項第一号において同じ。)に基づき算出した金額 三 補償対象債権に係る顧客資産が店頭売買有価証券(法第二条第八項第十号ハに規定する店頭売買有価証券をいう。以下この号及び第四条の二第一項第二号において同じ。)である場合 基金が法第七十九条の五十五第一項の規定による公告をした日の当該補償対象債権に係る店頭売買有価証券を登録する認可金融商品取引業協会(当該店頭売買有価証券が二以上の認可金融商品取引業協会に登録されているときは、基金が指定する認可金融商品取引業協会とする。以下この号及び第四条の二第一項第二号において同じ。)が公表する最終価格(当該最終価格がないときは、その日前における直近の日に認可金融商品取引業協会が公表した最終価格。第四条の二第一項第二号において同じ。)に基づき算出した金額 四 補償対象債権に係る顧客資産が前三号に規定する金銭及び有価証券以外の財産である場合 基金が法第七十九条の五十五第一項の規定による公告をした日の公表されている最終価格のうち公正な価格として基金が認めるものに基づき算出した金額又はこれに準ずるものとして合理的な方法により算出した金額 2 法第百五十六条の二十四第一項に規定する信用取引に係る有価証券の売付代金である金銭であって、当該信用取引に際して金融商品取引業者が顧客に供与した信用に係る債権の担保として提供されている金銭の額については、前項第一号に規定する顧客資産の金額の算出に当たっては、控除するものとする。 (担保権の目的として提供している顧客資産に係る評価額) 第四条 法第七十九条の五十七第一項第一号に規定する内閣府令・財務省令で定めるところにより評価した金額は、前条第一項各号に定める金額のうち担保権の目的として提供している部分に係る金額とする。 (重複補償対象債権に相当する顧客資産の評価金額等) 第四条の二 法第七十九条の五十七第一項第三号に規定する内閣府令・財務省令で定めるところにより評価した金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。 一 補償対象債権に係る顧客資産のうちに社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十条第一項に規定する補償対象債権を有する場合における当該補償対象債権(以下この条において「重複補償対象債権」という。)に相当する顧客資産が金融商品取引所に上場されている有価証券である場合 基金が法第七十九条の五十五第一項の規定による公告をした日の当該金融商品取引所における最終価格に基づき算出した金額 二 重複補償対象債権に相当する顧客資産が店頭売買有価証券である場合 基金が法第七十九条の五十五第一項の規定による公告をした日の当該重複補償対象債権に係る店頭売買有価証券を登録する認可金融商品取引業協会が公表する最終価格に基づき算出した金額 三 重複補償対象債権に相当する顧客資産が前二号に規定する有価証券以外の有価証券である場合 基金が法第七十九条の五十五第一項の規定による公告をした日の公表されている最終価格のうち公正な価格として基金が認めるものに基づき算出した金額又はこれに準ずるものとして合理的な方法により算出した金額 2 基金は、法第七十九条の五十七第一項(同項第三号に掲げる場合に該当する場合に限る。)に規定する支払をすべき金額の支払を行うに当たっては、法第七十九条の五十四に規定する認定の後、社債、株式等の振替に関する法律第五十二条に規定する加入者保護信託契約の受託者に対し、次に掲げる事項の提供を求めることができる。 一 社債、株式等の振替に関する法律第六十条第五項の適用があるかどうかが判明したときには、その旨 二 社債、株式等の振替に関する法律第六十条第五項の適用がある場合において、同項の規定により支払額の減額をしたときには、当該減額に係る加入者(同法第十一条第二項に規定する加入者をいう。)の氏名又は名称及び住所並びに当該各加入者につき、当該減額をした額 (迅速な弁済に資するための業務) 第四条の三 法第七十九条の六十一に規定する内閣府令・財務省令で定める業務は、基金の会員である金融商品取引業者の委託を受けて行う当該金融商品取引業者に係る法第四十三条の二第二項又は金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第百四十二条の四第一項に規定する信託の受益者代理人としての業務及び当該金融商品取引業者に代わって顧客資産の返還を行う業務とする。 (経理原則) 第五条 基金は、基金の財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動並びに収益及び費用をその発生の事実に基づいて経理しなければならない。 (勘定の設定) 第六条 基金の会計においては、貸借対照表勘定及び損益勘定を設け、また、必要に応じ、計算の過程を明らかにするための勘定を設けて経理するものとする。 (予算の内容) 第七条 基金の予算は、予算総則及び収入支出予算とする。 (予算総則) 第八条 予算総則には、収入支出予算に関する総括的規定を設けるほか、次に掲げる事項に関する規定を設けるものとする。 一 第十二条の規定による債務を負担する行為について、事項ごとにその負担する債務の限度額、その行為に基づいて支出すべき年限及びその必要な理由 二 第十三条第二項の規定による経費の指定 三 前号に掲げる事項のほか、予算の実施に必要な事項 (収入支出予算) 第九条 収入支出予算は、収入にあってはその性質、支出にあってはその目的に従って区分する。 (予算の添付書類) 第十条 基金は、法第七十九条の六十九の規定により予算を提出しようとするときは、次に掲げる書類を添付して金融庁長官及び財務大臣に提出しなければならない。ただし、同条後段の規定により予算を変更したときは、第一号の書類は、添付することを要しない。 一 前事業年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書 二 当該事業年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書 三 前二号に掲げるもののほか、当該予算の参考となる書類 (予備費) 第十一条 基金は、予見することができない理由による支出予算の不足を補うため、収入支出予算に予備費を設けることができる。 (債務を負担する行為) 第十二条 基金は、支出予算の金額の範囲内におけるもののほか、その業務を行うために必要があるときは、毎事業年度、予算をもって金融庁長官及び財務大臣に提出した金額の範囲内において、債務を負担する行為をすることができる。 (予算の流用等) 第十三条 基金は、支出予算については、当該予算に定める目的の外に使用してはならない。ただし、予算の実施上適当かつ必要であるときは、第九条の規定による区分にかかわらず、相互流用することができる。 2 基金は、予算総則で指定する経費の金額については、総会の議決を経なければ、それらの経費の間又は他の経費との間に相互流用し、又はこれに予備費を使用することができない。 (資金計画) 第十四条 法第七十九条の六十九の資金計画には、次の事項に関する計画を掲げなければならない。 一 資金の調達方法 二 資金の使途 三 その他必要な事項 2 基金は、法第七十九条の六十九後段の規定により資金計画を変更したときは、当該変更に係る事項及びその理由を記載した書類を金融庁長官及び財務大臣に提出しなければならない。 (収入支出等の報告) 第十五条 基金は、四半期ごとに、収入及び支出については合計残高試算表により、第十二条の規定により負担した債務については事項ごとに金額を明らかにした報告書により、当該四半期経過後一月以内に、金融庁長官及び財務大臣に報告しなければならない。 (事業報告書) 第十六条 法第七十九条の七十第一項の事業報告書には、事業の実績及び資金計画の実施の結果を記載しなければならない。 (決算報告書) 第十七条 法第七十九条の七十第一項の決算報告書は、収入支出決算書及び債務に関する計算書とする。 2 前項の決算報告書には、第八条の規定により予算総則に規定した事項に係る予算の実施の結果を示さなければならない。 (収入支出決算書等) 第十八条 前条第一項の収入支出決算書は、収入支出予算と同一の区分により作成し、かつ、これに次の事項を記載しなければならない。 一 収入 イ 収入予算額 ロ 収入決定済額 ハ 収入予算額と収入決定済額との差額 二 支出 イ 支出予算額 ロ 予備費の使用の金額及びその理由 ハ 流用の金額及びその理由 ニ 支出予算現額 ホ 支出決定済額 ヘ 不用額 2 前条第一項の債務に関する計算書には、第十二条の規定により負担した債務の金額を事項ごとに示さなければならない。 (金融機関の指定) 第十九条 法第七十九条の七十二に規定する内閣府令・財務省令で定めるものは、次に掲げるものとする。 一 法第二条第三十項に規定する証券金融会社 二 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項に規定する保険会社及び同条第七項に規定する外国保険会社等 三 その他金融庁長官及び財務大臣が指定する金融機関等 (借入金の認可の申請) 第二十条 基金は、法第七十九条の七十二の規定により資金の借入れの認可を受けようとするときは、次の事項を記載した申請書を金融庁長官及び財務大臣に提出しなければならない。 一 借入れを必要とする理由 二 借入先 三 借入金の額 四 借入金の利率 五 借入金の償還の方法及び期限 六 利息の支払の方法及び期限 七 その他必要な事項 (余裕金の運用方法) 第二十一条 法第七十九条の七十三第三号に規定する内閣府令・財務省令で定める方法は、金銭信託とする。 (会計規程) 第二十二条 基金は、その財務及び会計に関し、会計規程を定めなければならない。 2 基金は、前項の会計規程を定めようとするときは、金融庁長官及び財務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 (残余財産の帰属) 第二十二条の二 清算人は、法第七十九条の八十第一項の規定により、基金の残余財産を当該基金の会員が納付した法第七十九条の六十五第一項に規定する負担金の累計額に応じて、当該会員が加入することとなる他の基金に帰属させなければならない。 (参考人等に支給する旅費その他の費用) 第二十三条 法第百九十一条の規定により、参考人又は鑑定人には、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和二十五年法律第百十四号)の規定により一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第六条第一項第一号イに規定する行政職俸給表(一)の二級の職員に支給する旅費に相当する旅費を支給する。 2 鑑定人には、金融庁長官及び財務大臣が必要と認める場合においては、前項の規定による旅費のほか、相当な旅費を支給することができる。