金融機関の信託業務の兼営等に関する法律 目次 第一章 総則(第一条―第三条) 第二章 業務(第四条―第六条) 第三章 監督(第七条―第十二条) 第四章 指定紛争解決機関(第十二条の二―第十二条の四) 第五章 雑則(第十三条―第十五条) 第六章 罰則(第十五条の二―第二十四条) 第七章 没収に関する手続等の特例(第二十五条―第二十七条) 附 則 第一章 総則 (兼営の認可) 第一条 銀行その他の金融機関(政令で定めるものに限る。以下「金融機関」という。)は、他の法律の規定にかかわらず、内閣総理大臣の認可を受けて、信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第一項に規定する信託業及び次に掲げる業務(政令で定めるものを除く。以下「信託業務」という。)を営むことができる。 一 信託業法第二条第八項に規定する信託契約代理業 二 信託受益権売買等業務(信託受益権の売買等(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第六十五条の五第一項に規定する信託受益権の売買等をいう。)を行う業務をいう。次条第三項及び第四項において同じ。) 三 財産の管理(受託する信託財産と同じ種類の財産について、次項の信託業務の種類及び方法に規定する信託財産の管理の方法と同じ方法により管理を行うものに限る。) 四 財産に関する遺言の執行 五 会計の検査 六 財産の取得、処分又は貸借に関する代理又は媒介 七 次に掲げる事項に関する代理事務 イ 第三号に掲げる財産の管理 ロ 財産の整理又は清算 ハ 債権の取立て ニ 債務の履行 2 金融機関は、内閣府令で定めるところにより、信託業務の種類及び方法を定めて、前項の認可を受けなければならない。 3 内閣総理大臣は、第一項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。 一 申請者が、信託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、信託業務を的確に遂行することができること。 二 申請者による信託業務の遂行が金融秩序を乱すおそれがないものであること。 (信託業法の準用等) 第二条 信託業法第十一条、第二十二条から第二十四条まで、第二十五条から第三十一条まで、第四十二条及び第四十九条の規定は、金融機関が信託業務を営む場合について準用する。この場合において、同法第十一条第十項中「第七条第三項の登録の更新がされなかった場合、第四十四条第一項の規定により第三条の免許が取り消された場合、第四十五条第一項の規定により第七条第一項の登録が取り消された場合若しくは第四十六条第一項の規定により第三条の免許若しくは第七条第一項の登録がその効力を失った」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可が取り消された場合若しくは同法第十一条の規定により同法第一条第一項の認可がその効力を失った」と、同法第二十三条の二中「指定紛争解決機関」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項第八号に規定する指定紛争解決機関」と、同条第一項第一号中「手続実施基本契約」とあるのは「手続実施基本契約(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項第八号に規定する手続実施基本契約をいう。次項において同じ。)」と、同項第二号中「手続対象信託業務」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第四項に規定する特定兼営業務」と、同条第三項中「紛争解決等業務」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項に規定する紛争解決等業務」と、「第八十五条の二第一項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項」と、同法第四十二条第二項中「第十七条から第十九条までの届出若しくは措置若しくは当該」とあるのは「当該」と、同法第四十九条第一項中「第七条第三項の登録の更新をしなかった場合、第四十四条第一項の規定により第三条の免許を取り消した場合又は第四十五条第一項の規定により第七条第一項の登録を取り消した」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可を取り消した」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 2 信託業務を営む金融機関が信託契約(内閣府令で定めるものを除く。)の締結の代理又は媒介を第三者に委託する場合には、当該金融機関を信託会社とみなして、信託業法第二条第八項及び第五章の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、同章中「所属信託会社」とあるのは「所属信託兼営金融機関」と、同法第七十八条第一項中「第三十四条第一項の規定」とあるのは「銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二十一条第一項その他政令で定める規定」とする。 3 金融商品取引法第三十三条の二の規定にかかわらず、信託業務を営む金融機関は、信託受益権売買等業務を営むことができる。 4 信託業務を営む金融機関が前項の規定により信託受益権売買等業務を営む場合においては、当該金融機関を登録金融機関(金融商品取引法第二条第十一項に規定する登録金融機関をいう。)とみなして、同法第三十四条から第三十四条の五まで、第三十六条第一項、第三十六条の三、第三十七条(第一項第二号を除く。)、第三十七条の二、第三十七条の三(第一項第二号を除く。)、第三十七条の四、第三十七条の六、第三十八条(第七号を除く。)、第三十九条(第四項及び第六項を除く。)、第四十条、第四十条の四、第四十条の五、第四十五条第一号及び第二号、第四十八条、第四十八条の二、第五十一条の二、第五十二条の二第一項及び第二項、第五十六条の二第一項、第百九十条並びに第百九十四条の五第二項の規定並びにこれらの規定に係る同法第八章及び第八章の二の規定を適用する。この場合において、同法第五十二条の二第一項中「次の各号のいずれか」とあるのは「第三号又は第五号」と、「当該登録金融機関の第三十三条の二の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めて」とあるのは「六月以内の期間を定めて」と、同条第二項中「前項第三号から第五号までのいずれか」とあるのは「前項第三号又は第五号」とする。 (金融商品取引法の準用) 第二条の二 金融商品取引法第三章第一節第五款(第三十四条の二第六項から第八項まで並びに第三十四条の三第五項及び第六項を除く。)、同章第二節第一款(第三十五条から第三十六条の四まで、第三十七条第一項第二号、第三十七条の二、第三十七条の三第一項第二号から第四号まで及び第六号並びに第三項、第三十七条の四、第三十七条の五、第三十七条の七、第三十八条第一号、第二号、第七号及び第八号、第三十八条の二、第三十九条第一項、第二項第二号、第三項、第四項、第六項及び第七項、第四十条第一号並びに第四十条の二から第四十条の七までを除く。)及び第四十五条(第三号及び第四号を除く。)の規定は、金融機関が行う特定信託契約(信託業法第二十四条の二に規定する特定信託契約をいう。)による信託の引受けについて準用する。この場合において、これらの規定中「金融商品取引契約」とあるのは「特定信託契約」と、「金融商品取引業」とあるのは「特定信託契約の締結の業務」と、これらの規定(金融商品取引法第三十四条の規定を除く。)中「金融商品取引行為」とあるのは「特定信託契約の締結」と、同法第三十四条中「顧客を相手方とし、又は顧客のために金融商品取引行為(第二条第八項各号に掲げる行為をいう。以下同じ。)を行うことを内容とする契約」とあるのは「信託業法第二十四条の二に規定する特定信託契約」と、同法第三十七条の三第一項第一号中「商号、名称又は氏名及び住所」とあるのは「住所」と、同法第三十七条の六第一項中「第三十七条の四第一項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第二条第一項において準用する信託業法第二十六条第一項」と、同法第三十九条第二項第一号中「有価証券売買取引等」とあるのは「特定信託契約(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第六条に規定する信託契約を除く。第三号において同じ。)の締結」と、「前項第一号」とあるのは「損失補填等(同法第二条第一項において準用する信託業法第二十四条第一項第四号の損失の補填又は利益の補足をいう。第三号において同じ。)」と、同項第三号中「有価証券売買取引等」とあるのは「特定信託契約の締結」と、「前項第三号の提供」とあるのは「損失補填等」と、同条第五項中「事故」とあるのは「金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項に規定する金融機関をいう。)の責めに帰すべき事故」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 (信託業務の種類又は方法の変更の認可) 第三条 金融機関が信託業務を営む場合において、当該信託業務の種類又は方法を変更しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。 第二章 業務 (同一人に対する信用の供与等) 第四条 信託業務を営む金融機関に対し、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十三条の規定その他の金融機関の同一人に対する信用の供与等に係る規定を適用する場合には、これらの規定に規定する信用の供与の区分及び信用供与等限度額について政令で別段の定めをすることができる。 (定型的信託契約約款の変更等) 第五条 信託業務を営む金融機関は、多数人を委託者又は受益者とする定型的信託契約(貸付信託又は投資信託に係る信託契約を除く。)について約款の変更をしようとするときは、当該定型的信託契約における委託者及び受益者のすべての同意を得る方法によるほか、内閣総理大臣の認可を受けて、当該変更に異議のある委託者又は受益者は一定の期間内にその異議を述べるべき旨を公告する方法によりすることができる。 2 前項の期間は、一月を下ることができない。 3 委託者又は受益者が第一項の期間内に異議を述べなかった場合には、当該委託者又は受益者は、当該契約の変更を承諾したものとみなす。 4 第一項の期間内に異議を述べた受益者は、信託業務を営む金融機関に対して、その変更がなかったならば有したであろう公正な価格で受益権を買い取ることを請求することができる。 5 信託法(平成十八年法律第百八号)第百三条第七項及び第百四条の規定は、前項の請求があった場合について準用する。この場合において、同条第十二項ただし書中「信託行為又は当該重要な信託の変更等の意思決定」とあるのは「定型的信託契約約款」と、同条第十三項中「前条第一項又は第二項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第五条第四項」と、同項ただし書中「信託行為又は当該重要な信託の変更等の意思決定」とあるのは「定型的信託契約約款」と読み替えるものとする。 (損失の補てん等を行う旨の信託契約の締結) 第六条 信託業務を営む金融機関は、第二条第一項において準用する信託業法第二十四条第一項第四号の規定にかかわらず、内閣府令で定めるところにより、運用方法の特定しない金銭信託に限り、元本に損失を生じた場合又はあらかじめ一定額の利益を得なかった場合にこれを補てんし又は補足する旨を定める信託契約(内閣府令で定めるものに限る。)を締結することができる。 第三章 監督 (信託業務報告書等) 第七条 信託業務を営む金融機関は、事業年度ごとに、信託業務及び信託業務に係る財産の状況を記載した当該事業年度の中間事業年度(当該事業年度の四月一日から九月三十日までの期間をいう。)に係る中間業務報告書及び当該事業年度に係る業務報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。 (届出等) 第八条 信託業務を営む金融機関は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 信託業務を開始したとき。 二 信託業務を廃止したとき(会社分割により信託業務の全部を承継させたとき、及び信託業務の全部の譲渡をしたときを含む。)。 三 合併(当該信託業務を営む金融機関が合併により消滅する場合を除く。)をし、会社分割により信託業務の一部の承継をさせ、又は信託業務の一部の譲渡をしたとき。 四 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。 2 信託業務を営む金融機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一 信託業務の全部若しくは一部を営む営業所若しくは事務所の設置、位置の変更若しくは廃止又は当該営業所若しくは事務所において行う信託業務の内容の変更をしようとするとき。 二 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。 3 信託業務を営む金融機関は、信託業務の廃止をし、合併(当該信託業務を営む金融機関が消滅するものに限る。)をし、合併及び破産手続開始の決定以外の理由による解散をし、会社分割による信託業務の全部若しくは一部の承継をさせ、又は信託業務の全部若しくは一部の譲渡をしようとするときは、その日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、すべての営業所の公衆の目につきやすい場所に掲示しなければならない。 4 信託業務を営む金融機関は、前項の公告をしたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 (業務の停止等) 第九条 内閣総理大臣は、信託業務を営む金融機関の業務又は財産の状況に照らして、当該信託業務を営む金融機関の信託業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該信託業務を営む金融機関に対し、その必要の限度において、期限を付して信託業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は信託業務の種類若しくは方法の変更、財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。 (認可の取消し等) 第十条 内閣総理大臣は、信託業務を営む金融機関が、信託業務の遂行に当たり、法令若しくは法令に基づく内閣総理大臣の命令に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該信託業務を営む金融機関に対し、信託業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は第一条第一項の認可を取り消すことができる。 (認可の失効) 第十一条 信託業務を営む金融機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第一条第一項の認可は、その効力を失う。 一 信託業務の全部を廃止したとき。 二 会社分割により信託業務の全部を承継させ、又は信託業務の全部の譲渡をしたとき。 三 解散したとき(設立、株式移転、合併(当該合併により信託業務を営む金融機関を設立するものに限る。)又は新設分割を無効とする判決が確定したときを含む。)。 四 当該認可を受けた日から六月以内に当該認可を受けた事項を実行しなかったとき(やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けたときを除く。)。 (監督処分の公告) 第十二条 内閣総理大臣は、第十条の規定により第一条第一項の認可を取り消したとき、又は第九条若しくは第十条の規定により信託業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公告しなければならない。 第四章 指定紛争解決機関 (紛争解決等業務を行う者の指定) 第十二条の二 内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務(苦情処理手続(特定兼営業務関連苦情を処理する手続をいう。)及び紛争解決手続(特定兼営業務関連紛争について訴訟手続によらずに解決を図る手続をいう。)の業務並びにこれに付随する業務をいう。以下この条、次条及び第十九条の三において同じ。)を行う者として、指定することができる。 一 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。 二 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。 三 この法律若しくは弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。 四 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。 イ 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者 ロ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者 ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 ニ 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であった者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しない者 ホ この法律若しくは弁護士法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 五 紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。 六 役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。 七 紛争解決等業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。 八 次項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約(紛争解決等業務の実施に関し指定紛争解決機関(この項の規定により指定を受けた者をいう。第五項、次条及び第十二条の四において同じ。)と信託業務を営む金融機関との間で締結される契約をいう。以下この号及び次条において同じ。)の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(同条第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに同条第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた信託業務を営む金融機関の数の信託業務を営む金融機関の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となったこと。 2 前項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、信託業務を営む金融機関に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。 3 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。 4 第一項に規定する「特定兼営業務関連苦情」とは、特定兼営業務(金融機関が営む信託業法第二条第一項に規定する信託業及び第一条第一項第一号から第三号までに掲げる業務並びに当該金融機関のために同法第二条第九項に規定する信託契約代理店が営む信託契約代理業をいう。以下この項において同じ。)に関する苦情をいい、「特定兼営業務関連紛争」とは、特定兼営業務に関する紛争で当事者が和解をすることができるものをいう。 5 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、指定紛争解決機関の商号又は名称及び主たる営業所又は事務所の所在地並びに当該指定をした日を公告しなければならない。 (業務規程) 第十二条の三 指定紛争解決機関は、次に掲げる事項に関する業務規程を定めなければならない。 一 手続実施基本契約の内容に関する事項 二 手続実施基本契約の締結に関する事項 三 紛争解決等業務の実施に関する事項 四 紛争解決等業務に要する費用について加入金融機関(手続実施基本契約を締結した相手方である信託業務を営む金融機関をいう。次号において同じ。)が負担する負担金に関する事項 五 当事者である加入金融機関又はその顧客から紛争解決等業務の実施に関する料金を徴収する場合にあっては、当該料金に関する事項 六 他の指定紛争解決機関その他相談、苦情の処理又は紛争の解決を実施する国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関する事項 七 紛争解決等業務に関する苦情の処理に関する事項 八 前各号に掲げるもののほか、紛争解決等業務の実施に必要な事項として内閣府令で定めるもの (信託業法の準用) 第十二条の四 信託業法第五章の二(第八十五条の二及び第八十五条の七第一項を除く。)の規定は、指定紛争解決機関について準用する。この場合において、同法第八十五条の三第一項中「前条第一項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項」と、同条第二項第一号中「前条第一項第三号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項第三号」と、同項第六号中「前条第二項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第二項」と、同法第八十五条の五第一項中「この法律」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」と、同法第八十五条の六中「他の法律」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律以外の法律」と、同法第八十五条の七第二項中「前項第一号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の三第一号」と、同条第三項中「第一項第二号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の三第二号」と、同条第四項中「第一項第三号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の三第三号」と、同条第五項中「第一項第四号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の三第四号」と、「同項第五号」とあるのは「同条第五号」と、同法第八十五条の十四第二項中「第八十五条の二第一項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項」と、同法第八十五条の二十二第二項第一号中「第八十五条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」と、「又は第八十五条の二第一項第五号」とあるのは「又は同法第十二条の二第一項第五号」と、同法第八十五条の二十三第三項中「他の法律」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律以外の法律」と、同法第八十五条の二十四第一項中「、第八十五条の二第一項」とあるのは「、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項」と、同項第一号中「第八十五条の二第一項第二号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項第二号」と、同項第二号中「第八十五条の二第一項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項」と、同条第二項第一号中「第八十五条の二第一項第五号」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項第五号」と、「第八十五条の二第一項の」とあるのは「同法第十二条の二第一項の」と、同条第三項及び第四項中「第八十五条の二第一項」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十二条の二第一項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。 第五章 雑則 (財務大臣への資料提出等) 第十三条 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、信託業務に係る制度の企画又は立案をするため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。 2 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、信託業務に係る制度の企画又は立案をするため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、信託業務を営む金融機関その他の関係者に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。 (権限の委任) 第十四条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。 2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。 (内閣府令への委任) 第十五条 この法律に定めるもののほか、第一条第一項の認可の申請の手続その他この法律を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。 第六章 罰則 第十五条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第二条第一項において準用する信託業法第二十四条第一項第一号の規定に違反して、同号に掲げる行為(同法第二条第三項各号に掲げる信託の引受けに係るものを除く。)をした者 二 第二条第一項において準用する信託業法第二十七条第一項の規定による報告書(同法第二条第三項各号に掲げる信託の引受けに係るものを除く。以下この号において同じ。)を交付せず、又は虚偽の記載をした報告書を交付した者 第十六条 第九条又は第十条の規定による信託業務の停止の命令に違反した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 第十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第二条第一項において準用する信託業法第二十四条第一項第一号の規定に違反して、同号に掲げる行為(同法第二条第三項各号に掲げる信託の引受けに係るものに限る。)をした者又は第二条第一項において準用する同法第二十四条第一項第三号若しくは第四号の規定に違反して、これらの規定に掲げる行為をした者 二 第二条第一項において準用する信託業法第二十七条第一項の規定による報告書(同法第二条第三項各号に掲げる信託の引受けに係るものに限る。以下この号において同じ。)を交付せず、又は虚偽の記載をした報告書を交付した者 三 第二条第一項において準用する信託業法第二十九条第二項の規定に違反した者 四 第二条第一項において準用する信託業法第四十二条第一項から第三項までの規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者 五 第二条第一項において準用する信託業法第四十二条第一項から第三項までの規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者 六 第七条の規定による中間業務報告書若しくは業務報告書を提出せず、又はこれらに記載すべき事項のうち重要な事項を記載せず、若しくは重要な事項について虚偽の記載をした者 七 第八条第三項の規定による公告をせず、又は虚偽の公告をした者 八 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の三第一項の規定による指定申請書又は同条第二項の規定によりこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録に虚偽の記載又は記録をしてこれらを提出した者 九 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の九の規定に違反した者 十 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十第一項の規定による報告書を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書を提出した者 十一 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十一第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者 十二 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十二第一項の規定による命令に違反した者 第十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第二条第一項において準用する信託業法第十一条第五項の規定に違反して、信託業務を開始した者 二 第二条の二において準用する金融商品取引法第三十九条第二項(第二号を除く。)の規定に違反した者 三 第三条の規定に違反して、認可を受けないで業務の内容又は方法を変更した者 四 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の四第一項の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用した者 第十八条の二 前条第二号の場合において、犯人又は情を知った第三者が受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。 2 金融商品取引法第二百九条の二及び第二百九条の三第二項の規定は、前項の規定による没収について準用する。この場合において、同法第二百九条の二第一項中「第百九十八条の二第一項又は第二百条の二」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十八条の二第一項」と、「この条、次条第一項及び第二百九条の四第一項」とあるのは「この項」と、「次項及び次条第一項」とあるのは「次項」と、同条第二項中「混和財産(第二百条の二の規定に係る不法財産が混和したものに限る。)」とあるのは「混和財産」と、同法第二百九条の三第二項中「第百九十八条の二第一項又は第二百条の二」とあるのは「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十八条の二第一項」と読み替えるものとする。 第十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 第二条第一項において準用する信託業法第十一条第八項の規定に違反して、供託を行わなかった者 二 第二条第一項において準用する信託業法第二十六条第一項の規定による書面を交付せず、又は虚偽の書面を交付した者 三 第二条第一項において準用する信託業法第二十九条第三項の規定による書面を交付せず、又は虚偽の書面を交付した者 四 第二条の二において準用する金融商品取引法第三十七条第一項(第二号を除く。)に規定する事項を表示せず、又は虚偽の表示をした者 五 第二条の二において準用する金融商品取引法第三十七条第二項の規定に違反した者 六 第二条の二において準用する金融商品取引法第三十七条の三第一項(第二号から第四号まで及び第六号を除く。)の規定に違反して、書面を交付せず、若しくは同項に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載をした書面を交付した者又は同条第二項において準用する同法第三十四条の二第四項に規定する方法により当該事項を欠いた提供若しくは虚偽の事項の提供をした者 第十九条の二 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の十一若しくは第八十五条の十三第九項の規定による記録の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の記録を作成した者は、百万円以下の罰金に処する。 第十九条の三 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十三第一項の認可を受けないで紛争解決等業務の全部若しくは一部の休止又は廃止をした者は、五十万円以下の罰金に処する。 第二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 第八条第一項、第二項若しくは第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 二 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の八第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者 三 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の十八第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 四 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の十九の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 五 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十三第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者 六 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十三第三項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をした者 七 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の二十四第三項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をした者 第二十一条 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。 一 第十五条の二又は第十六条 三億円以下の罰金刑 二 第十七条(第九号を除く。) 二億円以下の罰金刑 三 第十八条第二号 一億円以下の罰金刑 四 第十七条第九号、第十八条(第二号を除く。)又は第十九条から前条まで 各本条の罰金刑 2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 第二十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、信託業務を営む金融機関の役員、支配人、参事又は清算人は、百万円以下の過料に処する。 一 第六条の規定に基づく内閣府令に違反して、同条に規定する信託契約を締結したとき。 二 第九条の規定による内閣総理大臣の命令(信託業務の停止の命令を除く。)に違反したとき。 三 信託法第三十四条の規定により行うべき信託財産の管理を行わないとき。 第二十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。 一 第二条第一項において準用する信託業法第十一条第四項の規定による命令に違反して、供託を行わなかった者 二 第二条第一項において準用する信託業法第二十九条の二の規定に違反して、重要な信託の変更又は信託の併合若しくは信託の分割をした者 三 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の十六の規定に違反した者 第二十四条 第十二条の四において準用する信託業法第八十五条の十七の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。 第七章 没収に関する手続等の特例 (第三者の財産の没収手続等) 第二十五条 第十八条の二第一項の規定により没収すべき財産である債権等(不動産及び動産以外の財産をいう。次条及び第二十七条において同じ。)が被告人以外の者(以下この条において「第三者」という。)に帰属する場合において、当該第三者が被告事件の手続への参加を許されていないときは、没収の裁判をすることができない。 2 第十八条の二第一項の規定により、地上権、抵当権その他の第三者の権利がその上に存在する財産を没収しようとする場合において、当該第三者が被告事件の手続への参加を許されていないときも、前項と同様とする。 3 金融商品取引法第二百九条の四第三項から第五項までの規定は、地上権、抵当権その他の第三者の権利がその上に存在する財産を没収する場合において、第十八条の二第二項において準用する同法第二百九条の三第二項の規定により当該権利を存続させるべきときについて準用する。この場合において、同法第二百九条の四第三項及び第四項中「前条第二項」とあるのは、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十八条の二第二項において準用する前条第二項」と読み替えるものとする。 4 第一項及び第二項に規定する財産の没収に関する手続については、この法律に特別の定めがあるもののほか、刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法(昭和三十八年法律第百三十八号)の規定を準用する。 (没収された債権等の処分等) 第二十六条 金融商品取引法第二百九条の五第一項の規定は第十八条第二号の罪に関し没収された債権等について、同法第二百九条の五第二項の規定は同号の罪に関し没収すべき債権の没収の裁判が確定したときについて、同法第二百九条の六の規定は権利の移転について登記又は登録を要する財産を同号の罪に関し没収する裁判に基づき権利の移転の登記又は登録を関係機関に嘱託する場合について、それぞれ準用する。 (刑事補償の特例) 第二十七条 第十八条第二号の罪に関し没収すべき債権等の没収の執行に対する刑事補償法(昭和二十五年法律第一号)による補償の内容については、同法第四条第六項の規定を準用する。