旅券法 (目的) 第一条 この法律は、旅券の発給、効力その他旅券に関し必要な事項を定めることを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 公用旅券 国の用務のため外国に渡航する者及びその者が渡航の際同伴し、又は渡航後その所在地に呼び寄せる配偶者、子又は使用人に対して発給される旅券をいう。 二 一般旅券 公用旅券以外の旅券をいう。 三 各省各庁の長 本邦から公用旅券によつて外国に渡航する者(その者が同伴され、又は呼び寄せられる配偶者、子又は使用人である場合には、その者を同伴し、又は呼び寄せる者)が所属する各省各庁(衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣(内閣府及びデジタル庁を除く。)、内閣府、デジタル庁及び各省をいう。以下同じ。)の長たる衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣をいう。ただし、その者が各省各庁のいずれにも所属しない場合には、外務大臣とする。 四 渡航書 第十九条の三第一項に規定する渡航書をいう。 五 都道府県 本邦から一般旅券によつて外国に渡航する者の住所又は居所の所在地を管轄する都道府県をいう。 六 都道府県知事 前号に定める都道府県の知事をいう。 七 旅券の名義人 旅券の発給を受けた者をいう。 (一般旅券の発給の申請) 第三条 一般旅券の発給を受けようとする者(以下この条において「申請者」という。)は、外務省令で定めるところにより、国内においては都道府県知事を経由して外務大臣に対し、国外においては領事官(領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者を含む。以下同じ。)に対し、次に掲げる書類及び写真を提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。ただし、国内において申請する場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上、外務大臣に提出することができる。 一 一般旅券発給申請書 二 戸籍謄本 三 申請者の写真 四 渡航先の官憲が発給した入国に関する許可証、証明書、通知書等を申請書に添付することを必要とされる者にあつては、その書類 五 前各号に掲げるものを除くほか、渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類 六 その他参考となる書類を有する者にあつては、その書類 2 前項第二号に掲げる書類は、次の各号のいずれかに該当するときは、提出することを要しない。ただし、第一号に該当する場合において、国内においては都道府県知事(直接外務大臣に提出する場合には、外務大臣。以下この条において同じ。)が、国外においては領事官が、申請者の身分上の事実を確認するため特に必要があると認めるときは、この限りでない。 一 第十一条の規定に基づき前項の申請をするとき。 二 外務省令で定める場合に該当する場合において、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、申請者の身分上の事実が明らかであると認めるとき。 3 都道府県知事は、一般旅券の発給の申請を受理するに当たり、申請者が本人であること及び申請者が一般旅券発給申請書に記載された住所又は居所に居住していることを確認するものとし、その確認のため、外務省令で定めるところにより、これらを立証する書類の提示又は提出を申請者に求めることができる。 4 領事官は、一般旅券の発給の申請を受理するに当たり、申請者が本人であることを確認するものとし、その確認のため、必要な書類の提示又は提出を申請者に求めることができる。 5 都道府県知事又は領事官は、一般旅券の発給の申請が第十条第一項又は第十一条の規定によるものである場合には、当該申請を受理するに当たり、外務省令で定めるところにより、申請者が現に所持する一般旅券(第五条、第八条及び第十四条において「現有旅券」という。)を確認するものとする。 6 第一項の一般旅券の発給の申請に係る書類及び写真の提出は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる者を通じてすることができる。 一 申請者の配偶者又は二親等内の親族 二 前号に掲げる者のほか、申請者の指定した者(当該申請者のために書類及び写真を提出することが適当でない者として外務省令で定めるものを除く。) (公用旅券の発給の請求) 第四条 公用旅券の発給の請求は、当該公用旅券の発給を受けようとする者(以下この条において「対象者」という。)が国内に在る場合においては各省各庁の長が外務大臣に対し、対象者が国外に在る場合においては各省各庁の長が外務大臣に対し、又は当該対象者が領事官に対し、次に掲げる書類及び写真を提出してするものとする。 一 公用旅券発給請求書 二 対象者の写真 三 使用人にあつては、戸籍謄本 四 国外において対象者がする請求にあつては、公用旅券の発給を必要とする理由を立証する書類 2 前項の場合において、対象者が本邦と外務大臣が指定する地域以外の地域との間を数次往復しようとするときは、その旨及び理由を公用旅券発給請求書に記載して、数次往復用の公用旅券の発給を請求することができる。 (旅券の二重受給の禁止) 第四条の二 旅券の発給を受けた者は、その旅券が有効な限り、重ねて旅券の発給を受けることができない。ただし、外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。 (一般旅券の発行) 第五条 外務大臣又は領事官は、第三条の規定による発給の申請に基づき、外務大臣が指定する地域(第三項及び第四項において「指定地域」という。)以外の全ての地域を渡航先として記載した有効期間が十年の数次往復用の一般旅券を発行する。ただし、当該発給の申請をする者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、有効期間を五年とする。 一 有効期間が五年の一般旅券の発給を受けようとする旨を一般旅券発給申請書に記載して申請する者である場合 二 十八歳未満の者である場合 2 外務大臣又は領事官は、前条ただし書の規定に該当する場合において一般旅券を発行するとき、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録を行つていない一般旅券を発行するとき、又は第十三条第一項各号のいずれかに該当する者に対し一般旅券を発行するとき(第五項において「限定発行の事由があるとき」と総称する。)は、前項の一般旅券につき、渡航先を個別に特定して記載し、又は有効期間を十年(当該一般旅券の発給の申請をする者が同項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、五年)未満とすることができる。 3 前二項の規定にかかわらず、外務大臣又は領事官は、指定地域へ渡航しようとする者が第三条の規定による発給の申請をする場合には、渡航先を個別に特定して記載した有効期間が十年(当該発給の申請をする者が第一項第二号に掲げる場合に該当するときは、五年)の一往復用の一般旅券を発行するものとする。ただし、外務大臣が適当と認めるときは、渡航先を個別に特定して記載した有効期間が十年(当該発給の申請をする者が同項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、五年)以下の数次往復用の一般旅券を発行することができる。 4 前三項の規定にかかわらず、外務大臣又は領事官は、第十条第一項又は第十一条(第二号に係る部分に限る。)の規定に基づき第三条の規定による発給の申請をする者が、有効期間を現有旅券の残存有効期間と同一とする一般旅券(第十四条において「残存有効期間同一旅券」という。)の発給を受けようとする旨を一般旅券発給申請書に記載する場合には、その有効期間及び種類が当該現有旅券の残存有効期間及び種類と同一である一般旅券であつて、当該現有旅券の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める地域を渡航先として記載したものを発行する。 一 次号及び第三号に掲げる現有旅券以外の現有旅券 指定地域以外の全ての地域 二 第二項、この号又は次項の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載した現有旅券 当該現有旅券に渡航先として記載されていた地域と同一の地域(指定地域を除く。) 三 前項又はこの号の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載した現有旅券 渡航先として個別に特定して記載する地域(当該現有旅券に渡航先として記載されていた指定地域を含み、当該現有旅券に渡航先として記載されていなかつた指定地域を除く。) 5 外務大臣又は領事官は、限定発行の事由があるときは、前項第一号又は第二号に掲げる現有旅券について同項の規定により発行する一般旅券につき、渡航先を個別に特定して記載し、又は有効期間を当該現有旅券の残存有効期間未満とすることができるものとし、同項第三号に掲げる現有旅券について同項の規定により発行する一般旅券につき、有効期間を当該現有旅券の残存有効期間未満とすることができる。 (公用旅券の発行) 第五条の二 外務大臣又は領事官は、第四条の規定による発給の請求に基づき、有効期間が五年の一往復用の公用旅券を発行する。ただし、同条第二項の請求があつた場合において、数次往復の必要を認めるときは、有効期間が五年以下の数次往復用の公用旅券を発行することができる。 (旅券の記載事項) 第六条 旅券には、次に掲げる事項を記載するものとする。 一 旅券の種類、番号、発行年月日及び有効期間満了の日 二 旅券の名義人の氏名及び生年月日 三 渡航先 四 前三号に掲げるもののほか、外務省令で定める事項 2 前項第三号の渡航先を地域名をもつて包括記載する場合の地域の範囲は、外務大臣が官報で告示するところによる。 (旅券の電磁的方法による記録) 第七条 外務大臣又は領事官は、旅券の名義人の写真及び前条第一項に掲げる事項の一部であつて外務省令で定めるものを、旅券に電磁的方法により記録することができる。 (旅券の交付) 第八条 第五条の規定により発行された一般旅券は、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、外務省令で定めるところにより、当該一般旅券の発給につき第三条第一項の申請をした者(以下この項から第三項までにおいて「申請者」という。)の出頭を求めて当該申請者に交付する。ただし、同条第一項ただし書の規定により直接外務大臣に申請をした場合には、外務大臣が申請者の出頭を求めて当該申請者に交付する。 2 前項の一般旅券が第十条第一項又は第十一条の規定に基づき第三条の規定により発給を申請されたものである場合には、申請者は、当該一般旅券の交付の際、現有旅券を返納しなければならない。 3 第一項の場合において、病気、身体の障害、交通至難の事情その他の真にやむを得ない理由により申請者の出頭が困難であると認められ、かつ、当該申請者が本人であることが明らかであるときは、都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、当該申請者の出頭を求めることなく、当該申請者が確実に受領できると認められる最も適当な方法により、一般旅券を交付することができる。この場合において、当該申請者が前項に規定する現有旅券を返納しなければならない者に該当するときは、都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、当該申請者の現有旅券の返納を受けるものとする。 4 第五条の二の規定により発行された公用旅券は、国内においては各省各庁の長を通じて外務大臣が、国外においては領事官が、当該公用旅券の発給を受ける者に交付する。 5 前項の公用旅券が第十条第二項又は第十一条の規定に基づき第四条の規定により発給を請求されたものである場合には、当該公用旅券の発給を受ける者は、当該公用旅券の交付の際、現に所持する公用旅券を返納しなければならない。 (渡航先の追加) 第九条 第五条第二項から第五項までの規定に基づいて渡航先が個別に特定して記載された一般旅券の名義人は、当該一般旅券を使用して当該記載された渡航先以外の地域に渡航しようとする場合には、外務省令で定めるところにより、国内においては都道府県に出頭の上、都道府県知事を経由して外務大臣に対し、国外においては領事館(大使館及び公使館を含む。以下同じ。)に出頭の上、領事官に対し、当該一般旅券及び次に掲げる書類を提出して、渡航先の追加を申請しなければならない。 一 一般旅券渡航先追加申請書 二 渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類 2 公用旅券の渡航先の追加の請求は、渡航先の追加を受けようとする者(以下この項において「対象者」という。)が国内に在る場合においては各省各庁の長が外務大臣に対し、対象者が国外に在る場合においては各省各庁の長が外務大臣に対し、又は当該対象者が領事官に対し、公用旅券渡航先追加請求書(国外において対象者がする請求にあつては、外務大臣の定めるところにより、渡航先の追加を必要とする理由が新たに生じたことを立証する書類を含む。)及び、公用旅券の交付の後にあつては、当該公用旅券を提出してするものとする。 3 第三条第一項ただし書、第三項、第四項及び第六項の規定は第一項の申請の場合について、前条第一項及び第四項の規定は当該申請又は前項の請求に係る旅券の交付について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「当該申請者に交付する」とあるのは、「当該申請者に交付し、又はその指定した者の出頭を求めて交付する」と読み替えるものとする。 (記載事項に変更を生じた場合の取扱い) 第十条 一般旅券の名義人は、当該一般旅券の記載事項(旅券の名義人の氏名その他外務省令で定める事項に限る。)に変更を生じた場合には、遅滞なく、第三条の規定により一般旅券の発給を申請するものとする。 2 公用旅券の記載事項に変更を生じた場合には、各省各庁の長又は当該公用旅券の名義人は、遅滞なく、第四条の規定により公用旅券の発給を請求するものとする。ただし、前条第二項の規定の適用がある場合は、この限りでない。 3 外務大臣又は領事官は、旅券の記載事項に変更を生じ、又は旅券の記載事項若しくは旅券に電磁的方法により記録された事項に誤りがあることを知つた場合において特に必要と認めるときは、申請又は請求に基づかないで、当該旅券の名義人(公用旅券でその名義人が国内に在るものについては、各省各庁の長)に対し、当該旅券の返納を求めて旅券を発行することができる。ただし、旅券の記載事項のうち渡航先にのみ変更を生じたときは、当該旅券の提出を求めてその渡航先を訂正することにより、旅券の発行に代えることができる。 4 第八条第一項の規定は前項の規定により発行された一般旅券の交付について、同条第四項の規定は前項の規定により発行された公用旅券の交付について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「当該申請者に交付する」とあるのは、「当該申請者に交付し、又はその指定した者の出頭を求めて交付する」と読み替えるものとする。 (有効期間内の申請等) 第十一条 旅券の名義人(公用旅券については、各省各庁の長又は当該公用旅券の名義人)は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該旅券の有効期間内においても第三条又は第四条の規定により旅券の発給を申請し、又は請求することができる。 一 当該旅券の残存有効期間が一年未満となつたとき。 二 当該旅券の査証欄に余白がなくなつたとき。 三 旅券を著しく損傷したとき。 四 その他外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認めるとき。 第十二条 削除 (一般旅券の発給等の制限) 第十三条 外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。 一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者 二 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者 三 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者 四 第二十三条の規定により刑に処せられた者 五 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者 六 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの 七 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者 2 外務大臣は、前項第七号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務大臣と協議しなければならない。 (一般旅券の発給をしない場合等の通知) 第十四条 外務大臣又は領事官は、前条の規定に基づき一般旅券の発給若しくは渡航先の追加をしないと決定したとき、又は第五条第二項若しくは第五項の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載し、若しくは有効期間を十年(一般旅券の発給の申請をする者が、同条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは五年、残存有効期間同一旅券の発給の申請をする者であるときはその現有旅券の残存有効期間)未満とすると決定したとき(第四条の二ただし書の規定に該当する場合において一般旅券を発行するときを除く。)は、速やかに、理由を付した書面をもつて一般旅券の発給又は渡航先の追加を申請した者にその旨を通知しなければならない。 (署名) 第十五条 旅券の発給を受けようとする者(以下この条において「発給申請者」という。)は、旅券面の所定の場所に署名し、又は外務省令で定めるところにより、当該発給申請者の署名を提出しなければならない。ただし、当該発給申請者が署名することが困難なものとして外務省令で定める者である場合には、外務省令で定めるところにより、当該発給申請者の記名をもつて代えることができる。 (外国滞在の届出) 第十六条 旅券の名義人で外国に住所又は居所を定めて三月以上滞在するものは、外務省令で定めるところにより、当該地域に係る領事官に届け出なければならない。 (紛失又は焼失の届出) 第十七条 一般旅券の名義人は、当該一般旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては都道府県知事を経由して外務大臣に対し、国外においては領事官に対し、その旨を届け出なければならない。ただし、国内において届け出る場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上、外務大臣に届け出ることができる。 2 前項の場合において、一般旅券の名義人が病気、身体の障害、交通至難の事情その他の真にやむを得ない理由により自ら届け出ることが困難であると認められるときは、外務省令で定めるところにより、次に掲げる者を通じて届出を行うことができる。 一 一般旅券の名義人の配偶者又は二親等内の親族 二 前号に掲げる者のほか、一般旅券の名義人の指定した者(当該一般旅券の名義人のために届出を行うことが適当でない者として外務省令で定めるものを除く。) 3 都道府県知事(直接外務大臣に届け出る場合には、外務大臣)は、第一項の一般旅券の紛失又は焼失の届出を受理するに当たり、届出者が本人であること、届出者が紛失旅券等届出書に記載された住所又は居所に居住していること及び当該一般旅券の紛失又は焼失の事実があつたことを確認するものとし、その確認のため、外務省令で定めるところにより、これらを立証する書類の提示又は提出を届出者に求めることができる。 4 領事官は、第一項の一般旅券の紛失又は焼失の届出を受理するに当たり、届出者が本人であること及び当該一般旅券の紛失又は焼失の事実があつたことを確認するものとし、その確認のため、必要な書類の提示又は提出を届出者に求めることができる。 5 公用旅券の名義人は、当該公用旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては各省各庁の長を経由して外務大臣に対し、国外においては各省各庁の長を経由して外務大臣に対し、又は領事官に対し、その旨を届け出なければならない。 6 外務大臣又は領事官は、前項の公用旅券の紛失又は焼失の届出を受理するに当たり、届出者が本人であること及び当該公用旅券の紛失又は焼失の事実があつたことを確認するものとし、その確認のため、必要な書類の提示又は提出を届出者に求めることができる。 (旅券の失効) 第十八条 旅券は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その効力を失う。 一 旅券の名義人が死亡し、又は日本の国籍を失つたとき。 二 旅券の発給を申請し、又は請求した者が当該旅券の発行の日から六月以内に当該旅券を受領しない場合には、その六月を経過したとき(国外において発行された一般旅券については、当該一般旅券の発給を申請した者が当該一般旅券の発行の日から六月以内に当該一般旅券を受領することができないやむを得ない事情があると外務大臣又は領事官が認めるときを除く。)。 三 一往復用の旅券の名義人が当該旅券の発行の日から六月以内に本邦を出国しない場合には、その六月を経過したとき。 四 旅券の有効期間が満了したとき。 五 一往復用の旅券の名義人が本邦に帰国したとき。 六 第八条第二項、第三項若しくは第五項又は第十条第三項の規定により返納された旅券にあつては、当該返納された旅券に代わる旅券の交付があつたとき。 七 前条第一項又は第五項の規定による届出があつたとき(同条第三項、第四項又は第六項の規定による確認の結果、届け出られた旅券の紛失又は焼失の事実を確認することができず、その旨を届出者に通知するときを除く。)。 八 次条第一項の規定により返納を命ぜられた旅券にあつては、同項の期限内に返納されなかつたとき、又は外務大臣若しくは領事官が、当該返納された旅券が効力を失うべきことを適当と認めたとき。 2 外務大臣は、旅券が前項第七号又は第八号に該当して効力を失つたときは、遅滞なくその旨を官報に告示しなければならない。 (返納) 第十九条 外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。 一 一般旅券の名義人が第十三条第一項各号のいずれかに該当する者であることが、当該一般旅券の交付の後に判明した場合 二 一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合 三 錯誤に基づき、又は過失により、旅券の発給又は渡航先の追加をした場合 四 旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合 五 一般旅券の名義人の渡航先における滞在が当該渡航先における日本国民の一般的な信用又は利益を著しく害しているためその渡航を中止させて帰国させる必要があると認められる場合 2 第十三条第二項の規定は、一般旅券の名義人が前項第一号又は第二号の場合において、第十三条第一項第七号に該当するかどうかを認定しようとするときについて準用する。 3 第一項の規定に基づき同項第一号又は第二号の場合において行う一般旅券の返納の命令(第十三条第一項第一号又は第六号に該当する者に対して行うものを除く。)については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。 4 外務大臣又は領事官は、第一項の規定に基づき一般旅券の返納を命ずることを決定したときは、速やかに、理由を付した書面をもつて当該一般旅券の名義人にその旨を通知しなければならない。 5 旅券の名義人が現に所持する旅券が前条第一項第一号、第三号から第五号まで又は第七号のいずれかに該当してその効力を失つたとき、及び公用旅券の場合においてその発給に係る国の用務がなくなり又は終了したときは、国内においては、一般旅券にあつてはその名義人が都道府県知事又は外務大臣に対し、公用旅券にあつては各省各庁の長が外務大臣に対し、国外においては旅券の名義人が領事官に対し、遅滞なくその旅券を返納しなければならない。 6 返納すべき旅券(第一項の規定に基づき返納を命ぜられた旅券を除く。)の名義人がこれを保有することを希望するときは、返納を受けた都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、その旅券に消印をしてこれを当該旅券の名義人に還付することができる。 (返納に係る公告) 第十九条の二 外務大臣又は領事官は、前条第四項の規定により一般旅券の返納を命ずる旨の通知(以下この条において「通知」という。)をする場合において、当該一般旅券の名義人の所在が知れないときその他通知をすべき書面を送付することができないやむを得ない事情があるときは、通知をすべき内容を外務大臣が官報に掲載することをもつて通知に代えることができる。 2 前項の場合においては、外務大臣が通知をすべき内容を官報に掲載した日から起算して二十日を経過した日に、通知が当該一般旅券の名義人に到達したものとみなす。 3 第一項の場合においては、外務大臣は、遅滞なく、必要と認める地域に係る領事官に対し、通知をすべき内容を官報に掲載した旨を通報するものとし、当該通報を受けた領事官は、その所属する領事館の適当な場所に当該通報の内容を掲示するものとする。 (帰国のための渡航書) 第十九条の三 外務大臣又は領事官は、外国にある日本国民のうち次の各号のいずれかに該当する者で本邦に帰国することを希望するものに対し、その者の申請に基づいて、必要があると認める場合には、旅券に代えて渡航書を発給することができる。 一 旅券を所持しない者であつて緊急に帰国する必要があり、かつ、旅券の発給を受けるいとまがないもの 二 旅券の発給を受けることができない者 三 第十九条第一項の規定による旅券の返納の命令に基づいて旅券を返納した者 2 渡航書の発給を受けようとする者は、渡航書発給申請書その他外務省令で定める書類及び写真を領事官に提出して、渡航書の発給を申請するものとする。この場合において、その者の現住する地方に領事館が設置されていないときその他のその者が当該申請をすることができないやむを得ない事情があるときは、その者の親族その他外務省令で定める関係者が、外務大臣又は領事官に対して申請するものとする。 3 前項の申請に基づいて発行された渡航書は、外務大臣又は領事官が、当該渡航書の発給を申請した者の出頭を求めて当該申請者に交付する。 4 外務大臣又は領事官は、第一項各号のいずれかに該当する者の帰国のため特に必要があると認める場合には、前三項の規定にかかわらず、渡航書を申請に基づかないで発行し、又は出頭を求めることなく渡航書が確実に受領されると認められる最も適当な方法によりこれを交付することができる。 5 外務大臣又は領事官は、第一項又は前項の規定に基づき渡航書を発給する場合には、渡航書の有効期間及び帰国の経由地を指定することができる。 (国内における手数料) 第二十条 国内において次の各号に掲げる処分の申請をする者は、政令で定めるところにより、当該各号に定める額の手数料を国に納付しなければならない。 一 第五条第一項本文の一般旅券の発給 一万四千円 二 第五条第一項ただし書の一般旅券の発給 九千円(処分の申請をする者が十二歳未満であるときは、四千円) 三 前二号に掲げる一般旅券以外の一般旅券の発給 四千円 四 一般旅券の渡航先の追加 千三百円 五 渡航書の発給 二千五百円 2 第十八条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定によりその効力を失つた一般旅券の発給に係る申請をした者が、当該効力を失つた日から五年以内に最初に前項第一号から第三号までに掲げる処分の申請をする場合には、政令で定めるところにより、当該各号に定める額に四千円を加えた額の手数料を、国に納付しなければならない。 3 都道府県は、国内において第一項第一号から第四号までに掲げる処分の申請をする者から、条例で定めるところにより、手数料を徴収することができる。この場合において、都道府県は、都道府県における当該事務に要する実費を勘案して政令で定める額を標準として、当該手数料の額を定めなければならない。 4 第一項第一号から第四号までに掲げる処分の申請をする者が、第三条第一項ただし書(第九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により直接外務大臣に申請する場合には、当該各号に定める額(第二項に規定する場合には、同項に定める額)に政令で定める額を加えた額の手数料を、国に納付しなければならない。 5 一般旅券の発給を必要とする原因が関係官庁の過失によつて生じた場合には、前各項の規定にかかわらず、手数料を納付することを要しない。 6 大規模な災害に際して申請者の経済的負担の軽減を図るために特に必要があると外務大臣が認める場合には、政令で定めるところにより、第一項、第二項及び第四項の規定による国に納付すべき手数料を減額し、又は免除することができる。 (国外における手数料) 第二十条の二 国外において前条第一項各号に掲げる処分の申請をする者は、政令で定めるところにより、当該各号に定める額に同条第四項の政令で定める額を加えた額に相当するものとして政令で定める額の手数料を、国に納付しなければならない。 2 前条第二項の規定は、国外において同条第一項第一号から第三号までに掲げる処分の申請をする者について準用する。この場合において、同条第二項中「定める額に」とあるのは「定める額に第四項の政令で定める額及び」と、「加えた」とあるのは「加えた額に相当するものとして政令で定める」と、それぞれ読み替えるものとする。 3 前条第五項及び第六項の規定は、国外において同条第一項各号に掲げる処分の申請をする者について準用する。この場合において、同条第五項中「前各項」とあり、及び同条第六項中「第一項、第二項及び第四項」とあるのは、「次条第一項及び第二項」と読み替えるものとする。 (事務の委任) 第二十一条 外務大臣は、第十九条第四項の規定による通知に係る書面の交付に関する事務を入国審査官に委任することができる。 (都道府県が処理する事務) 第二十一条の二 この法律に規定する外務大臣の一般旅券に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。 (事務の区分) 第二十一条の三 第三条第一項から第三項まで、第五項及び第六項、第八条第一項及び第三項、第九条第一項及び第三項、第十条第四項、第十七条第一項から第三項まで並びに第十九条第五項及び第六項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。 (外務大臣の指示) 第二十一条の四 外務大臣は、国内外の情勢の急激な変化、人道上の理由その他の事由により必要と認めるときは、都道府県知事に対し、この法律又はこの法律に基づく政令の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示を行うことができる。 (外務省令への委任) 第二十二条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、外務省令で定める。 (罰則) 第二十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 一 この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者 二 他人名義の旅券又は渡航書を行使した者 三 行使の目的をもつて、自己名義の旅券又は渡航書を他人に譲り渡し、又は貸与した者 四 行使の目的をもつて、他人名義の旅券又は渡航書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者 五 行使の目的をもつて、旅券又は渡航書として偽造された文書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者 六 第十九条第一項の規定により旅券の返納を命ぜられた場合において、同項に規定する期限内にこれを返納しなかつた者 七 効力を失つた旅券又は渡航書を行使した者 2 営利の目的をもつて、前項第一号、第四号又は第五号の罪を犯した者は、七年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 3 第一項(第四号及び第五号の所持に係る部分並びに第六号を除く。)及び前項(第一項第四号及び第五号の所持に係る部分を除く。)の未遂罪は、罰する。 4 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 一般旅券に記載された渡航先以外の地域に渡航した者 二 渡航書に帰国の経由地が指定されている場合において、経由地以外の地域に渡航した者 (国外犯罪) 第二十四条 前条の規定は、国外において同条の罪を犯した者にも適用する。 (没取) 第二十五条 第二十三条の罪(第一項第一号の未遂罪を除く。)を犯した者の旅券若しくは渡航書又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書は、外務大臣が没取することができる。 附 則 省 略