所得税法(非居住者,外国法人関連部分) 第一編 総則 第一章 通則 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 国内 この法律の施行地をいう。 二 国外 この法律の施行地外の地域をいう。 三 居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。 四 非永住者 居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。 五 非居住者 居住者以外の個人をいう。 六 内国法人 国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。 七 外国法人 内国法人以外の法人をいう。 八 人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。 八の二 株主等 株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。 八の三 法人課税信託 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号の二(定義)に規定する法人課税信託をいう。 九 公社債 公債及び社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)をいう。 十 預貯金 預金及び貯金(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)をいう。 十一 合同運用信託 信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二項(定義)に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十二項に規定する外国投資信託をいう。第十二号の二及び第十三号において同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。 十二 貸付信託 貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項(定義)に規定する貸付信託をいう。 十二の二 投資信託 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託及び外国投資信託をいう。 十三 証券投資信託 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。 十四 オープン型の証券投資信託 証券投資信託のうち、元本の追加信託をすることができるものをいう。 十五 公社債投資信託 証券投資信託のうち、その信託財産を公社債に対する投資として運用することを目的とするもので、株式(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。第二十四条(配当所得)、第二十五条(配当等とみなす金額)、第五十七条の四第三項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百七十六条第一項及び第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)、第二百二十四条の三第二項第一号(株式等の譲渡の対価の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項第二号(支払調書及び支払通知書)において同じ。)又は出資に対する投資として運用しないものをいう。 十五の二 公社債等運用投資信託 証券投資信託以外の投資信託のうち、信託財産として受け入れた金銭を公社債等(公社債、手形、指名金銭債権(指名債権であつて金銭の支払を目的とするものをいう。)その他の政令で定める資産をいう。)に対して運用するものとして政令で定めるものをいう。 十五の三 公募公社債等運用投資信託 その設定に係る受益権の募集が公募(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項(定義)に規定する取得勧誘のうち同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものをいう。)により行われた公社債等運用投資信託(法人税法第二条第二十九号ロ(2)に掲げる投資信託に該当するものに限る。)をいう。 十五の四 特定目的信託 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項(定義)に規定する特定目的信託をいう。 十五の五 特定受益証券発行信託 法人税法第二条第二十九号ハに規定する特定受益証券発行信託をいう。 十六 たな卸資産 事業所得を生ずべき事業に係る商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産(有価証券及び山林を除く。)でたな卸をすべきものとして政令で定めるものをいう。 十七 有価証券 金融商品取引法第二条第一項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。 十八 固定資産 土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産(山林を除く。)で政令で定めるものをいう。 十九 減価償却資産 不動産所得若しくは雑所得の基因となり、又は不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供される建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。 二十 繰延資産 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。 二十一 各種所得 第二編第二章第二節第一款(所得の種類及び各種所得の金額)に規定する利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得をいう。 二十二 各種所得の金額 第二編第二章第二節第一款に規定する利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、退職所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額をいう。 二十三 変動所得 漁獲から生ずる所得、著作権の使用料に係る所得その他の所得で年年の変動の著しいもののうち政令で定めるものをいう。 二十四 臨時所得 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金に係る所得その他の所得で臨時に発生するもののうち政令で定めるものをいう。 二十五 純損失の金額 第六十九条第一項(損益通算)に規定する損失の金額のうち同条の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額をいう。 二十六 雑損失の金額 第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。 二十七 災害 震災、風水害、火災その他政令で定める災害をいう。 二十八 障害者 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。 二十九 特別障害者 障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。 三十 寡婦 次に掲げる者をいう。 イ 夫と死別し、若しくは夫と離婚した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、扶養親族その他その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有するもの ロ イに掲げる者のほか、夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、第七十条(純損失の繰越控除)及び第七十一条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第二十二条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が五百万円以下であるもの 三十一 寡夫 妻と死別し、若しくは妻と離婚した後婚姻をしていない者又は妻の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、その者と生計を一にする親族で政令で定めるものを有し、かつ、合計所得金額が五百万円以下であるものをいう。 三十二 勤労学生 次に掲げる者で、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下この号において「給与所得等」という。)を有するもののうち、合計所得金額が六十五万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が十万円以下であるものをいう。 イ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校の学生、生徒又は児童 ロ 国、地方公共団体又は私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条(定義)に規定する学校法人、同法第六十四条第四項(私立専修学校及び私立各種学校)の規定により設立された法人若しくはこれらに準ずるものとして政令で定める者の設置した学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項(各種学校)に規定する各種学校の生徒で政令で定める課程を履修するもの ハ 職業訓練法人の行う職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第三項(職業訓練の認定)に規定する認定職業訓練を受ける者で政令で定める課程を履修するもの 三十三 控除対象配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が三十八万円以下である者をいう。 三十三の二 老人控除対象配偶者 控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。 三十四 扶養親族 居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の三第一項(定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号(市町村の採るべき措置)の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が三十八万円以下である者をいう。 三十四の二 特定扶養親族 扶養親族のうち、年齢十六歳以上二十三歳未満の者をいう。 三十四の三 老人扶養親族 扶養親族のうち、年齢七十歳以上の者をいう。 三十五 特別農業所得者 その年において農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕に係る事業その他これに類するものとして政令で定める事業から生ずる所得をいう。以下この号において同じ。)の金額が総所得金額の十分の七に相当する金額をこえ、かつ、その年九月一日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の十分の七をこえる者をいう。 三十六 予定納税額 第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)(これらの規定を第百六十六条(非居住者に対する準用)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税の額をいう。 三十七 確定申告書 第二編第五章第二節第一款及び第二款(確定申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。 三十八 期限後申告書 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告書)に規定する期限後申告書をいう。 三十九 修正申告書 国税通則法第十九条第三項(修正申告書)に規定する修正申告書をいう。 四十 青色申告書 第百四十三条(青色申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する確定申告書及び確定申告書に係る修正申告書をいう。 四十一 確定申告期限 第百二十条第一項(確定所得申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいい、年の中途において死亡し又は出国をした場合には、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいう。 四十二 出国 居住者については、国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいい、非居住者については、同項の規定による納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しないこととなること(国内に居所を有しない非居住者で第百六十四条第一項第一号から第三号まで(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者に該当するものについては、これらの号に掲げる非居住者のいずれにも該当しなくなることとし、国内に居所を有しない非居住者で同項第四号に掲げる非居住者に該当するものについては、国内において行う第百六十一条第二号(人的役務の提供事業に係る対価)に規定する事業を廃止することとする。)をいう。 四十三 更正 国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。 四十四 決定 第十九条(納税地指定の処分の取消しがあつた場合の申告等の効力)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。 四十五 源泉徴収 第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収し及び納付することをいう。 四十六 附帯税 国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。 四十七 充当 第百九十条(年末調整)及び第百九十一条(過納額の還付)の場合を除き、国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。 四十八 還付加算金 国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。 (納税義務者) 第五条 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。 2 非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。 一 第百六十一条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(次号において「国内源泉所得」という。)を有するとき(同号に掲げる場合を除く。)。 二 その引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得(第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金をいう。以下この条において同じ。)の支払を国内において受けるとき又は当該信託財産に帰せられる外国法人課税所得(国内源泉所得のうち第百六十一条第一号の二から第七号まで又は第九号から第十二号までに掲げるものをいう。以下この条において同じ。)の支払を受けるとき。 3 内国法人は、国内において内国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる外国法人課税所得の支払を受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。 4 外国法人は、外国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得の支払を国内において受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。 第三章 課税所得の範囲 (課税所得の範囲) 第七条 所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。 一 非永住者以外の居住者 すべての所得 二 非永住者 第百六十一条(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(以下この条において「国内源泉所得」という。)及びこれ以外の所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの 三 非居住者 第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応じそれぞれ同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得 四 内国法人 国内において支払われる第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配及び賞金 五 外国法人 国内源泉所得のうち第百六十一条第一号の二から第七号まで及び第九号から第十二号までに掲げるもの(法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる外国法人については、第百六十一条第一号の二に掲げるものを除く。) 2 前項第二号に掲げる所得の範囲に関し必要な事項は、政令で定める。 (納税義務者の区分が異動した場合の課税所得の範囲) 第八条 その年において、個人が非永住者以外の居住者、非永住者又は第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分のうち二以上のものに該当した場合には、その者がその年において非永住者以外の居住者、非永住者又は当該各号に掲げる非居住者であつた期間に応じ、それぞれの期間内に生じた前条第一項第一号から第三号までに掲げる所得に対し、所得税を課する。 (公共法人等及び公益信託等に係る非課税) 第十一条 別表第一に掲げる内国法人が支払を受ける第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益及び利益の分配(公社債又は貸付信託、投資信託若しくは特定目的信託の受益権で政令で定めるもの(以下この条において「公社債等」という。)の利子、収益の分配又は第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当(以下この条において「利子等」という。)にあつては、当該内国法人が当該公社債等を引き続き所有していた期間に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する部分に限る。)については、所得税を課さない。 2 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条(公益信託)に規定する公益信託又は社債、株式等の振替に関する法律第二条第十一項(定義)に規定する加入者保護信託の信託財産につき生ずる所得(公社債等の利子等に係るものにあつては、当該公社債等が当該公益信託又は当該加入者保護信託の信託財産に引き続き属していた期間に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する部分に限る。)については、所得税を課さない。 3 前二項の規定のうち公社債等の利子等に係る部分は、これらの規定に規定する内国法人又は公益信託若しくは加入者保護信託の受託者が、公社債等につき社債、株式等の振替に関する法律に規定する振替口座簿への記載又は記録その他の政令で定める方法により管理されており、かつ、政令で定めるところにより、当該公社債等の利子等につきこれらの規定の適用を受けようとする旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、当該公社債等の利子等の支払をする者を経由して税務署長に提出した場合に限り、適用する。 第五章 納税地 (源泉徴収に係る所得税の納税地) 第十七条 第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者のその支払につき源泉徴収をすべき所得税の納税地は、その者の事務所、事業所その他これらに準ずるものでその支払事務を取り扱うもののその支払の日における所在地とする。ただし、公社債の利子、内国法人(第六条の三第一号(受託法人等に関するこの法律の適用)の規定により内国法人とされる同条に規定する受託法人を含む。)が支払う第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当その他の政令で定めるものについては、その支払をする者の本店又は主たる事務所の所在地その他の政令で定める場所とする。 (納税地の指定) 第十八条 省略 2 前条の規定による納税地が同条に規定する支払をする者の支払事務の形態その他の状況からみて同条の所得税の納税地として不適当であると認められる場合には、その納税地の所轄国税局長は、同条の規定にかかわらず、その所得税の納税地を指定することができる。 第二編 居住者の納税義務 第一章 通則 (所得税額の計算の順序) 第二十一条 居住者に対して課する所得税の額は、次に定める順序により計算する。 一 次章第二節(各種所得の金額の計算)の規定により、その所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算する。 二 前号の所得の金額を基礎として、次条及び次章第三節(損益通算及び損失の繰越控除)の規定により同条に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。 三 次章第四節(所得控除)の規定により前号の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から基礎控除その他の控除をして第八十九条第二項(税率)に規定する課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を計算する。 四 前号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を基礎として、第三章第一節(税率)の規定により所得税の額を計算する。 五 第三章第二節(税額控除)の規定により配当控除及び外国税額控除を受ける場合には、前号の所得税の額に相当する金額からその控除をした後の金額をもつて所得税の額とする。 2 前項の場合において、居住者が第四章(税額の計算の特例)の規定に該当するときは、その者に対して課する所得税の額については、同章に定めるところによる。 第二章 課税標準及びその計算並びに所得控除 第一節 課税標準 (課税標準) 第二十二条 居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。 2 総所得金額は、次節(各種所得の金額の計算)の規定により計算した次に掲げる金額の合計額(第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。 一 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額(第三十三条第三項第一号(譲渡所得の金額の計算)に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び雑所得の金額(これらの金額につき第六十九条(損益通算)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額 二 譲渡所得の金額(第三十三条第三項第二号に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び一時所得の金額(これらの金額につき第六十九条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額の二分の一に相当する金額 3 退職所得金額又は山林所得金額は、それぞれ次節の規定により計算した退職所得の金額又は山林所得の金額(これらの金額につき第六十九条から第七十一条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。 第二節 各種所得の金額の計算 第一款 所得の種類及び各種所得の金額 (利子所得) 第二十三条 利子所得とは、公社債及び預貯金の利子(社債、株式等の振替に関する法律第九十条第三項(定義)に規定する分離利息振替国債(財務省令で定めるところにより同条第一項に規定する元利分離が行われたものに限る。)に係るものを除く。)並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配(以下この条において「利子等」という。)に係る所得をいう。 2 利子所得の金額は、その年中の利子等の収入金額とする。 (配当所得) 第二十四条 配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける剰余金の配当(株式又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含む。次条において同じ。)に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割(同法第二条第十二号の九に規定する分割型分割をいい、法人課税信託に係る信託の分割を含む。以下この項及び次条において同じ。)によるものを除く。)、利益の配当(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含むものとし、分割型分割によるものを除く。)、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、基金利息(保険業法(平成七年法律第百五号)第五十五条第一項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配(以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。 2 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となつた有価証券を取得するために要した負債の利子を除く。以下この項において同じ。)でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。 (配当等とみなす金額) 第二十五条 法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額又は同条第十七号の二に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配とみなす。 一 当該法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含むものとし、法人税法第二条第十二号の八に規定する適格合併を除く。) 二 当該法人の分割型分割(法人税法第二条第十二号の十二に規定する適格分割型分割を除く。) 三 当該法人の資本の払戻し(株式に係る剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち、分割型分割によるもの以外のものをいう。)又は当該法人の解散による残余財産の分配 四 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号から第三号まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。) 五 当該法人の出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、当該法人の出資の払戻し、当該法人からの社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は当該法人の株式若しくは出資を当該法人が取得することなく消滅させること。 六 当該法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした当該法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。) 2 前項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額の計算の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (不動産所得) 第二十六条 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 2 不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。 (事業所得) 第二十七条 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。 (給与所得) 第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。 2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。 3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額(当該金額が六十五万円に満たない場合には、六十五万円) 二 前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 七十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額 三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百二十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額 四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え千万円以下である場合 百八十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額 五 前項に規定する収入金額が千万円を超える場合 二百二十万円と当該収入金額から千万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額 4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。 (退職所得) 第三十条 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。 2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額とする。 3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。 一 政令で定める勤続年数(以下この項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額 二 勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額 4 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、前項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる金額とする。 一 その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合 前項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額 二 前項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。) 八十万円 三 障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合 前項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額 (退職手当等とみなす一時金) 第三十一条 次に掲げる一時金は、この法律の規定の適用については、前条第一項に規定する退職手当等とみなす。 一 国民年金法、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)(第九章(厚生年金基金及び企業年金連合会)の規定を除く。)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)及び独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号)の規定に基づく一時金その他これらの法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類する制度に基づく一時金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの 二 厚生年金保険法第九章の規定に基づく一時金で同法第百二十二条(加入員)に規定する加入員の退職に基因して支払われるもの及び石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号)の規定に基づく一時金で同法第十六条第一項(坑内員に関する給付)又は第十八条第一項(坑外員に関する給付)に規定する坑内員又は坑外員の退職に基因して支払われるもの 三 確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)の規定に基づいて支給を受ける一時金で同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者の退職により支払われるもの(同法第三条第一項(確定給付企業年金の実施)に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて拠出された掛金のうちに当該加入者の負担した金額がある場合には、その一時金の額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する一時金として政令で定めるもの (山林所得) 第三十二条 山林所得とは、山林の伐採又は譲渡による所得をいう。 2 山林をその取得の日以後五年以内に伐採し又は譲渡することによる所得は、山林所得に含まれないものとする。 3 山林所得の金額は、その年中の山林所得に係る総収入金額から必要経費を控除し、その残額から山林所得の特別控除額を控除した金額とする。 4 前項に規定する山林所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。 (譲渡所得) 第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。 2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。 一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得 二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得 3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。 一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。) 二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの 4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。 5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。 (一時所得) 第三十四条 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。 2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。 3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。 (雑所得) 第三十五条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。 2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。 一 その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額 二 その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額 3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。 一 第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの 二 恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金 三 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの 4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。ただし、当該合計額が七十万円に満たないときは、七十万円とする。 一 五十万円 二 その年中の公的年金等の収入金額から前号に掲げる金額を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げる金額 イ 当該残額が三百六十万円以下である場合 当該残額の百分の二十五に相当する金額 ロ 当該残額が三百六十万円を超え、七百二十万円以下である場合 九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額 ハ 当該残額が七百二十万円を超える場合 百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額 第二款 所得金額の計算の通則 (収入金額) 第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。 2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。 3 無記名の公社債の利子、無記名株式等の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。 (必要経費) 第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。 2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。 (譲渡所得の金額の計算上控除する取得費) 第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。 2 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。 一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額 二 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額 第三款 収入金額の計算 (たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入) 第三十九条 居住者がたな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合には、その消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 (たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入) 第四十条 次の各号に掲げる事由により居住者の有するたな卸資産(事業所得の基因となる山林その他たな卸資産に準ずる資産として政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)の移転があつた場合には、当該各号に掲げる金額に相当する金額は、その者のその事由が生じた日の属する年分の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 一 贈与(相続人に対する贈与で被相続人である贈与者の死亡により効力を生ずるものを除く。)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く。) 当該贈与又は遺贈の時におけるそのたな卸資産の価額 二 著しく低い価額の対価による譲渡 当該対価の額と当該譲渡の時におけるそのたな卸資産の価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額 2 居住者が前項各号に掲げる贈与若しくは遺贈又は譲渡により取得したたな卸資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。 一 前項第一号に掲げる贈与又は遺贈により取得したたな卸資産については、同号に掲げる金額をもつて取得したものとみなす。 二 前項第二号に掲げる譲渡により取得したたな卸資産については、当該譲渡の対価の額と同号に掲げる金額との合計額をもつて取得したものとみなす。 (農産物の収穫の場合の総収入金額算入) 第四十一条 農業を営む居住者が農産物(米、麦その他政令で定めるものに限る。)を収穫した場合には、その収穫した時における当該農産物の価額(以下この条において「収穫価額」という。)に相当する金額は、その者のその収穫の日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 2 前項の農産物は、同項に規定する時にその収穫価額をもつて取得したものとみなす。 (国庫補助金等の総収入金額不算入) 第四十二条 居住者が、各年において固定資産(山林を含む。以下この条及び次条において同じ。)の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(以下この条及び次条において「国庫補助金等」という。)の交付を受け、その年においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合には、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年十二月三十一日(その者が当該取得又は改良をした後その年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)までに確定した場合に限り、その国庫補助金等のうちその固定資産の取得又は改良に充てた部分の金額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。 2 居住者が各年において国庫補助金等の交付に代わるべきものとして交付を受ける固定資産を取得した場合には、その固定資産の価額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。 3 前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定の適用を受ける旨、これらの規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。 4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。 5 第一項又は第二項の規定の適用を受けた居住者が国庫補助金等により取得し、若しくは改良した固定資産又はその取得した同項に規定する固定資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者がその固定資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 (条件付国庫補助金等の総収入金額不算入) 第四十三条 居住者が、各年において固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等の交付を受ける場合において、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年十二月三十一日(その者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)までに確定していないときは、その国庫補助金等の額に相当する金額は、その者のその年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。 2 前項の規定の適用を受けた居住者が交付を受けた同項の国庫補助金等の全部又は一部の返還を要しないことが確定した場合には、その国庫補助金等の額のうちその確定した部分に相当する金額は、その国庫補助金等の交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良に充てられた金額のうち政令で定める金額を除き、その者のその確定した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 3 第一項の規定の適用を受けた居住者が交付を受けた同項の国庫補助金等の全部又は一部の返還をすべきことが確定した場合には、その国庫補助金等の額のうちその確定した部分に相当する金額は、その者のその確定した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、必要経費又は支出した金額に算入しない。 4 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、同項の規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。 5 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 6 第一項の規定の適用を受けた居住者が国庫補助金等により取得し又は改良した固定資産について行なうべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者がその固定資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 (移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入) 第四十四条 居住者が、国若しくは地方公共団体からその行政目的の遂行のために必要なその者の資産の移転、移築若しくは除却その他これらに類する行為(固定資産の改良その他政令で定める行為を除く。以下この項において「資産の移転等」という。)の費用に充てるため補助金の交付を受け、又は土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の規定による収用その他政令で定めるやむを得ない事由の発生に伴いその者の資産の移転等の費用に充てるための金額の交付を受けた場合において、その交付を受けた金額をその交付の目的に従つて資産の移転等の費用に充てたときは、その費用に充てた金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。ただし、その費用に充てた金額のうち各種所得の金額の計算上必要経費に算入され又は譲渡に要した費用とされる部分の金額に相当する金額については、この限りでない。 (減額された外国所得税額の総収入金額不算入等) 第四十四条の二 居住者が第九十五条第一項から第三項まで(外国税額控除)の規定の適用を受けた年の翌年以後の各年においてこれらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となつた同条第一項に規定する外国所得税の額が減額された場合には、その減額された金額のうちその減額されることとなつた日の属する年分における同条の規定による外国税額控除の適用に係る部分に相当する金額として政令で定める金額は、その者の当該年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、一時所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。この場合において、その減額された金額から当該政令で定める金額を控除した金額は、その者の当該年分の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 第四款 必要経費等の計算 第一目 家事関連費、租税公課等 (家事関連費等の必要経費不算入等) 第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。 一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの 二 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項(確定申告税額の延納に係る利子税)又は第百三十六条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く。) 三 所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税 四 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。) 五 地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金 六 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はこれに準ずる者として政令で定めるものが課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料 七 損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの 八 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金 九 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金 十 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金 十一 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金 2 居住者が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第十八条第一項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額(その供与に要する費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。 3 第一項第二号から第七号までに掲げるものの額又は前項に規定する金銭の額及び金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の価額は、第一項又は前項の居住者の一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入しない。 (所得税額から控除する外国税額の必要経費不算入) 第四十六条 居住者が第九十五条第一項(外国税額控除)に規定する外国所得税の額につき同条又は第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)の規定の適用を受ける場合には、当該外国所得税の額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額若しくは雑所得の金額又は一時所得の金額の計算上、必要経費又は支出した金額に算入しない。 第二目 資産の評価及び償却費 (たな卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法) 第四十七条 居住者のたな卸資産につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。次条から第五十条までにおいて同じ。)において有するたな卸資産の価額は、その者がたな卸資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。 2 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他たな卸資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。 (有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法) 第四十八条 居住者の有価証券につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する有価証券の価額は、その者が有価証券について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。 2 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他有価証券の評価に関し必要な事項は、政令で定める。 3 居住者が二回以上にわたつて取得した同一銘柄の有価証券につき第三十七条第一項の規定によりその者の雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定によりその者の譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、政令で定めるところにより、それぞれの取得に要した金額を基礎として第一項の規定に準じて評価した金額とする。 (減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法) 第四十九条 居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。 2 前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。 (繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法) 第五十条 居住者のその年十二月三十一日における繰延資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その繰延資産に係る支出の効果の及ぶ期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。 2 前項に定めるもののほか、繰延資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。 第三目 資産損失 (資産損失の必要経費算入) 第五十一条 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 5 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 第四目 引当金 (貸倒引当金) 第五十二条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者が、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の規定による更生計画認可の決定に基づいてその有する売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる金銭債権で当該事業の遂行上生じたもの(以下この項において「貸金等」という。)の弁済を猶予され、又は賦払により弁済される場合その他の政令で定める場合において、その一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれる貸金等(当該貸金等に係る債務者に対する他の貸金等がある場合には、当該他の貸金等を含む。以下この項及び次項において「個別評価貸金等」という。)のその損失の見込額として、各年(事業の全部を譲渡し、又は廃止した日の属する年を除く。次項において同じ。)において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡した場合には、その死亡の時。次項において同じ。)において当該個別評価貸金等の取立て又は弁済の見込みがないと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたときは、この限りでない。 2 青色申告書を提出する居住者で事業所得を生ずべき事業を営むものが、その有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権で当該事業の遂行上生じたもの(個別評価貸金等を除く。以下この項において「一括評価貸金」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日において有する一括評価貸金の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたとき、その他政令で定める場合は、この限りでない。 3 前二項の規定によりその繰入れをした年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額は、その繰入れをした年の翌年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 4 第一項及び第二項の規定は、確定申告書に貸倒引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 5 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。 6 第一項又は第二項に規定する居住者が死亡した場合において、これらの規定によりその者の死亡の日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額があるときにおける当該貸倒引当金勘定の金額の処理に関し必要な事項は、政令で定める。 (返品調整引当金) 第五十三条 青色申告書を提出する居住者で出版業その他政令で定める事業を営むもののうち、常時、その販売する当該事業に係るたな卸資産の大部分につき、当該販売の際の価額による買戻しに係る特約その他の政令で定める特約を結んでいるものが、当該たな卸資産の当該特約に基づく買戻しによる損失の見込額として、各年(事業の全部を譲渡し又は廃止した年を除く。)において返品調整引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、最近における当該たな卸資産の当該特約に基づく買戻しの実績を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたとき、その他政令で定める場合は、この限りでない。 2 前項の規定によりその繰入れをした年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入された返品調整引当金勘定の金額は、その繰入れをした年の翌年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 3 第一項の規定は、確定申告書に返品調整引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 4 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 5 第一項に規定する居住者が死亡した場合において、同項の規定によりその者の死亡の日の属する年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入された返品調整引当金勘定の金額があるときにおける当該返品調整引当金勘定の金額の処理に関し必要な事項は、政令で定める。 (退職給与引当金) 第五十四条 青色申告書を提出する居住者で事業所得を生ずべき事業を営むもののうち、政令で定める退職給与規程を定めているものが、その事業に係る使用人(その居住者と生計を一にする配偶者その他の親族を除く。以下この条において同じ。)の退職により支給する退職給与に充てるため、各年において退職給与引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日(その居住者が年の中途において死亡した場合には、その死亡の時)において在職するその事業に係る使用人の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職給与として支給されるべき金額の見積額のうちその年において増加したと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その居住者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 2 退職給与引当金勘定の金額(前項の規定によりその繰入れをした年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されたものに限るものとし、既にこの項の規定により取りくずすべきこととなつたものを除く。以下この条において同じ。)を有する居住者は、前項の使用人が退職した場合、青色申告書の提出の承認を取り消された場合その他政令で定める場合には、政令で定めるところにより、その退職給与引当金勘定の金額を取りくずさなければならない。 3 前項の規定により取りくずすべきこととなつた退職給与引当金勘定の金額又は同項の規定に該当しないで取りくずした退職給与引当金勘定の金額は、それぞれその取りくずすべきこととなつた日又は取りくずした日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。 4 第一項の規定は、確定申告書に退職給与引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 5 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 6 第二項から前項までに定めるもののほか、退職給与引当金勘定の金額を有する居住者が死亡した場合における当該退職給与引当金勘定の金額の処理その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第五目 親族が事業から受ける対価 (事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例) 第五十六条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。 (事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等) 第五十七条 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。 2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 3 居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。 一 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額 イ その居住者の配偶者である事業専従者 八十六万円 ロ イに掲げる者以外の事業専従者 五十万円 二 その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額 4 前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。 5 第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。 6 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。 7 第一項又は第三項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。 8 青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目、第二項の書類に記載した事項を変更する場合の手続その他第一項又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第六目 給与所得者の特定支出 (給与所得者の特定支出の控除の特例) 第五十七条の二 居住者が、各年において特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が第二十八条第三項(給与所得)に規定する給与所得控除額を超えるときは、その年分の同条第二項に規定する給与所得の金額は、同項及び同条第四項の規定にかかわらず、同条第二項の残額からその超える部分の金額を控除した金額とすることができる。 2 前項に規定する特定支出とは、居住者の次に掲げる支出(その支出につきその者に係る第二十八条第一項に規定する給与等の支払をする者(以下この項において「給与等の支払者」という。)により補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分につき所得税が課されない場合における当該補てんされる部分を除く。)をいう。 一 その者の通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出で、その通勤の経路及び方法がその者の通勤に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定める支出 二 転任に伴うものであることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた転居のために通常必要であると認められる支出として政令で定めるもの 三 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修(人の資格を取得するためのものを除く。)であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののための支出 四 人の資格(弁護士、公認会計士、税理士その他の人の資格で、法令の規定に基づきその資格を有する者に限り特定の業務を営むことができることとされるものを除く。)を取得するための支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの 五 転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなつた場合その他これに類する場合として政令で定める場合に該当することにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた場合におけるその者の勤務する場所又は居所とその配偶者その他の親族が居住する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で政令で定めるもの 3 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項に規定する特定支出の額の合計額の記載があり、かつ、前項各号に掲げるそれぞれの特定支出に関する明細書及びこれらの各号に規定する証明の書類の添付がある場合に限り、適用する。 4 第一項の規定の適用を受ける旨の記載がある確定申告書を提出する場合には、同項に規定する特定支出の事実及び支出した金額を証する書類として政令で定める書類を当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない。 5 前各項に定めるもののほか、第二項に規定する特定支出の範囲の細目その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第四款の二 外貨建取引の換算 (外貨建取引の換算) 第五十七条の三 居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。以下この条において同じ。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。次項において同じ。)は当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 2 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う居住者が、先物外国為替契約等(外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産若しくは負債の金額の円換算額を確定させる契約として財務省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産若しくは負債の金額の円換算額を確定させた場合において、当該先物外国為替契約等の締結の日においてその旨を財務省令で定めるところによりその者の当該業務に係る帳簿書類その他の財務省令で定める書類に記載したときは、当該資産又は負債については、当該円換算額をもつて、前項の規定により換算した金額として、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額を計算するものとする。 3 前項に定めるもののほか、外貨建取引の換算の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第五款 資産の譲渡に関する総収入金額並びに必要経費及び取得費の計算の特例 (株式交換等に係る譲渡所得等の特例) 第五十七条の四 居住者が、各年において、その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行つた株式交換(当該法人の株主に法人税法第二条第十二号の六の四(定義)に規定する株式交換完全親法人(以下この項において「株式交換完全親法人」という。)の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)又は株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式若しくは出資(当該株式交換完全親法人が有する自己の株式を除く。)の全部を保有する関係として政令で定める関係がある法人の株式のいずれか一方の株式以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付された金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式交換完全親法人に対し当該旧株の譲渡をし、かつ、当該株式の交付を受けた場合には、第二十七条(事業所得)、第三十三条(譲渡所得)又は第三十五条(雑所得)の規定の適用については、当該旧株の譲渡がなかつたものとみなす。 2 居住者が、各年において、その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行つた株式移転(当該法人の株主に法人税法第二条第十二号の七に規定する株式移転完全親法人(以下この項において「株式移転完全親法人」という。)の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式移転完全親法人に対し当該旧株の譲渡をし、かつ、当該株式移転完全親法人の株式の交付を受けた場合には、第二十七条、第三十三条又は第三十五条の規定の適用については、当該旧株の譲渡がなかつたものとみなす。 3 居住者が、各年において、その有する次の各号に掲げる有価証券を当該各号に定める事由により譲渡をし、かつ、当該事由により当該各号に規定する取得をする法人の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)又は新株予約権の交付を受けた場合(当該交付を受けた株式又は新株予約権の価額が当該譲渡をした有価証券の価額とおおむね同額となつていないと認められる場合を除く。)には、第二十七条、第三十三条又は第三十五条の規定の適用については、当該有価証券の譲渡がなかつたものとみなす。 一 取得請求権付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主等が当該法人に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。) 当該取得請求権付株式に係る請求権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該請求権の行使 二 取得条項付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件として当該株式の取得をすることができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。) 当該取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合(その取得の対象となつた種類の株式のすべてが取得をされる場合には、その取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含む。)の当該取得事由の発生 三 全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(以下この号において「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。) 当該全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式(当該株式と併せて交付される当該取得をする法人の新株予約権を含む。)以外の資産(当該取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されない場合の当該取得決議 四 新株予約権付社債についての社債 当該新株予約権付社債に付された新株予約権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式が交付される場合の当該新株予約権の行使 五 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいい、当該新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件又は金額で交付された当該新株予約権その他の政令で定めるものを除く。) 当該取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生 六 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいう。)が付された新株予約権付社債 当該取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生 4 前三項の規定の適用がある場合における居住者が取得した有価証券の取得価額の計算その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例) 第五十八条 居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第三十三条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。 一 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地の上に存する耕作に関する権利を含む。) 二 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。) 三 機械及び装置 四 船舶 五 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。) 2 前項の規定は、同項の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額をこえる場合には、適用しない。 3 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。 4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 5 第一項の規定の適用を受けた居住者が取得資産について行なうべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 (贈与等の場合の譲渡所得等の特例) 第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。 一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。) 二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。) 2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。 (贈与等により取得した資産の取得費等) 第六十条 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。 一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。) 二 前条第二項の規定に該当する譲渡 2 居住者が前条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。 (昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費等) 第六十一条 山林所得の基因となる山林が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた山林である場合には、その山林に係る山林所得の金額の計算上控除する必要経費は、その山林の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額とその山林につき同日以後に支出した管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用の額との合計額とする。 2 譲渡所得の基因となる資産(次項及び第四項に規定する資産を除く。)が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた資産である場合には、その資産に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その資産の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額がその資産の取得に要した金額と同日前に支出した設備費及び改良費の額との合計額に満たないことが証明された場合には、当該合計額)とその資産につき同日以後に支出した設備費及び改良費の額との合計額とする。 3 譲渡所得の基因となる資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた資産で、第三十八条第二項(使用又は期間の経過により減価する資産の取得費)の規定に該当するものである場合には、その資産に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その資産の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額がその資産の取得に要した金額と同日前に支出した設備費及び改良費の額との合計額を基礎として政令で定めるところにより計算した同日におけるその資産の価額に満たないことが証明された場合には、当該価額)とその資産につき同日以後に支出した設備費及び改良費の額との合計額から、その資産を同日において当該計算した金額をもつて取得したものとみなした場合に計算される同項各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。 4 有価証券につき譲渡所得の金額を計算する場合において、譲渡所得の金額の計算上控除する有価証券の取得費の計算の基礎となる金額のうちに昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した有価証券の取得に要した金額が含まれているときは、その取得した有価証券の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額がその有価証券の取得に要した金額に満たないことが証明された場合には、その取得に要した金額)をもつて、その取得した有価証券の取得に要した金額とする。 (生活に通常必要でない資産の災害による損失) 第六十二条 居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。 2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 第六款 事業を廃止した場合等の所得計算の特例 (事業を廃止した場合の必要経費の特例) 第六十三条 居住者が不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を廃止した後において、当該事業に係る費用又は損失で当該事業を廃止しなかつたとしたならばその者のその年分以後の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額が生じた場合には、当該金額は、政令で定めるところにより、その者のその廃止した日の属する年分(同日の属する年においてこれらの所得に係る総収入金額がなかつた場合には、当該総収入金額があつた最近の年分)又はその前年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。 (資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例) 第六十四条 その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。 2 保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。 3 前項の規定は、第百五十二条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)の規定による更正の請求をする場合を除き、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。 4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第二項の規定を適用することができる。 第七款 収入及び費用の帰属の時期の特例 (延払条件付販売等に係る収入及び費用の帰属時期) 第六十五条 居住者が、延払条件付販売等に該当する棚卸資産の販売若しくは工事(製造を含む。)の請負又は役務の提供(次条第一項に規定する長期大規模工事の請負を除く。以下この条において「資産の販売等」という。)をした場合において、その資産の販売等に係る収入金額及び費用の額につき、その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の日の属する年以後の各年において政令で定める延払基準の方法により経理したときは、その経理した収入金額及び費用の額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。ただし、当該資産の販売等に係る収入金額及び費用の額につき、同日の属する年の翌年以後のいずれかの年において当該延払基準の方法により経理しなかつた場合は、その経理しなかつた年の翌年分以後の年分の事業所得の金額の計算については、この限りでない。 2 居住者が、第六十七条の二第三項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定するリース取引による同条第一項に規定するリース資産の引渡し(以下この条において「リース譲渡」という。)を行つた場合には、前項の規定にかかわらず、その対価の額を政令で定めるところにより利息に相当する部分とそれ以外の部分とに区分した場合における当該リース譲渡の日の属する年以後の各年の収入金額及び費用の額として政令で定める金額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。 3 第一項に規定する延払条件付販売等とは、資産の販売等で次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づき当該条件により行われるもの及びリース譲渡をいう。 一 月賦、年賦その他の賦払の方法により三回以上に分割して対価の支払を受けること。 二 その資産の販売等に係る目的物又は役務の引渡し又は提供の期日の翌日から最後の賦払金の支払の期日までの期間が二年以上であること。 三 その他政令で定める要件 4 第二項の規定は、リース譲渡の日の属する年分の確定申告書に同項に規定する収入金額及び費用の額として政令で定める金額の総収入金額及び必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 5 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第二項の規定を適用することができる。 6 第一項の規定の適用を受ける居住者が死亡し又は出国をする場合における同項に規定する延払条件付販売等に該当する資産の販売等に係る収入金額及び費用の額の処理の特例その他同項又は第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期) 第六十六条 居住者が、長期大規模工事(工事(製造及びソフトウエアの開発を含む。以下この条において同じ。)のうち、その着手の日から当該工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が一年以上であること、政令で定める大規模な工事であることその他政令で定める要件に該当するものをいう。以下この条において同じ。)の請負をしたときは、その着手の日の属する年からその目的物の引渡しの日の属する年の前年までの各年分の事業所得の金額の計算上、その長期大規模工事の請負に係る収入金額及び費用の額のうち、当該各年分の収入金額及び費用の額として政令で定める工事進行基準の方法により計算した金額を、総収入金額及び必要経費に算入する。 2 居住者が、工事(その着手の日の属する年(以下この項において「着工の年」という。)中にその目的物の引渡しが行われないものに限るものとし、長期大規模工事に該当するものを除く。以下この条において同じ。)の請負をした場合において、その工事の請負に係る収入金額及び費用の額につき、着工の年からその工事の目的物の引渡しの日の属する年の前年までの各年において政令で定める工事進行基準の方法により経理したときは、その経理した収入金額及び費用の額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。ただし、その工事の請負に係る収入金額及び費用の額につき、着工の年の翌年以後のいずれかの年において当該工事進行基準の方法により経理しなかつた場合には、その経理しなかつた年の翌年分以後の年分の事業所得の金額の計算については、この限りでない。 3 第一項又は前項の規定の適用を受ける居住者が死亡した場合における長期大規模工事又は工事の請負に係る収入金額及び費用の額の処理の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (小規模事業者の収入及び費用の帰属時期) 第六十七条 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行なうもののうち小規模事業者として政令で定める要件に該当するもののその年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、政令で定めるところにより、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができる。 第八款 リース取引 (リース取引に係る所得の金額の計算) 第六十七条の二 居住者がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。 2 居住者が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。 3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。 一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。 二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。 4 前項第二号の資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているかどうかの判定その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第九款 信託に係る所得の金額の計算 第六十七条の三 居住者が法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二ロ(定義)に掲げる信託に限る。)の第十三条第一項(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含むものとし、清算中における受益者を除く。)となつたことにより当該法人課税信託が同号ロに掲げる信託に該当しないこととなつた場合(同号イ又はハに掲げる信託に該当する場合を除く。)には、その受託法人(第六条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人をいう。)からその信託財産に属する資産及び負債をその該当しないこととなつた時の直前の帳簿価額を基礎として政令で定める金額により引継ぎを受けたものとして、当該居住者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 2 前項の居住者が同項の規定により資産及び負債の引継ぎを受けたものとされた場合におけるその引継ぎにより生じた収益の額は、当該居住者のその引継ぎを受けた日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。 3 信託(第十三条第一項ただし書に規定する集団投資信託、退職年金等信託又は法人課税信託を除く。以下この条において同じ。)の委託者(居住者に限る。以下この項において同じ。)がその有する資産を信託した場合において、当該信託の受益者等となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であるときは、当該資産を信託した時において、当該信託の委託者から当該信託の受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の委託者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 4 信託に新たに受益者等が存するに至つた場合(前項及び第六項の規定の適用がある場合を除く。)において、当該信託の新たな受益者等となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であり、かつ、当該信託の受益者等であつた者が居住者であるときは、当該新たに受益者等が存するに至つた時において、当該信託の受益者等であつた者から当該新たな受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 5 信託の一部の受益者等が存しなくなつた場合において、既に当該信託の受益者等である者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに当該信託に関する権利について新たに利益を受ける者となる者であり、かつ、当該信託の一部の受益者等であつた者が居住者であるときは、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた時において、当該信託の一部の受益者等であつた者から当該利益を受ける者となる者に対して贈与(当該利益を受ける者となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の一部の受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 6 信託が終了した場合において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者であり、かつ、当該信託の終了の直前において受益者等であつた者が居住者であるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該受益者等であつた者から当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者に対して贈与(当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)の移転が行われたものとして、当該受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。 7 第三項から前項までに規定する受益者等とは、第十三条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)をいう。 8 第一項の規定による引継ぎにより生じた損失の額がある場合の所得の金額の計算、第三項に規定する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における同項の規定の適用その他第一項から第六項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第十款 各種所得の範囲及びその金額の計算の細目 (各種所得の範囲及びその金額の計算の細目) 第六十八条 この節に定めるもののほか、各種所得の範囲及び各種所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 第三節 損益通算及び損失の繰越控除 (損益通算) 第六十九条 総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。 2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。 (純損失の繰越控除) 第七十条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。 2 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額(前項の規定の適用を受けるもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)のうち、当該各年において生じた次に掲げる損失の金額に係るもので政令で定めるものがあるときは、当該政令で定める純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。 一 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額 二 被災事業用資産の損失の金額 3 前項第二号に掲げる被災事業用資産の損失の金額とは、たな卸資産又は第五十一条第一項若しくは第三項(資産損失の必要経費算入)に規定する資産の災害による損失の金額(その災害に関連するやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)で前項第一号に掲げる損失の金額に該当しないものをいう。 4 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき第一項の青色申告書又は第二項各号に掲げる損失の金額に関する事項を記載した確定申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、これらの申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)であつて、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。 5 第一項及び第二項の規定による控除は、純損失の繰越控除という。 (雑損失の繰越控除) 第七十一条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた雑損失の金額(この項又は次条第一項の規定により前年以前において控除されたものを除く。)は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。 2 前項の規定は、同項の居住者が雑損失の金額が生じた年分の所得税につきその雑損失の金額に関する事項を記載した確定申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)であつて、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。 3 第一項の規定による控除は、雑損失の繰越控除という。 第四節 所得控除 (雑損控除) 第七十二条 居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。 一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額 二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額 三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額 2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。 3 第一項の規定による控除は、雑損控除という。 (寄附金控除) 第七十八条 居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合において、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。 一 その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の四十に相当する金額を超える場合には、当該百分の四十に相当する金額) 二 五千円 2 前項に規定する特定寄附金とは、次に掲げる寄附金(学校の入学に関してするものを除く。)をいう。 一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。) 二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したもの イ 広く一般に募集されること。 ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。 三 別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(前二号に規定する寄附金に該当するものを除く。) 3 居住者が、特定公益信託(公益信託ニ関スル法律第一条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭は、前項に規定する特定寄附金とみなして第一項の規定を適用する。 4 第一項の規定による控除は、寄附金控除という。 (基礎控除) 第八十六条 居住者については、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から三十八万円を控除する。 2 前項の規定による控除は、基礎控除という。 (所得控除の順序) 第八十七条 雑損控除と医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除又は基礎控除とを行う場合には、まず雑損控除を行うものとする。 2 前項の控除をすべき金額は、総所得金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。 第三章 税額の計算 第一節 税率 (税率) 第八十九条 居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額とする。 |百九十五万円以下の金額|百分の五| |百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額|百分の十| |三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額|百分の二十| |六百九十五万円を超え九百万円以下の金額|百分の二十三| |九百万円を超え千八百万円以下の金額|百分の三十三| |千八百万円を超える金額|百分の四十| 2 課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額は、それぞれ、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から前章第四節(所得控除)の規定による控除をした残額とする。 (変動所得及び臨時所得の平均課税) 第九十条 居住者のその年分の変動所得の金額及び臨時所得の金額の合計額(その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額以下である場合には、その年分の臨時所得の金額)がその年分の総所得金額の百分の二十以上である場合には、その者のその年分の課税総所得金額に係る所得税の額は、次に掲げる金額の合計額とする。 一 その年分の課税総所得金額に相当する金額から平均課税対象金額の五分の四に相当する金額を控除した金額(当該課税総所得金額が平均課税対象金額以下である場合には、当該課税総所得金額の五分の一に相当する金額。以下この条において「調整所得金額」という。)をその年分の課税総所得金額とみなして前条第一項の規定を適用して計算した税額 二 その年分の課税総所得金額に相当する金額から調整所得金額を控除した金額に前号に掲げる金額の調整所得金額に対する割合を乗じて計算した金額 2 前項第二号に規定する割合は、小数点以下二位まで算出し、三位以下を切り捨てたところによるものとする。 3 第一項に規定する平均課税対象金額とは、変動所得の金額(前年分又は前前年分の変動所得の金額がある場合には、その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額を超える場合のその超える部分の金額)と臨時所得の金額との合計額をいう。 4 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の合計額の計算に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。 5 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。 第二節 税額控除 (配当控除) 第九十二条 居住者が剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。以下この条において同じ。)、利益の配当(同項に規定する利益の配当をいう。以下この条において同じ。)、剰余金の分配(同項に規定する剰余金の分配をいう。以下この条において同じ。)又は証券投資信託の収益の分配(第九条第一項第十一号(元本の払戻しに係る収益の分配の非課税)に掲げるものを含まない。以下この条において同じ。)に係る配当所得(外国法人から受けるこれらの金額に係るもの(外国法人の国内にある営業所、事務所その他これらに準ずるものに信託された証券投資信託の収益の分配に係るものを除く。)を除く。以下この条において同じ。)を有する場合には、その居住者のその年分の所得税額(前節(税率)の規定による所得税の額をいう。以下この条において同じ。)から、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。 一 その年分の課税総所得金額が千万円以下である場合 次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額 イ 剰余金の配当、利益の配当及び剰余金の分配(以下この項において「剰余金の配当等」という。)に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額 ロ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額 二 その年分の課税総所得金額が千万円を超え、かつ、当該課税総所得金額から証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額を控除した金額が千万円以下である場合 次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額 イ 剰余金の配当等に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額 ロ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円を控除した金額に相当する金額については百分の二・五を、その他の金額については百分の五をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額 三 前二号に掲げる場合以外の場合 次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額 イ 剰余金の配当等に係る配当所得 当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円とロに掲げる配当所得の金額との合計額を控除した金額に達するまでの金額については百分の五を、その他の金額については百分の十をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額 ロ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の二・五を乗じて計算した金額 2 前項の規定による控除をすべき金額は、課税総所得金額に係る所得税額、課税山林所得金額に係る所得税額又は課税退職所得金額に係る所得税額から順次控除する。この場合において、当該控除をすべき金額がその年分の所得税額をこえるときは、当該控除をすべき金額は、当該所得税額に相当する金額とする。 3 第一項の規定による控除は、配当控除という。 (外国税額控除) 第九十五条 居住者が各年において外国所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を納付することとなる場合(居住者が通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対する外国所得税を納付することとなる場合を除く。)には、第八十九条から第九十二条まで(税率及び配当控除)の規定により計算したその年分の所得税の額のうち、その年において生じた所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国所得税の額をその年分の所得税の額から控除する。 2 居住者が各年において納付することとなる外国所得税の額がその年の控除限度額と地方税控除限度額として政令で定める金額との合計額を超える場合において、その年の前年以前三年内の各年(以下この条において「前三年以内の各年」という。)の控除限度額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越控除限度額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から控除する。 3 居住者が各年において納付することとなる外国所得税の額がその年の控除限度額に満たない場合において、その前三年以内の各年において納付することとなつた外国所得税の額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越外国所得税額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、当該控除限度額からその年において納付することとなる外国所得税の額を控除した残額を限度として、その繰越外国所得税額をその年分の所得税の額から控除する。 4 居住者が納付することとなつた外国所得税の額の全部又は一部につき前三項の規定の適用を受けた年の翌年以後の各年において当該外国所得税の額が減額された場合におけるその減額されることとなつた日の属する年の前三項の規定の適用については、政令で定めるところによる。 5 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載があり、かつ、外国所得税を課されたことを証する書類その他財務省令で定める書類の添附がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定による控除をされるべき金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。 6 第二項及び第三項の規定は、繰越控除限度額又は繰越外国所得税額に係る年のうち最も古い年以後の各年について当該各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなつた外国所得税の額を記載した確定申告書を提出し、かつ、これらの規定の適用を受けようとする年分の確定申告書にこれらの規定による控除を受けるべき金額を記載するとともに、当該申告書に繰越控除限度額又は繰越外国所得税額の計算の基礎となるべき事項を記載した書類その他財務省令で定める書類を添附した場合に限り、適用する。この場合において、これらの規定による控除をされるべき金額は、当該各年分の確定申告書に当該各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなつた外国所得税の額として記載された金額を基礎として計算した金額を限度とする。 7 税務署長は、第一項から第三項までの規定による控除をされるべきこととなる金額又は前項に規定する控除限度額若しくは外国所得税の額の全部又は一部につき前二項の記載又は書類の添附がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載又は書類の添附がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その記載又は書類の添附がなかつた金額につき第一項から第三項までの規定を適用することができる。 8 第九十二条第二項前段(配当控除)の規定は、第一項から第三項までの規定による控除をすべき金額について準用する。 9 第一項から第三項までの規定による控除は、外国税額控除という。 第四章 税額の計算の特例 (年の中途で非居住者が居住者となつた場合の税額の計算) 第百二条 その年十二月三十一日(その年の中途において死亡した場合には、その死亡の日)において居住者である者でその年において非居住者であつた期間を有するもの又はその年の中途において出国をする居住者でその年一月一日からその出国の日までの間に非居住者であつた期間を有するものに対して課する所得税の額は、前二章(課税標準及び税額の計算)の規定により計算した所得税の額によらず、居住者であつた期間内に生じた第七条第一項第一号(居住者の課税所得の範囲)に掲げる所得(非永住者であつた期間がある場合には、当該期間については、同項第二号に掲げる所得)並びに非居住者であつた期間内に生じた第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応ずる同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得に係る所得を基礎として政令で定めるところにより計算した金額による。 (確定申告書の提出がない場合の税額の特例) 第百三条 第百二十条第一項(確定所得申告)、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)の規定による申告書を提出する義務がない居住者に対して課する所得税の額は、前二章(課税標準及び税額の計算)及び前条の規定により計算した所得税の額によらず、その者のその年分の所得税に係る第百二十条第二項に規定する予納税額及びその年分の所得税につき源泉徴収をされた又はされるべき税額の合計額による。ただし、その者が確定申告書を提出した場合は、この限りでない。 第五章 申告、納付及び還付 第一節 予定納税 第一款 予定納税 (予定納税額の納付) 第百四条 居住者(第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定による納付をすべき者を除く。)は、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額(以下この章において「予定納税基準額」という。)が十五万円以上である場合には、第一期(その年七月一日から同月三十一日までの期間をいう。以下この章において同じ。)及び第二期(その年十一月一日から同月三十日までの期間をいう。以下この章において同じ。)において、それぞれその予定納税基準額の三分の一に相当する金額の所得税を国に納付しなければならない。 一 前年分の課税総所得金額に係る所得税の額(当該課税総所得金額の計算の基礎となつた各種所得の金額のうちに譲渡所得の金額、一時所得の金額、雑所得の金額又は雑所得に該当しない臨時所得の金額がある場合には、政令で定めるところにより、これらの金額がなかつたものとみなして計算した額とし、同年分の所得税について災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)第二条(所得税の軽減又は免除)の規定の適用があつた場合には、同条の規定の適用がなかつたものとして計算した額とする。) 二 前年分の課税総所得金額の計算の基礎となつた各種所得につき源泉徴収をされた又はされるべきであつた所得税の額(当該各種所得のうちに一時所得、雑所得又は雑所得に該当しない臨時所得がある場合には、これらの所得につき源泉徴収をされた又はされるべきであつた所得税の額を控除した額) 2 前項の場合において、同項に規定する予定納税基準額の三分の一に相当する金額に百円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。 (予定納税基準額の計算の基準日等) 第百五条 前条の規定を適用する場合において、予定納税基準額の計算については、その年五月十五日において確定しているところによるものとし、居住者であるかどうかの判定は、その年六月三十日の現況によるものとする。ただし、予定納税基準額の計算は、その年五月十六日から七月三十一日までの間におけるいずれかの日において確定したところにより計算した金額が本文の規定により計算した金額を下ることとなつた場合は、その日(その日が二以上ある場合には、その計算した金額が最も小さいこととなる日)において確定したところによるものとする。 (予定納税額等の通知) 第百六条 税務署長は、第百四条第一項(予定納税額の納付)の規定による納付をすべき居住者についてその年五月十五日の現況によりその予定納税基準額を計算し、その年六月十五日までに、その者に対し、その予定納税基準額並びに第一期及び第二期において納付すべき予定納税額を書面により通知する。 2 税務署長は、前項の予定納税基準額が前条ただし書の規定により計算されるべきこととなつた場合には、同項の居住者に対し、書面によりその旨を通知する。 3 前二項の規定による通知は、第百四条第一項の規定による納付をすべき居住者からその者の前年分の所得税につき確定申告書の提出を受け、又は当該所得税につき決定をした税務署長(その後当該所得税の納税地に異動があつた場合には、政令で定める税務署長)が行なう。 第二款 特別農業所得者の予定納税の特例 (特別農業所得者の予定納税額の納付) 第百七条 次に掲げる居住者は、予定納税基準額が十五万円以上である場合には、第二期において、その予定納税基準額の二分の一に相当する金額の所得税を国に納付しなければならない。 一 前年において特別農業所得者であつた居住者 二 第百十条(特別農業所得者の申請)の規定により、その年において特別農業所得者であると見込まれることについて税務署長の承認を受けた居住者 2 前項の場合において、同項に規定する予定納税基準額の二分の一に相当する金額に百円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。 (特別農業所得者に係る予定納税基準額の計算の基準日等) 第百八条 前条の規定を適用する場合において、前年において特別農業所得者であつたかどうかの判定又は予定納税基準額の計算については、それぞれその年五月一日又はその年九月十五日において確定しているところによるものとし、居住者であるかどうかの判定は、その年十月三十一日の現況によるものとする。ただし、予定納税基準額の計算は、その年九月十六日から十一月三十日までの間におけるいずれかの日において確定したところにより計算した金額が本文の規定により計算した金額を下ることとなつた場合は、その日(その日が二以上ある場合には、その計算した金額が最も小さいこととなる日)において確定したところによるものとする。 (特別農業所得者に対する予定納税額等の通知) 第百九条 税務署長は、第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定による納付をすべき居住者についてその年九月十五日の現況によりその予定納税基準額を計算し、その年十月十五日までに、その者に対し、その予定納税基準額及び第二期において納付すべき予定納税額を書面により通知する。 2 税務署長は、前項の予定納税基準額が前条ただし書の規定により計算されるべきこととなつた場合には、同項の居住者に対し、書面によりその旨を通知する。 3 前二項の規定による通知は、第百七条第一項の規定による納付をすべき居住者からその者の前年分の所得税につき確定申告書の提出を受け、又は当該所得税につき決定をした税務署長(その後当該所得税の納税地に異動があつた場合には、政令で定める税務署長)が行なう。 (特別農業所得者の申請) 第百十条 前年において特別農業所得者でなかつた居住者は、その年五月一日の現況において、その年において特別農業所得者であると見込まれる場合には、その見込みについて、納税地の所轄税務署長の承認を求めることができる。 2 前項の承認を求めようとする居住者は、その年五月十五日までに、その年において特別農業所得者であると見込まれる事由その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 3 税務署長は、前項の申請書の提出があつた場合において、承認又は却下の処分をするときは、その申請者に対し、書面によりその旨を通知する。この場合において、却下の処分の通知をするときは、その理由を附記しなければならない。 4 第一項の規定を適用する場合において、前年において特別農業所得者でなかつたかどうかの判定は、その年五月一日において確定しているところによるものとする。 第三款 予定納税額の減額 (予定納税額の減額の承認の申請) 第百十一条 第百四条第一項(予定納税額の納付)の規定による納付をすべき居住者は、その年六月三十日の現況による申告納税見積額が予定納税基準額に満たないと見込まれる場合には、その年七月十五日までに、納税地の所轄税務署長に対し、第一期及び第二期において納付すべき予定納税額の減額に係る承認を申請することができる。 2 次の各号に掲げる居住者は、その年十月三十一日の現況による申告納税見積額が当該各号に掲げる金額に満たないと見込まれる場合には、その年十一月十五日までに、納税地の所轄税務署長に対し、第二期において納付すべき予定納税額の減額に係る承認を申請することができる。 一 第百四条第一項の規定による納付をすべき居住者 予定納税基準額(前項の承認を受けた居住者については、その承認に係る申告納税見積額) 二 第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定による納付をすべき居住者 予定納税基準額 3 第百六条第一項(予定納税額等の通知)又は第百九条第一項(特別農業所得者に対する予定納税額等の通知)の規定による税務署長の通知に係る書面がそれぞれその年六月十五日まで又は十月十五日までに発せられなかつた場合には、前二項の申請の期限は、その通知に係る書面が発せられた日から起算して一月を経過した日まで延期されるものとする。 4 第一項又は第二項に規定する申告納税見積額とは、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額の見積額につき第三章(税額の計算)の規定に準じて計算した所得税の額から、当該課税総所得金額の見積額の計算の基礎となつた各種所得につき源泉徴収をされる所得税の額の見積額を控除した金額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。 (予定納税額の減額の承認の申請手続) 第百十二条 前条第一項又は第二項の規定による申請をしようとする居住者は、これらの規定に規定する申告納税見積額、その申請の理由その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 2 前項の申請書には、取引の記録等に基づいて同項の申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類を添附しなければならない。 (予定納税額の減額の承認の申請に対する処分) 第百十三条 税務署長は、前条第一項の申請書の提出があつた場合には、その調査により、その申請に係る同項に規定する申告納税見積額(以下この条において「申告納税見積額」という。)を認め、若しくは申告納税見積額を定めて、第百十一条第一項若しくは第二項(予定納税額の減額の承認の申請)の承認をし、又はその申請を却下する。 2 税務署長は、前条第一項の申請書の提出があつた場合において、次の各号のいずれか一に該当するときは、前項の承認をしなければならない。 一 その申請に係る申告納税見積額の計算の基準となる日までに生じた事業の全部若しくは一部の廃止、休止若しくは転換、失業、災害、盗難若しくは横領による損害又は第七十三条第二項(医療費の意義)に規定する医療費の支払により、同日の現況による申告納税見積額がその承認により減額されるべき予定納税額の計算の基礎となつた予定納税基準額又は申告納税見積額に満たなくなると認められる場合 二 前号に掲げる場合のほか、その申請に係る申告納税見積額の計算の基準となる日の現況による申告納税見積額がその承認により減額されるべき予定納税額の計算の基礎となつた予定納税基準額又は申告納税見積額の十分の七に相当する金額以下となると認められる場合 3 第一項の処分をした税務署長は、同項の申請書を提出した居住者に対し、その認めた申告納税見積額及び当該申告納税見積額に基づき計算した予定納税額を通知し、又は理由を附して、その定めた申告納税見積額及び当該申告納税見積額に基づき計算した予定納税額を通知し若しくは却下の旨を通知する。 4 第百十一条第一項又は第二項第二号の規定による申請に基づき第一項の承認があつた場合において、前項の規定により通知された申告納税見積額が第百五条ただし書(予定納税基準額の計算の特例)又は第百八条ただし書(特別農業所得者の予定納税基準額の計算の特例)の規定により計算した予定納税基準額をこえることとなつたときは、その承認は、なかつたものとみなす。 (予定納税額の減額の承認があつた場合の予定納税額の特例) 第百十四条 第百十一条第一項(予定納税額の減額の承認の申請)の規定による申請をした居住者が同項の承認を受けた場合には、その者がその年分の所得税につき第百四条第一項(予定納税額の納付)の規定により第一期及び第二期において納付すべき予定納税額は、前条第三項の規定によりその承認をした税務署長から通知された申告納税見積額の三分の一に相当する金額とする。 2 第百十一条第二項の規定による申請をした同項第一号に掲げる居住者が同項の承認を受けた場合には、その者がその年分の所得税につき第百四条第一項の規定により第二期において納付すべき予定納税額は、前条第三項の規定によりその承認をした税務署長から通知された申告納税見積額から第百四条第一項の規定により第一期において納付すべき予定納税額を控除した金額の二分の一に相当する金額とする。 3 第百十一条第二項の規定による申請をした同項第二号に掲げる居住者が同項の承認を受けた場合には、その者がその年分の所得税につき第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定により第二期において納付すべき予定納税額は、前条第三項の規定によりその承認をした税務署長から通知された申告納税見積額の二分の一に相当する金額とする。 4 前三項の場合において、これらの規定による予定納税額に百円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てるものとし、これらの規定に規定する申告納税見積額が十五万円に満たないときは、これらの規定による予定納税額は、ないものとする。 第四款 予定納税額の納付及び徴収に関する特例 (出国をする場合の予定納税額の納期限の特例) 第百十五条 第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定により予定納税額を納付すべき居住者は、これらの規定に規定する納期限前に出国をする場合には、これらの規定にかかわらず、その出国後に当該納期限の到来する予定納税額に相当する所得税を、その出国の時までに国に納付しなければならない。 (予定納税額に対する督促の特例) 第百十六条 税務署長は、第百六条第一項(予定納税額等の通知)又は第百九条第一項(特別農業所得者に対する予定納税額等の通知)の規定による通知に係る書面を第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定により納付すべき予定納税額(前条の規定により納付すべきこととなつたものを除く。以下この条において同じ。)の納期限の一月前までに発しなかつた場合には、その通知に係る書面を発した日から起算して一月を経過した日後でなければ、これらの規定により納付すべき予定納税額について国税通則法第三十七条(督促)の規定による督促をすることができない。 (予定納税額の滞納処分の特例) 第百十七条 予定納税額(その予定納税額に係る延滞税を含む。)については、滞納処分を行なう場合においても、その年分の所得税に係る確定申告期限(その日においてその年分の所得税につき第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)又は第百三十九条第一項若しくは第二項(予納税額の還付)の規定による還付金がある場合には、その還付金につき充当をする日)までは、滞納処分による財産の換価は、することができない。 (予定納税額の徴収猶予) 第百十八条 税務署長は、第百十二条第一項(予定納税額の減額の承認の申請手続)の申請書の提出があつた場合において、相当の理由があると認めるときは、その申請に係る予定納税額の全部又は一部の徴収を猶予することができる。 (予定納税額に係る延滞税の特例) 第百十九条 次の各号に掲げる予定納税額について国税通則法第六十条第二項(延滞税)の規定により延滞税の額の計算をする場合には、当該各号に掲げる期間は、その計算の基礎となる期間に算入しないものとし、同項中「納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第六十三条第一項、第四項及び第五項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限」とあるのは、「所得税法第百十九条各号に掲げる期間の末日」とする。 一 税務署長が第百六条第一項(予定納税額等の通知)の規定による通知に係る書面を第百四条第一項(予定納税額の納付)の規定により第一期において納付すべき予定納税額(第百十五条(出国をする場合の予定納税額の納期限の特例)の規定により納付すべきこととなつたものを除く。以下この条において同じ。)の納期限の一月前までに発しなかつた場合における当該予定納税額 当該納期限の翌日から、その通知に係る書面を発した日から起算して一月を経過した日(同日がその年分の所得税に係る確定申告期限後となる場合には、その確定申告期限。以下この条において同じ。)までの期間 二 税務署長が前号の通知に係る書面を第百四条第一項の規定により第二期において納付すべき予定納税額の納期限の一月前までに発しなかつた場合における当該予定納税額 当該納期限の翌日から、その通知に係る書面を発した日から起算して一月を経過した日までの期間 三 税務署長が第百九条第一項(特別農業所得者に対する予定納税額等の通知)の規定による通知に係る書面を第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)の規定により第二期において納付すべき予定納税額の納期限の一月前までに発しなかつた場合における当該予定納税額 当該納期限の翌日から、その通知に係る書面を発した日から起算して一月を経過した日までの期間 第二節 確定申告並びにこれに伴う納付及び還付 第一款 確定申告 (確定所得申告) 第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額を超えるときは、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。 一 その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額並びに第二章第四節の規定による雑損控除その他の控除の額並びに課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額又は純損失の金額 二 第九十条第一項(変動所得及び臨時所得の平均課税)の規定の適用を受ける場合には、その年分の変動所得の金額及び臨時所得の金額並びに同条第三項に規定する平均課税対象金額 三 第一号に掲げる課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章(税額の計算)の規定を適用して計算した所得税の額 四 前号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合には、その控除しきれなかつた金額 五 第一号に掲げる総所得金額若しくは退職所得金額又は純損失の金額の計算の基礎となつた各種所得につき源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額(当該所得税の額のうちに、第百二十七条第一項から第三項まで(年の中途で出国をする場合の確定申告)の規定による申告書を提出したことにより、又は当該申告書に係る所得税につき更正若しくは決定を受けたことにより還付される金額その他政令で定める金額がある場合には、当該金額を控除した金額。以下この項において「源泉徴収税額」という。)がある場合には、第三号に掲げる所得税の額からその源泉徴収税額を控除した金額 六 前号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた源泉徴収税額がある場合には、その控除しきれなかつた金額 七 その年分の予納税額がある場合には、第三号に掲げる所得税の額(源泉徴収税額がある場合には、第五号に掲げる金額)から当該予納税額を控除した金額 八 前号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合には、その控除しきれなかつた金額 九 第一号に掲げる総所得金額の計算の基礎となつた各種所得の金額のうちに譲渡所得の金額、一時所得の金額、雑所得の金額、雑所得に該当しない変動所得の金額又は雑所得に該当しない臨時所得の金額がある場合には、これらの金額及び一時所得、雑所得又は雑所得に該当しない臨時所得について源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額 十 その年において特別農業所得者である場合には、その旨 十一 第一号から第九号までに掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項 2 前項第七号及び第八号に規定する予納税額とは、次に掲げる税額の合計額(当該税額のうちに、第百二十七条第一項から第三項までの規定による申告書を提出したことにより、又は当該申告書に係る所得税につき更正若しくは決定を受けたことにより還付される金額がある場合には、当該金額を控除した金額)をいう。 一 予定納税額 二 その年において第百二十七条第一項の規定に該当して、第百三十条(出国の場合の確定申告による納付)又は国税通則法第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付した又は納付すべき所得税の額 3 次の各号に掲げる居住者が第一項の規定による申告書を提出する場合には、政令で定めるところにより、当該各号に定める書類を当該申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない。 一 第一項の規定による申告書に雑損控除、医療費控除、社会保険料控除(第七十四条第二項第五号(社会保険料控除)に掲げる社会保険料に係るものに限る。)、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除又は寄附金控除に関する事項の記載をする居住者 これらの控除を受ける金額の計算の基礎となる金額その他の事項を証する書類 二 第一項の規定による申告書に、第二条第一項第三十二号ロ又はハ(定義)に掲げる者に係る勤労学生控除に関する事項の記載をする居住者 これらの者に該当する旨を証する書類 三 その年において第四編第二章(給与所得に係る源泉徴収)、第三章(退職所得に係る源泉徴収)又は第三章の二(公的年金等に係る源泉徴収)の規定により源泉徴収をされる給与所得、退職所得又は第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係る雑所得を有する居住者 第二百二十六条第一項から第三項まで及び第四項ただし書(源泉徴収票)の規定により交付される源泉徴収票 4 その年において不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う居住者が第一項の規定による申告書を提出する場合(当該申告書が青色申告書である場合を除く。)には、財務省令で定めるところにより、これらの所得に係るその年中の総収入金額及び必要経費の内容を記載した書類を当該申告書に添付しなければならない。 5 その年において非永住者であつた期間を有する居住者が第一項の規定による申告書を提出する場合には、その者の国籍、国内に住所又は居所を有していた期間その他の財務省令で定める事項を記載した書類を当該申告書に添付しなければならない。 (確定所得申告を要しない場合) 第百二十一条 その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が二千万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。ただし、不動産その他の資産をその給与所得に係る給与等の支払者の事業の用に供することによりその対価の支払を受ける場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。 一 一の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条(給与所得に係る源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、その年分の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額の合計額(以下この項において「給与所得及び退職所得以外の所得金額」という。)が二十万円以下であるとき。 二 二以上の給与等の支払者から給与等の支払を受け、かつ、当該給与等の全部について第百八十三条又は第百九十条の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合において、イ又はロに該当するとき。 イ 第百九十五条第一項(従たる給与についての扶養控除等申告書)に規定する従たる給与等の支払者から支払を受けるその年分の給与所得に係る給与等の金額とその年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円以下であるとき。 ロ イに該当する場合を除き、その年分の給与所得に係る給与等の金額が百五十万円と社会保険料控除の額、小規模企業共済等掛金控除の額、生命保険料控除の額、地震保険料控除の額、障害者控除の額、寡婦(寡夫)控除の額、勤労学生控除の額、配偶者控除の額、配偶者特別控除の額及び扶養控除の額との合計額以下で、かつ、その年分の給与所得及び退職所得以外の所得金額が二十万円以下であるとき。 2 その年において退職所得を有する居住者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第一項の規定にかかわらず、その年分の課税退職所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。 一 その年分の退職所得に係る第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等(以下この項において「退職手当等」という。)の全部について第百九十九条(退職所得に係る源泉徴収義務)及び第二百一条第一項(退職所得に係る源泉徴収税額)の規定による所得税の徴収をされた又はされるべき場合 二 前号に該当する場合を除き、その年分の課税退職所得金額につき第八十九条(税率)の規定を適用して計算した所得税の額がその年分の退職所得に係る退職手当等につき源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額以下である場合 (還付等を受けるための申告) 第百二十二条 居住者は、その年分の所得税につき第百二十条第一項第四号、第六号又は第八号(確定所得申告)に掲げる金額がある場合には、同項の規定による申告書を提出すべき場合及び次条第一項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)又は第百三十九条第一項若しくは第二項(予納税額の還付)の規定による還付を受けるため、税務署長に対し、第百二十条第一項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。この場合において、その年において支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等で第百九十条(年末調整)の規定の適用を受けたものを有する居住者が、当該給与等に係る第百二十条第三項第三号に掲げる源泉徴収票を添付して当該申告書を提出するときは、同条第一項各号に掲げる事項のうち財務省令で定めるものについては、財務省令で定める記載によることができる。 2 居住者は、第百二十条第一項の規定による申告書を提出すべき場合及び前項又は次条第一項の規定による申告書を提出することができる場合に該当しない場合においても、その年の翌年分以後の各年分の所得税について第九十五条第二項又は第三項(外国税額の控除不足額の繰越し等)の規定の適用を受けるため必要があるときは、税務署長に対し、第百二十条第一項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。 3 第百二十条第三項から第五項までの規定は、前二項の規定による申告書の提出について準用する。 (確定損失申告) 第百二十三条 居住者は、次の各号のいずれかに該当する場合において、その年の翌年以後において第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)若しくは第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用を受け、又は第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定による還付を受けようとするときは、第三期において、税務署長に対し、次項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。 一 その年において生じた純損失の金額がある場合 二 その年において生じた雑損失の金額がその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をこえる場合 三 その年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額及び雑損失の金額(第七十条第一項若しくは第二項又は第七十一条第一項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。次項第二号において同じ。)の合計額が、これらの金額を控除しないで計算した場合のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をこえる場合 2 前項の規定による申告書の記載事項は、次に掲げる事項とする。 一 その年において生じた純損失の金額及び雑損失の金額 二 その年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額及び雑損失の金額 三 その年において生じた雑損失の金額がある場合には、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額 四 第二号に掲げる純損失の金額又は雑損失の金額がある場合には、これらの金額を控除しないで計算した場合のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額 五 第七十条第一項若しくは第二項又は第七十一条第一項の規定により翌年以後において総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の計算上控除することができる純損失の金額及び雑損失の金額 六 その年において第九十五条(外国税額控除)の規定による控除をされるべき金額がある場合には、当該金額 七 第一号に掲げる純損失の金額又は第三号若しくは第四号に掲げる総所得金額若しくは退職所得金額の計算の基礎となつた各種所得に係る第百二十条第一項第五号(確定所得申告)に規定する源泉徴収税額がある場合には、当該源泉徴収税額 八 その年分の第百二十条第二項に規定する予納税額がある場合には、当該予納税額 九 第一号から第五号までに掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項 3 第百二十条第三項から第五項までの規定は、第一項の規定による申告書の提出について準用する。 第二款 死亡又は出国の場合の確定申告 (確定申告書を提出すべき者等が死亡した場合の確定申告) 第百二十四条 第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出すべき居住者がその年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、次項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し、当該申告書を提出しなければならない。 2 前条第一項の規定による申告書を提出することができる居住者がその年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その相続人は、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日までに、税務署長に対し、当該申告書を提出することができる。 (年の中途で死亡した場合の確定申告) 第百二十五条 居住者が年の中途において死亡した場合において、その者のその年分の所得税について第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するときは、その相続人は、第三項の規定による申告書を提出する場合を除き、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日(同日前に当該相続人が出国をする場合には、その出国の時。以下この条において同じ。)までに、税務署長に対し、当該所得税について第百二十条第一項各号に掲げる事項その他の事項を記載した申告書を提出しなければならない。 2 居住者が年の中途において死亡した場合において、その者のその年分の所得税について第百二十二条第一項又は第二項(還付等を受けるための申告)の規定による申告書を提出することができる場合に該当するときは、その相続人は、前項の規定による申告書を提出すべき場合及び次項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、政令で定めるところにより、税務署長に対し、当該所得税について第百二十条第一項各号に掲げる事項その他の事項を記載した申告書を提出することができる。 3 居住者が年の中途において死亡した場合において、その者のその年分の所得税について第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出することができる場合に該当するときは、その相続人は、政令で定めるところにより、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日までに、税務署長に対し、当該所得税について同条第二項各号に掲げる事項その他の事項を記載した申告書を提出することができる。 4 第百二十条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による申告書の提出について準用する。 5 前条第一項又は第二項の規定は、第一項の規定による申告書を提出すべき者又は第三項の規定による申告書を提出することができる者がこれらの申告書の提出期限前にこれらの申告書を提出しないで死亡した場合についてそれぞれ準用する。 (確定申告書を提出すべき者等が出国をする場合の確定申告) 第百二十六条 第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出すべき居住者は、その年の翌年一月一日から当該申告書の提出期限までの間に出国をする場合には、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、その出国の時までに、税務署長に対し、当該申告書を提出しなければならない。 2 第百二十三条第一項の規定による申告書を提出することができる居住者は、その年の翌年一月一日から二月十五日までの間に出国をする場合には、当該期間内においても、税務署長に対し、当該申告書を提出することができる。 (年の中途で出国をする場合の確定申告) 第百二十七条 居住者は、年の中途において出国をする場合において、その年一月一日からその出国の時までの間における総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額について、第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出しなければならない場合に該当するときは、第三項の規定による申告書を提出する場合を除き、その出国の時までに、税務署長に対し、その時の現況により同条第一項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。 2 居住者は、年の中途において出国をする場合において、その年一月一日からその出国の時までの間における総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額について、第百二十二条第一項(還付を受けるための申告)の規定による申告書を提出することができる場合に該当するときは、前項の規定による申告書を提出すべき場合及び次項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、税務署長に対し、その時の現況により第百二十条第一項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。 3 居住者は、年の中途において出国をする場合において、その年一月一日からその出国の時までの間における純損失の金額若しくは雑損失の金額又はその年の前年以前三年内の各年において生じたこれらの金額について、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出することができる場合に該当するときは、その出国の時までに、税務署長に対し、その時の現況により同条第二項各号に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。 4 第百二十条第三項から第五項までの規定は、前三項の規定による申告書の提出について準用する。 第三款 納付 (確定申告による納付) 第百二十八条 第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書(第百二十四条第一項(確定申告書を提出すべき者が死亡した場合の確定申告)又は第百二十六条第一項(確定申告書を提出すべき者が出国をする場合の確定申告)の規定に該当して提出すべきものを除く。)を提出した居住者は、当該申告書に記載した第百二十条第一項第三号に掲げる金額(同項第五号に規定する源泉徴収税額があり、かつ、同項第七号に規定する予納税額がない場合には、同項第五号に掲げる金額とし、同項第七号に規定する予納税額がある場合には、同号に掲げる金額とする。以下この款において同じ。)があるときは、第三期において、当該金額に相当する所得税を国に納付しなければならない。 (死亡の場合の確定申告による納付) 第百二十九条 第百二十四条第一項(確定申告書を提出すべき者が死亡した場合の確定申告)(第百二十五条第五項(年の中途で死亡した場合の確定申告)において準用する場合を含む。)又は第百二十五条第一項の規定に該当してこれらの規定に規定する申告書を提出した者は、これらの申告書に記載した第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)に掲げる金額があるときは、これらの申告書の提出期限までに、当該金額に相当する所得税を国税通則法第五条(相続による国税の納付義務の承継)に定めるところにより国に納付しなければならない。 (出国の場合の確定申告による納付) 第百三十条 第百二十六条第一項(確定申告書を提出すべき者が出国をする場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)の規定に該当してこれらの規定に規定する申告書を提出した居住者は、これらの申告書に記載した第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)に掲げる金額があるときは、これらの申告書の提出期限までに、当該金額に相当する所得税を国に納付しなければならない。 第四款 延納 (確定申告税額の延納) 第百三十一条 第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書を提出した居住者が第百二十八条(確定申告による納付)の規定により納付すべき所得税の額(第百三十三条第一項(延払条件付譲渡に係る延納の手続)の申請書を提出する場合には、当該所得税の額からその申請書に記載した同項の延納を求めようとする所得税の額を控除した額)の二分の一に相当する金額以上の所得税を第百二十八条の規定による納付の期限までに国に納付したときは、その者は、その残額についてその納付した年の五月三十一日までの期間、その納付を延期することができる。 2 前項の規定は、同項に規定する申告書を提出した居住者が、同項に規定する納付の期限までに納税地の所轄税務署長に対し、第百二十八条の規定により納付すべき税額、当該税額のうち当該期限までに納付する金額その他財務省令で定める事項を記載した延納届出書を提出した場合に限り、適用する。 3 第一項の規定の適用を受ける居住者は、同項の規定による延納に係る所得税の額に、その延納の期間の日数に応じ、年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税をその延納に係る所得税にあわせて納付しなければならない。 (延払条件付譲渡に係る所得税額の延納) 第百三十二条 税務署長は、居住者が山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の延払条件付譲渡をした場合において、次に掲げる要件のすべてを満たすときは、第一号に規定する申告書に係る第百二十八条(確定申告による納付)又は第百二十九条(死亡の場合の確定申告による納付)の規定により納付すべき所得税の額(延払条件付譲渡に係る税額が当該所得税の額に満たない場合には、その延払条件付譲渡に係る税額)の全部又は一部につき、その者(その相続人を含む。)の申請により、五年以内の延納を許可することができる。 一 その延払条件付譲渡をした日の属する年分の所得税に係る第百二十条第一項(確定所得申告)の規定による申告書(第百二十六条第一項(確定申告書を提出すべき者が出国をする場合の確定申告)の規定に該当して提出すべきものを除く。)又は第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定による申告書をこれらの申告書の提出期限までに提出したこと。 二 延払条件付譲渡に係る税額が前号に規定する申告書に記載された第百二十条第一項第三号に掲げる所得税の額の二分の一に相当する金額を超えること。 三 延払条件付譲渡に係る税額が三十万円を超えること。 2 税務署長は、前項の規定による延納の許可をする場合には、その延納に係る所得税の額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、その延納に係る所得税につき、その額が五十万円以下で、かつ、その延納の期間が三年以下である場合は、この限りでない。 3 第一項に規定する延払条件付譲渡とは、次に掲げる要件に適合する条件を定めた契約に基づき当該条件により行われる譲渡をいう。 一 月賦、年賦その他の賦払の方法により三回以上に分割して対価の支払を受けること。 二 その譲渡の目的物の引渡しの期日の翌日から最後の賦払金の支払の期日までの期間が二年以上であること。 三 その他政令で定める要件 4 第一項に規定する延払条件付譲渡に係る税額とは、同項第一号に規定する申告書に記載された第百二十条第一項第三号に掲げる所得税の額のうち、その延払条件付譲渡に係る契約において定められている支払の期日がその年の翌年以後に到来する延払条件付譲渡に係る賦払金の額(その年において既に支払を受けたものを除く。)の合計額に対応する山林所得の金額又は譲渡所得の金額に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。 (延払条件付譲渡に係る所得税額の延納の手続等) 第百三十三条 前条第一項の規定による延納の許可を申請しようとする居住者は、その延納を求めようとする所得税に係る第百二十八条(確定申告による納付)又は第百二十九条(死亡の場合の確定申告による納付)の規定による納付の期限までに、延納を求めようとする所得税の額及び期間(二回以上に分割して納付しようとする場合には、各分納税額ごとに延納を求めようとする期間及びその額)その他財務省令で定める事項を記載した申請書に担保の提供に関する書類を添附し、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 2 税務署長は、前項の申請書の提出があつた場合には、その提出をした居住者及びその申請に係る事項について前条第一項各号に掲げる要件を満たすかどうか、その申請書に記載された延納に係る所得税の額若しくは延納の期間又は各分納税額に係る延納の期間若しくはその額が同項に規定する延払条件付譲渡に係る契約において定められている賦払金の支払の期日及びその賦払金の額に照らし相当であるかどうかその他必要な事項を調査し、その調査したところにより、その申請に係る所得税の額の全部若しくは一部につきその申請に係る条件若しくはこれを変更した条件により延納の許可をし、又はその申請を却下する。 3 税務署長は、前項の延納の許可をする場合において、その申請をした居住者の提供しようとする担保が適当でないと認めるときは、その変更を求めることができる。この場合において、その者がその変更の求めに応じなかつたときは、その申請を却下することができる。 4 税務署長は、第一項の申請に係る延納の許可又は却下の処分をするときは、その申請をした居住者に対し、書面により、その延納の許可に係る所得税の額及び延納の条件又は却下の旨及びその理由を通知する。 5 税務署長は、第一項の申請書の提出があつた場合において、相当の理由があると認めるときは、その申請に係る所得税の額の全部又は一部の徴収を猶予することができる。 (延払条件付譲渡に係る所得税額の延納条件の変更) 第百三十四条 第百三十二条第一項(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納)の規定による延納の許可を受けた居住者は、同項に規定する延払条件付譲渡に係る契約において定められている賦払金の支払の期日の変更その他の事由が生じたことにより当該許可に係る延納の条件について変更を求めようとする場合には、その変更を求めようとする条件その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出することができる。 2 前条第二項及び第四項の規定は、前項の申請書の提出があつた場合について準用する。 3 税務署長は、第百三十二条第一項に規定する延払条件付譲渡に係る契約において定められている賦払金の支払の期日の変更、その支払の期日前における当該賦払金の支払その他の事由が生じたことにより当該許可に係る延納の条件を変更する必要があると認める場合には、延納の期間の短縮その他延納の条件の変更をすることができる。この場合においては、国税通則法第四十九条第二項及び第三項(納税の猶予の取消し等の場合の弁明の聴取及び通知)の規定を準用する。 (延払条件付譲渡に係る所得税額の延納の取消し) 第百三十五条 税務署長は、第百三十二条第一項(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納)の規定による延納の許可を受けた居住者が次に掲げる場合に該当することとなつたときは、その延納の許可を取り消すことができる。 一 その延納に係る所得税の額(その所得税の額に係る次条の規定による利子税及び延滞税に相当する額を含む。)を滞納し、その他延納の条件に違反したとき。 二 その者が提出した第百三十二条第一項第一号に規定する申告書に係る所得税につき修正申告書の提出又は更正があつた場合において、その申告又は更正があつた後における第百二十条第一項第三号(確定所得申告に係る所得税額)に掲げる所得税の額(以下この号において「修正後の年税額」という。)を基礎として第百三十二条第四項に規定する延払条件付譲渡に係る税額の計算に準じて政令で定めるところにより計算した金額が、修正後の年税額の二分の一に相当する金額以下となり、又は三十万円以下となつたとき。 三 その延納に係る担保につき国税通則法第五十一条第一項(担保の変更等)の規定による命令に応じなかつたとき。 四 その延納に係る担保物につき国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続が開始されたとき。 2 国税通則法第四十九条第二項(納税の猶予の取消し等の場合の弁明の聴取)の規定は、前項第一号又は第三号の規定により同項の延納の許可を取り消す場合について準用する。 3 税務署長は、第一項の規定により同項の延納の許可を取り消す場合には、当該延納の許可を受けた居住者に対し、書面によりその旨及びその理由を通知する。 (延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税) 第百三十六条 第百三十二条第一項(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納)の規定による延納の許可を受けた居住者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額に相当する利子税を、当該各号に規定する納付すべき分納税額(第三号の場合にあつては、同号に規定する延納税額)に相当する所得税にあわせて納付しなければならない。 一 その延納の許可に係る所得税の額(以下この条において「延納税額」という。)のうちに分納税額がある場合において、第一回に納付すべき分納税額を納付するとき。 延納税額を基礎とし、その延納税額に係る第百二十八条(確定申告による納付)又は第百二十九条(死亡の場合の確定申告による納付)の規定による納付の期限の翌日から当該分納税額の延納に係る納期限までの日数に応じ、年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額 二 延納税額のうちに分納税額がある場合において、第二回以後に納付すべき分納税額を納付するとき。 延納税額から前回までの分納税額の合計額を控除した所得税の額を基礎とし、前回の分納税額の延納に係る納期限の翌日からその回の分納税額の延納に係る納期限までの日数に応じ、年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額 三 前二号に掲げる場合以外の場合 延納税額を基礎とし、その延納税額に係る第百二十八条又は第百二十九条の規定による納付の期限の翌日から当該延納税額の延納に係る納期限までの日数に応じ、年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額 2 第百三十二条第一項の規定による延納の許可を受けた居住者が前条第一項の規定によりその許可を取り消された場合には、その者については、その取消しがあつた時以後に納付すべきであつた分納税額の合計額又は延納税額をその取消しがあつた時に延納に係る納期限が到来した分納税額又は延納税額とみなして、前項の規定を適用する。 (延納税額に係る延滞税の特例) 第百三十七条 第百三十二条第一項(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納)の規定による延納の許可があつた場合における所得税に係る延滞税については、その所得税の額のうち前条第一項第一号に規定する延納税額とその他のものとに区分し、当該延納税額のうちに分納税額があるときは更に各分納税額ごとに区分して、それぞれの税額ごとに国税通則法の延滞税に関する規定を適用する。 第五款 還付 (源泉徴収税額等の還付) 第百三十八条 確定申告書の提出があつた場合において、当該申告書に第百二十条第一項第四号若しくは第六号(源泉徴収税額等の控除不足額)又は第百二十三条第二項第六号若しくは第七号(源泉徴収税額等)に掲げる金額の記載があるときは、税務署長は、当該申告書を提出した者に対し、当該金額に相当する所得税を還付する。 2 前項の場合において、同項の確定申告書に記載された第百二十条第一項第六号又は第百二十三条第二項第七号に規定する源泉徴収税額のうちにまだ納付されていないものがあるときは、前項の規定による還付金の額のうちその納付されていない部分の金額に相当する金額については、その納付があるまでは、還付しない。 3 第一項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる日(同日後に納付された前項に規定する源泉徴収税額に係る還付金については、その納付の日)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。 一 第一項の確定申告書がその確定申告期限までに提出された場合 その確定申告期限 二 第一項の確定申告書がその確定申告期限後に提出された場合 その提出の日 4 第一項の規定による還付金を同項の確定申告書に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を附さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。 5 前三項に定めるもののほか、第一項の還付の手続、同項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (予納税額の還付) 第百三十九条 確定申告書の提出があつた場合において、当該申告書に第百二十条第一項第八号(予納税額の控除不足額)又は第百二十三条第二項第八号(予納税額)に掲げる金額の記載があるときは、税務署長は、当該申告書を提出した者に対し、当該金額に相当するこれらの規定に規定する予納税額(以下この条において「予納税額」という。)を還付する。 2 税務署長は、前項の規定による還付金の還付をする場合において、同項の確定申告書に係る年分の予納税額について納付された延滞税があるときは、その額のうち、同項の規定により還付される予納税額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額をあわせて還付する。 3 第一項の規定により還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、第一項の規定により還付をすべき予納税額の納付の日(その予納税額がその納期限前に納付された場合には、その納期限)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。ただし、同項の確定申告書がその確定申告期限後に提出された場合には、その確定申告期限の翌日からその提出された日までの日数は、当該期間に算入しない。 4 第一項の規定による還付金をその額の計算の基礎とされた予納税額に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を附さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。 5 第二項の規定による還付金については、還付加算金は、附さない。 6 前三項に定めるもののほか、第一項又は第二項の還付の手続、第一項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法その他同項又は第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (純損失の繰戻しによる還付の請求) 第百四十条 青色申告書を提出する居住者は、その年において生じた純損失の金額がある場合には、当該申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。 一 その年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章第一節(税率)の規定を適用して計算した所得税の額 二 その年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額から当該純損失の金額の全部又は一部を控除した金額につき第三章第一節の規定に準じて計算した所得税の額 2 前項の場合において、同項に規定する控除した金額に相当する所得税の額がその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税の額(附帯税の額を除く。)をこえるときは、同項の還付の請求をすることができる金額は、当該所得税の額に相当する金額を限度とする。 3 第一項第二号に掲げる金額を計算する場合において、同号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額のうちいずれから先に純損失の金額を控除するか、及び前年において第九十条(変動所得及び臨時所得の平均課税)の規定の適用があつた場合において同条第三項に規定する平均課税対象金額と課税総所得金額から当該平均課税対象金額を控除した金額とのうちいずれから先に純損失の金額を控除するかについては、政令で定める。 4 第一項の規定は、同項の居住者がその年の前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合であつて、その年分の青色申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。 5 居住者につき事業の全部の譲渡又は廃止その他これらに準ずる事実で政令で定めるものが生じた場合において、当該事実が生じた日の属する年の前年において生じた純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)があるときは、その者は、同日の属する年の前年分及び前前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合に限り、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、納税地の所轄税務署長に対し、当該純損失の金額につき第一項から第三項までの規定に準じて政令で定めるところにより計算した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。 (相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求) 第百四十一条 第百二十五条第一項、第三項又は第五項(年の中途で死亡した場合の確定申告)の規定に該当してこれらの規定に規定する申告書(青色申告書に限る。)を提出する者は、当該申告書に記載すべきその年において生じた純損失の金額がある場合には、政令で定めるところにより、当該申告書の提出と同時に、当該申告書に係る所得税の納税地の所轄税務署長に対し、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。 一 第百二十五条第一項又は第三項に規定する死亡をした居住者のその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章第一節(税率)の規定を適用して計算した所得税の額 二 前号に規定する死亡をした居住者のその年の前年分の課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額から当該純損失の金額の全部又は一部を控除した金額につき第三章第一節の規定に準じて計算した所得税の額 2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。 3 第一項の規定は、同項第一号に規定する死亡をした居住者がその年の前年分の所得税につき青色申告書を提出している場合であつて、同項に規定する申告書を提出する者が当該申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書をその提出期限後に提出した場合を含む。)に限り、適用する。 4 居住者が死亡した場合において、その死亡の日の属する年の前年において生じたその者に係る純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び次条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)があるときは、その相続人は、その居住者の同日の属する年の前年分及び前前年分の所得税につき青色申告書が提出されている場合に限り、政令で定めるところにより、その居住者の同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、当該所得税の納税地の所轄税務署長に対し、当該純損失の金額につき第一項及び第二項の規定に準じて計算した金額に相当する所得税の還付を請求することができる。 (純損失の繰戻しによる還付の手続等) 第百四十二条 前二条の規定による還付の請求をしようとする者は、その還付を受けようとする所得税の額、その計算の基礎その他財務省令で定める事項を記載した還付請求書をこれらの規定に規定する税務署長に提出しなければならない。 2 税務署長は、前項の還付請求書の提出があつた場合には、その請求の基礎となつた純損失の金額その他必要な事項について調査し、その調査したところにより、その請求をした者に対し、その請求に係る金額を限度として所得税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。 3 前項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、前二条の規定による還付の請求がされた日(第百四十条第一項(純損失の繰戻しによる還付の請求)又は前条第一項の規定による還付の請求がされた日がこれらの規定に規定する申告書の提出期限前である場合には、その提出期限)の翌日以後三月を経過した日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。 第三節 青色申告 (青色申告) 第百四十三条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行なう居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合には、確定申告書及び当該申告書に係る修正申告書を青色の申告書により提出することができる。 (青色申告の承認の申請) 第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 (青色申告の承認申請の却下) 第百四十五条 税務署長は、前条の申請書の提出があつた場合において、その申請書を提出した居住者につき次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる。 一 その年分以後の各年分の所得税につき第百四十三条(青色申告)の承認を受けようとする年における同条に規定する業務に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が第百四十八条第一項(青色申告者の帳簿書類)に規定する財務省令で定めるところに従つて行なわれていないこと。 二 その備え付ける前号に規定する帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録していることその他不実の記載又は記録があると認められる相当の理由があること。 三 第百五十条第二項(青色申告の承認の取消し)の規定による通知を受け、又は第百五十一条第一項(青色申告の取りやめ)に規定する届出書の提出をした日以後一年以内にその申請書を提出したこと。 (青色申告の承認等の通知) 第百四十六条 税務署長は、第百四十四条(青色申告の承認の申請)の申請書の提出があつた場合において、その申請につき承認又は却下の処分をするときは、その申請をした居住者に対し、書面によりその旨を通知する。 (青色申告の承認があつたものとみなす場合) 第百四十七条 第百四十四条(青色申告の承認の申請)の申請書の提出があつた場合において、その年分以後の各年分の所得税につき第百四十三条(青色申告)の承認を受けようとする年の十二月三十一日(その年十一月一日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その年の翌年二月十五日)までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、その日においてその承認があつたものとみなす。 (青色申告者の帳簿書類) 第百四十八条 第百四十三条(青色申告)の承認を受けている居住者は、財務省令で定めるところにより、同条に規定する業務につき帳簿書類を備え付けてこれに不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額に係る取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。 2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第百四十三条の承認を受けている居住者に対し、その者の同条に規定する業務に係る帳簿書類について必要な指示をすることができる。 (青色申告書に添附すべき書類) 第百四十九条 青色申告書には、財務省令で定めるところにより、貸借対照表、損益計算書その他不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額又は純損失の金額の計算に関する明細書を添附しなければならない。 (青色申告の承認の取消し) 第百五十条 第百四十三条(青色申告)の承認を受けた居住者につき次の各号のいずれかに該当する事実がある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に掲げる年までさかのぼつて、その承認を取り消すことができる。この場合において、その取消しがあつたときは、その居住者の当該年分以後の各年分の所得税につき提出したその承認に係る青色申告書は、青色申告書以外の申告書とみなす。 一 その年における第百四十三条に規定する業務に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が第百四十八条第一項(青色申告者の帳簿書類)に規定する財務省令で定めるところに従つて行なわれていないこと。 その年 二 その年における前号に規定する帳簿書類について第百四十八条第二項の規定による税務署長の指示に従わなかつたこと。 その年 三 その年における第一号に規定する帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること。 その年 2 税務署長は、前項の規定による取消しの処分をする場合には、同項の居住者に対し、書面によりその旨を通知する。この場合において、その書面には、その取消しの処分の基因となつた事実が同項各号のいずれに該当するかを附記しなければならない。 (青色申告の取りやめ等) 第百五十一条 第百四十三条(青色申告)の承認を受けている居住者は、その年分以後の各年分の所得税につき青色申告書の提出をやめようとするときは、その年の翌年三月十五日までに、その申告をやめようとする年その他財務省令で定める事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。この場合において、その届出書の提出があつたときは、当該年分以後の各年分の所得税については、その承認は、その効力を失うものとする。 2 第百四十三条の承認を受けている居住者が同条に規定する業務の全部を譲渡し又は廃止した場合には、その譲渡し又は廃止した日の属する年の翌年分以後の各年分の所得税については、その承認は、その効力を失うものとする。 第六章 更正の請求の特例 (各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例) 第百五十二条 確定申告書を提出し、又は決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、当該申告書又は決定に係る年分の各種所得の金額につき第六十三条(事業を廃止した場合の必要経費の特例)又は第六十四条(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)に規定する事実その他これに準ずる政令で定める事実が生じたことにより、国税通則法第二十三条第一項各号(更正の請求)の事由が生じたときは、当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該申告書又は決定に係る第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第八号まで(確定所得申告書の記載事項)又は第百二十三条第二項第一号、第五号、第七号若しくは第八号(確定損失申告書の記載事項)に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)について、同法第二十三条第一項の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、同条第三項に規定する更正請求書には、同項に規定する事項のほか、当該事実が生じた日を記載しなければならない。 (前年分の所得税額等の更正等に伴う更正の請求の特例) 第百五十三条 確定申告書に記載すべき第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第八号まで(確定所得申告書の記載事項)又は第百二十三条第二項第一号若しくは第五号から第八号まで(確定損失申告書の記載事項)に掲げる金額につき、修正申告書を提出し、又は更正若しくは決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、その修正申告書の提出又は更正若しくは決定に伴い次の各号に掲げる場合に該当することとなるときは、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該各号に規定する金額につき国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求をすることができる。この場合においては、同条第三項に規定する更正請求書には、同項に規定する事項のほか、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日を記載しなければならない。 一 その修正申告書若しくは更正若しくは決定に係る年の翌年分以後の年分の確定申告書に記載した、又は決定を受けた当該年分に係る第百二十条第一項第三号、第五号又は第七号に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過大となる場合 二 その修正申告書若しくは更正若しくは決定に係る年の翌年分以後の年分の確定申告書に記載した、又は決定を受けた当該年分に係る第百二十条第一項第四号、第六号若しくは第八号又は第百二十三条第二項第一号若しくは第五号から第八号までに掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過少となる場合 第七章 更正及び決定 (更正又は決定をすべき事項に関する特例) 第百五十四条 所得税に係る更正又は決定については、国税通則法第二十四条から第二十六条まで(更正・決定)に規定する事項のほか、第百二十条第一項第九号又は第十号(確定所得申告書の記載事項)に掲げる事項についても行なうことができる。この場合において、当該事項につき更正又は決定をするときは、同法第二十八条第二項及び第三項(更正通知書又は決定通知書の記載事項)中「税額等」とあるのは、「税額等並びに所得税法第百二十条第一項第九号又は第十号(確定所得申告書の記載事項)に掲げる事項」とする。 2 所得税につき更正又は決定をする場合における国税通則法第二十八条第一項に規定する更正通知書又は決定通知書には、同条第二項又は第三項に規定する事項を記載するほか、その更正又は決定に係る第百二十条第一項第一号に掲げる金額又は第百二十三条第二項第一号(確定損失申告書の記載事項)に掲げる純損失の金額についての第二条第一項第二十一号(定義)に規定する所得別の内訳を附記しなければならない。 (青色申告書に係る更正) 第百五十五条 税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正をする場合には、その居住者の帳簿書類を調査し、その調査によりこれらの金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。ただし、次に掲げる場合は、その帳簿書類を調査しないでその更正をすることを妨げない。 一 その更正が不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額以外の各種所得の金額の計算又は第六十九条から第七十一条まで(損益通算及び損失の繰越控除)の規定の適用について誤りがあつたことのみに基因するものである場合 二 当該申告書及びこれに添附された書類に記載された事項によつて、不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算がこの法律の規定に従つていないことその他その計算に誤りがあることが明らかである場合 2 税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正(前項第一号に規定する事由のみに基因するものを除く。)をする場合には、その更正に係る国税通則法第二十八条第二項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない。 (推計による更正又は決定) 第百五十六条 税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。 (同族会社等の行為又は計算の否認等) 第百五十七条 税務署長は、次に掲げる法人の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主等である居住者又はこれと政令で定める特殊の関係のある居住者(その法人の株主等である非居住者と当該特殊の関係のある居住者を含む。第四項において同じ。)の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第八号まで(確定所得申告書の記載事項)又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号(確定損失申告書の記載事項)に掲げる金額を計算することができる。 一 法人税法第二条第十号(定義)に規定する同族会社 二 イからハまでのいずれにも該当する法人 イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。 ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。 ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその法人の発行済株式又は出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。 2 前項の場合において、法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。 3 第一項の規定は、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、法人税法第百三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつた場合における第一項の居住者の所得税に係る更正又は決定について準用する。 4 税務署長は、合併(法人課税信託に係る信託の併合を含む。)、分割(法人課税信託に係る信託の分割を含む。)、現物出資若しくは法人税法第二条第十二号の六に規定する事後設立又は株式交換若しくは株式移転(以下この項において「合併等」という。)をした一方の法人又は他方の法人(当該合併等により交付された株式又は出資を発行した法人を含む。以下この項において同じ。)の行為又は計算で、これを容認した場合には当該一方の法人若しくは他方の法人の株主等である居住者又はこれと第一項に規定する特殊の関係のある居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その居住者の所得税に関する更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その居住者の各年分の第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第八号まで又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号に掲げる金額を計算することができる。 (事業所の所得の帰属の推定) 第百五十八条 法人に十五以上の支店、工場その他の事業所がある場合において、その事業所の三分の二以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人が前に当該事業所において個人として同一事業を営んでいた事実があるときは、その法人の各事業所における資金の預入及び借入れ、商品の仕入れ及び販売その他の取引のすべてがその法人の名で行なわれている場合を除き、税務署長は、当該各事業所の主宰者が当該各事業所から生ずる収益を享受する者であると推定して、更正又は決定をすることができる。 (更正又は決定による源泉徴収税額等の還付) 第百五十九条 居住者の各年分の所得税につき決定があつた場合において、その決定に係る第百二十条第一項第六号(源泉徴収税額の控除不足額)に掲げる金額があるときは、税務署長は、その者に対し、当該金額に相当する所得税を還付する。 2 居住者の各年分の所得税につき更正があつた場合において、その更正により第百二十条第一項第四号若しくは第六号又は第百二十三条第二項第六号若しくは第七号(源泉徴収税額等)に掲げる金額が増加したときは、税務署長は、その者に対し、その増加した部分の金額に相当する所得税を還付する。 3 前二項の場合において、これらの規定による還付金の額の計算の基礎となつた第百二十条第一項第六号又は第百二十三条第二項第七号に規定する源泉徴収税額のうちにまだ納付されていないものがあるときは、前二項の規定による還付金の額のうちその納付されていない部分の金額に相当する金額については、その納付があるまでは、還付しない。 4 第一項又は第二項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、次の各号に掲げる還付金の区分に応じ当該各号に掲げる日(同日後に納付された前項に規定する源泉徴収税額に係る還付金については、その納付の日)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。 一 第一項の規定による還付金 同項の決定があつた日 二 第二項の規定による還付金(次号に掲げるものを除く。) 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げる日 イ 第二項の更正に係る確定申告書がその確定申告期限までに提出された場合 その確定申告期限 ロ 第二項の更正に係る確定申告書がその確定申告期限後に提出された場合 その提出の日 ハ 第二項の更正が決定に係る更正である場合 その決定があつた日 三 第二項の規定による還付金のうち第百五十二条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)に規定する事実が生じたことに基づいてされた更正に係るもの その更正があつた日 5 第一項又は第二項の規定による還付金を第一項の決定又は第二項の更正に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を附さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。 6 前三項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 (更正又は決定による予納税額の還付) 第百六十条 居住者の各年分の所得税につき決定があつた場合において、その決定に係る第百二十条第一項第八号(予納税額の控除不足額)又は第百二十三条第二項第八号(予納税額)に掲げる金額があるときは、税務署長は、その者に対し、当該金額に相当するこれらの規定に規定する予納税額(以下この条において「予納税額」という。)を還付する。 2 居住者の各年分の所得税につき更正があつた場合において、その更正により第百二十条第一項第八号又は第百二十三条第二項第八号に掲げる金額が増加したときは、税務署長は、その者に対し、その増加した部分の金額に相当する予納税額を還付する。 3 税務署長は、前二項の規定による還付金の還付をする場合において、これらの規定に規定する年分の予納税額について納付された延滞税があるときは、その額のうち、これらの規定により還付される予納税額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額をあわせて還付する。 4 第一項又は第二項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、第一項又は第二項の規定により還付すべき予納税額の納付の日(その予納税額がその納期限前に納付された場合には、その納期限)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。ただし、次の各号に掲げる還付金については、当該各号に掲げる日数は、当該期間に算入しない。 一 第一項の規定による還付金 その年分の所得税に係る確定申告期限の翌日から同項の決定があつた日までの日数 二 第二項の規定による還付金(その基因となつた更正が次のいずれにも該当しないもの及び次号に掲げるものを除く。) その年分の所得税に係る確定申告期限の翌日から、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に掲げる日までの日数 イ 第二項の更正に係る確定申告書がその確定申告期限後に提出された場合 その提出の日 ロ 第二項の更正が決定に係る更正である場合 その決定があつた日 三 第二項の規定による還付金のうち第百五十二条(各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例)に規定する事実が生じたことに基づいてされた更正に係るもの その年分の所得税に係る確定申告期限の翌日からその更正があつた日までの日数 5 第一項又は第二項の規定による還付金をその額の計算の基礎とされた予納税額に係る年分の所得税で未納のものに充当する場合には、その還付金の額のうちその充当する金額については、還付加算金を附さないものとし、その充当される部分の所得税については、延滞税を免除するものとする。 6 第三項の規定による還付金については、還付加算金は、附さない。 7 前三項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による還付金(これに係る還付加算金を含む。)につき充当をする場合の方法その他第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第三編 非居住者及び法人の納税義務 第一章 国内源泉所得 (国内源泉所得) 第百六十一条 この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう。 一 国内において行う事業から生じ、又は国内にある資産の運用、保有若しくは譲渡により生ずる所得(次号から第十二号までに該当するものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定めるもの 一の二 国内において民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項(組合契約)に規定する組合契約(これに類するものとして政令で定める契約を含む。以下この号において同じ。)に基づいて行う事業から生ずる利益で当該組合契約に基づいて配分を受けるもののうち政令で定めるもの 一の三 国内にある土地若しくは土地の上に存する権利又は建物及びその附属設備若しくは構築物の譲渡による対価(政令で定めるものを除く。) 二 国内において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価 三 国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利若しくは採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)の規定による採石権の貸付け(地上権又は採石権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の規定による租鉱権の設定又は居住者若しくは内国法人に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価 四 第二十三条第一項(利子所得)に規定する利子等のうち次に掲げるもの イ 日本国の国債若しくは地方債又は内国法人の発行する債券の利子 ロ 外国法人の発行する債券の利子のうち当該外国法人が国内において行う事業に帰せられるものその他の政令で定めるもの ハ 国内にある営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この編において「営業所」という。)に預け入れられた預貯金の利子 ニ 国内にある営業所に信託された合同運用信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託の収益の分配 五 第二十四条第一項(配当所得)に規定する配当等のうち次に掲げるもの イ 内国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は基金利息 ロ 国内にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)又は特定受益証券発行信託の収益の分配 六 国内において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)で当該業務に係るものの利子(政令で定める利子を除く。) 七 国内において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価 ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価 ハ 機械、装置その他政令で定める用具の使用料 八 次に掲げる給与、報酬又は年金 イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの ロ 第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等(政令で定めるものを除く。) ハ 第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等のうちその支払を受ける者が居住者であつた期間に行つた勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として非居住者であつた期間に行つた勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの 九 国内において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの 十 国内にある営業所又は国内において契約の締結の代理をする者を通じて締結した生命保険契約、損害保険契約その他の年金に係る契約で政令で定めるものに基づいて受ける年金で第八号ロに該当するもの以外のもの(年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金又は割戻しを受ける割戻金及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金を含む。) 十一 次に掲げる給付補てん金、利息、利益又は差益 イ 第百七十四条第三号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補てん金のうち国内にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの ロ 第百七十四条第四号に掲げる給付補てん金のうち国内にある営業所が受け入れた同号に規定する掛金に係るもの ハ 第百七十四条第五号に掲げる利息のうち国内にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの ニ 第百七十四条第六号に掲げる利益のうち国内にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの ホ 第百七十四条第七号に掲げる差益のうち国内にある営業所が受け入れた預貯金に係るもの ヘ 第百七十四条第八号に掲げる差益のうち国内にある営業所又は国内において契約の締結の代理をする者を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの 十二 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約(これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。)に基づいて受ける利益の分配 (租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得) 第百六十二条 日本国が締結した所得に対する租税に関する二重課税防止のための条約において国内源泉所得につき前条の規定と異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける者については、同条の規定にかかわらず、国内源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その条約に定めるところによる。この場合において、その条約が同条第二号から第十二号までの規定に代わつて国内源泉所得を定めているときは、この法律中これらの号に規定する事項に関する部分の適用については、その条約により国内源泉所得とされたものをもつてこれに対応するこれらの号に掲げる国内源泉所得とみなす。 (国内源泉所得の範囲の細目) 第百六十三条 前二条に定めるもののほか、国内源泉所得の範囲に関し必要な事項は、政令で定める。 第二章 非居住者の納税義務 第一節 通則 (非居住者に対する課税の方法) 第百六十四条 非居住者に対して課する所得税の額は、次の各号に掲げる非居住者の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得について、次節第一款(非居住者に対する所得税の総合課税)の規定を適用して計算したところによる。 一 国内に支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるものを有する非居住者 すべての国内源泉所得 二 国内において建設、据付け、組立てその他の作業又はその作業の指揮監督の役務の提供(以下この条において「建設作業等」という。)を一年を超えて行う非居住者(前号に該当する者を除く。) 次に掲げる国内源泉所得 イ 第百六十一条第一号から第三号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得 ロ 第百六十一条第四号から第十二号までに掲げる国内源泉所得のうち、その非居住者が国内において行う建設作業等に係る事業に帰せられるもの 三 国内に自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの(以下この条において「代理人等」という。)を置く非居住者(第一号に該当する者を除く。) 次に掲げる国内源泉所得 イ 第百六十一条第一号から第三号までに掲げる国内源泉所得 ロ 第百六十一条第四号から第十二号までに掲げる国内源泉所得のうち、その非居住者が国内においてその代理人等を通じて行う事業に帰せられるもの 四 前三号に掲げる非居住者以外の非居住者 次に掲げる国内源泉所得 イ 第百六十一条第一号及び第一号の三に掲げる国内源泉所得のうち、国内にある資産の運用若しくは保有又は国内にある不動産の譲渡により生ずるものその他政令で定めるもの ロ 第百六十一条第二号及び第三号に掲げる国内源泉所得 2 次の各号に掲げる非居住者が当該各号に掲げる国内源泉所得を有する場合には、当該非居住者に対して課する所得税の額は、前項の規定によるもののほか、当該各号に掲げる国内源泉所得について第三節(非居住者に対する所得税の分離課税)の規定を適用して計算したところによる。 一 前項第二号又は第三号に掲げる非居住者 第百六十一条第四号から第十二号までに掲げる国内源泉所得のうち、前項第二号に規定する建設作業等に係る事業又は同項第三号に規定する代理人等を通じて行う事業に帰せられるもの以外のもの 二 前項第四号に掲げる非居住者 第百六十一条第四号から第十二号までに掲げる国内源泉所得 第二節 非居住者に対する所得税の総合課税 第一款 課税標準、税額等の計算 (総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算) 第百六十五条 前条第一項各号に掲げる非居住者の当該各号に掲げる国内源泉所得について課する所得税(以下この節において「総合課税に係る所得税」という。)の課税標準及び所得税の額は、当該各号に掲げる国内源泉所得について、政令で定めるところにより、前編第一章から第四章まで(居住者に係る所得税の課税標準、税額等の計算)(第七十三条から第七十七条まで(医療費控除等)、第七十九条(障害者控除)、第八十一条から第八十五条まで(寡婦(寡夫)控除等)及び第九十五条(外国税額控除)を除く。)の規定に準じて計算した金額とする。 第二款 申告、納付及び還付 (申告、納付及び還付) 第百六十六条 前編第五章(居住者に係る申告、納付及び還付)の規定は、非居住者の総合課税に係る所得税についての申告、納付及び還付について準用する。この場合において、第百二十条第三項第三号(確定所得申告)中「又は」とあるのは「若しくは」と、「居住者」とあるのは「非居住者又は国内及び国外の双方にわたつて業務を行う非居住者」と、「源泉徴収票」とあるのは「源泉徴収票又は収入及び支出に関する明細書で財務省令で定めるもの」と、同条第四項中「業務を行う居住者」とあるのは「業務を国内において行う非居住者」と、第百四十三条(青色申告)中「業務を行なう」とあるのは「業務を国内において行う」と、第百四十四条(青色申告の承認の申請)及び第百四十七条(青色申告の承認があつたものとみなす場合)中「業務を開始した」とあるのは「業務を国内において開始した」と読み替えるものとする。 第三款 更正の請求の特例 (更正の請求の特例) 第百六十七条 前編第六章(居住者に係る更正の請求の特例)の規定は、非居住者の総合課税に係る所得税についての国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求について準用する。 第四款 更正及び決定 (更正及び決定) 第百六十八条 前編第七章(居住者に係る更正及び決定)の規定は、非居住者の総合課税に係る所得税についての更正又は決定について準用する。 第三節 非居住者に対する所得税の分離課税 (分離課税に係る所得税の課税標準) 第百六十九条 第百六十四条第二項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の当該各号に定める国内源泉所得については、他の所得と区分して所得税を課するものとし、その所得税の課税標準は、その支払を受けるべき当該国内源泉所得の金額(次の各号に掲げる国内源泉所得については、当該各号に定める金額)とする。 一 第百六十一条第四号(国内源泉所得)に掲げる利子等のうち無記名の公社債の利子又は無記名の貸付信託、公社債投資信託若しくは公募公社債等運用投資信託の受益証券に係る収益の分配 その支払を受けた金額 二 第百六十一条第五号に掲げる配当等のうち無記名株式等の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配 その支払を受けた金額 三 第百六十一条第八号ロに掲げる年金 その支払を受けるべき年金の額から六万円にその支払を受けるべき年金の額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した金額 四 第百六十一条第九号に掲げる賞金 その支払を受けるべき金額から五十万円を控除した金額 五 第百六十一条第十号に掲げる年金 同号に規定する契約に基づいて支払を受けるべき金額から当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金の額のうちその支払を受けるべき金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額 (分離課税に係る所得税の税率) 第百七十条 前条に規定する所得税の額は、同条に規定する国内源泉所得の金額に百分の二十(当該国内源泉所得の金額のうち第百六十一条第四号及び第十一号(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得に係るものについては、百分の十五)の税率を乗じて計算した金額とする。 (退職所得についての選択課税) 第百七十一条 第百六十九条(課税標準)に規定する非居住者が第百六十一条第八号ハ(居住者として行つた勤務に基因する退職手当等)の規定に該当する退職手当等(第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等をいう。以下この節において同じ。)の支払を受ける場合には、その者は、前条の規定にかかわらず、当該退職手当等について、その支払の基因となつた退職(その年中に支払を受ける当該退職手当等が二以上ある場合には、それぞれの退職手当等の支払の基因となつた退職)を事由としてその年中に支払を受ける退職手当等の総額を居住者として受けたものとみなして、これに第三十条及び第八十九条(税率)の規定を適用するものとした場合の税額に相当する金額により所得税を課されることを選択することができる。 (給与等につき源泉徴収を受けない場合の申告納税等) 第百七十二条 第百六十九条(課税標準)に規定する非居住者が第百六十一条第八号イ又はハ(国内において行う勤務に基因する給与等)に掲げる給与又は報酬の支払を受ける場合において、当該給与又は報酬について次編第五章(非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収)の規定の適用を受けないときは、その者は、次条の規定による申告書を提出することができる場合を除き、その年の翌年三月十五日(同日前に国内に居所を有しないこととなる場合には、その有しないこととなる日)までに、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。 一 その年中に支払を受ける第百六十一条第八号イ又はハに掲げる給与又は報酬の額のうち次編第五章の規定の適用を受けない部分の金額(当該適用を受けない部分の金額のうちに前条に規定する退職手当等の額があり、かつ、当該退職手当等につき同条の選択をする場合には、当該退職手当等の額を除く。)及び当該金額につき第百七十条(税率)の規定を適用して計算した所得税の額 二 前号に規定する給与又は報酬の額のうちに、その年の中途において国内に居所を有しないこととなつたことにより提出するこの項の規定による申告書に記載すべき部分の金額がある場合には、当該金額及び当該金額につき第百七十条の規定を適用して計算した所得税の額 三 第一号に掲げる所得税の額から前号に掲げる所得税の額を控除した金額 四 第一号に掲げる金額の計算の基礎、その者の国内における勤務の種類その他財務省令で定める事項 2 前条に規定する退職手当等につき前項の規定による申告書を提出すべき者が、当該退職手当等について同条の選択をする場合には、その申告書に、同項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 その年中に支払を受ける退職手当等の総額(前条の規定の適用がある部分の金額に限る。)及び当該総額につき同条の規定を適用して計算した所得税の額 二 その年中に支払を受ける退職手当等につき次編第五章の規定により徴収された又は徴収されるべき所得税の額がある場合には、その所得税の額(当該退職手当等の額のうちに、その年の中途において国内に居所を有しないこととなつたことにより提出する前項の規定による申告書に記載すべき部分の金額がある場合には、当該金額につき第百七十条の規定を適用して計算した所得税の額を含む。) 三 第一号に掲げる所得税の額から前号に掲げる所得税の額を控除した金額 四 第一号に掲げる退職手当等の総額の支払者別の内訳及びその支払者の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地 五 第一号に掲げる所得税の額の計算の基礎 3 第一項の規定による申告書を提出した非居住者は、当該申告書の提出期限までに、同項第三号に掲げる金額(前項の規定の適用を受ける者については、当該金額と同項第三号に掲げる金額との合計額)に相当する所得税を国に納付しなければならない。 (退職所得の選択課税による還付) 第百七十三条 第百六十九条(課税標準)に規定する非居住者がその支払を受ける第百七十一条(退職所得についての選択課税)に規定する退職手当等につき次編第五章(非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収)の規定の適用を受ける場合において、当該退職手当等につき同条の選択をするときは、その者は、当該退職手当等に係る所得税の還付を受けるため、その年の翌年一月一日(同日前に同条に規定する退職手当等の総額が確定した場合には、その確定した日)以後に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。 一 前条第二項第一号に掲げる退職手当等の総額及び所得税の額 二 前条第二項第二号に掲げる所得税の額 三 前号に掲げる所得税の額から第一号に掲げる所得税の額を控除した金額 四 前条第二項第四号及び第五号に掲げる事項その他財務省令で定める事項 2 前項の規定による申告書の提出があつた場合には、税務署長は、同項第三号に掲げる金額に相当する所得税を還付する。 3 前項の場合において、同項の申告書に記載された第一項第二号に掲げる所得税の額(次編第五章の規定により徴収されるべきものに限る。)のうちにまだ納付されていないものがあるときは、前項の規定による還付金の額のうちその納付されていない部分の金額に相当する金額については、その納付があるまでは、還付しない。 4 第二項の規定による還付金について還付加算金を計算する場合には、その計算の基礎となる国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)の期間は、第一項の規定による申告書の提出があつた日(同日後に納付された前項に規定する所得税の額に係る還付金については、その納付の日)の翌日からその還付のための支払決定をする日又はその還付金につき充当をする日(同日前に充当をするのに適することとなつた日がある場合には、その適することとなつた日)までの期間とする。 5 前二項に定めるもののほか、第二項の還付の手続その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。 第三章 法人の納税義務 第一節 内国法人の納税義務 (内国法人に係る所得税の課税標準) 第百七十四条 内国法人に対して課する所得税の課税標準は、その内国法人が国内において支払を受けるべき次に掲げるものの額(第十号に掲げる賞金については、その額から政令で定める金額を控除した残額)とする。 一 第二十三条第一項(利子所得)に規定する利子等 二 第二十四条第一項(配当所得)に規定する配当等 三 定期積金に係る契約に基づく給付補てん金(当該契約に基づく給付金のうちその給付を受ける金銭の額から当該契約に基づき払い込んだ掛金の額の合計額を控除した残額に相当する部分をいう。) 四 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第四項(定義等)の契約に基づく給付補てん金(当該契約に基づく給付金のうちその給付を受ける金銭の額から当該契約に基づき払い込むべき掛金の額として政令で定めるものの合計額を控除した残額に相当する部分をいう。) 五 抵当証券法(昭和六年法律第十五号)第一条第一項(証券の交付)に規定する抵当証券に基づき締結された当該抵当証券に記載された債権の元本及び利息の支払等に関する事項を含む契約として政令で定める契約により支払われる利息 六 金その他の貴金属その他これに類する物品で政令で定めるものの買入れ及び売戻しに関する契約で、当該契約に定められた期日において当該契約に定められた金額により当該物品を売り戻す旨の定めがあるものに基づく利益(当該物品の当該売戻しをした場合の当該金額から当該物品の買入れに要した金額を控除した残額をいう。) 七 外国通貨で表示された預貯金でその元本及び利子をあらかじめ約定した率により本邦通貨又は当該外国通貨以外の外国通貨に換算して支払うこととされているものの差益(当該換算による差益として政令で定めるものをいう。) 八 生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済に係る契約で保険料又は掛金を一時に支払うこと(これに準ずる支払方法として政令で定めるものを含む。)その他政令で定める事項をその内容とするもののうち、保険期間又は共済期間(以下この号において「保険期間等」という。)が五年以下のもの及び保険期間等が五年を超えるものでその保険期間等の初日から五年以内に解約されたものに基づく差益(これらの契約に基づく満期保険金、満期返戻金若しくは満期共済金又は解約返戻金の金額からこれらの契約に基づき支払つた保険料又は掛金の額の合計額を控除した金額として政令で定めるところにより計算した金額をいう。) 九 匿名組合契約(これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。第百七十六条第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)において同じ。)に基づく利益の分配 十 馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの (信託財産に係る利子等の課税の特例) 第百七十六条 第七条第一項第四号(内国法人の課税所得の範囲)及び前二条の規定は、内国法人である信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。次項において「内国信託会社」という。)が、その引き受けた証券投資信託(国内にある営業所に信託されたものに限る。)の信託財産に属する公社債、合同運用信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益権、社債的受益権、株式又は出資(以下この項において「公社債等」という。)につき国内において第二十三条第一項(利子所得)に規定する利子等(以下この条において「利子等」という。)又は第二十四条第一項(配当所得)に規定する配当等(以下この条において「配当等」という。)の支払をする者の備え付ける帳簿に、当該公社債等が当該信託財産に属する旨その他財務省令で定める事項の登載を受けている場合には、当該公社債等についてその登載を受けている期間内に支払われる当該利子等又は配当等については、適用しない。 2 第七条第一項第四号及び前二条の規定は、内国信託会社が、その引き受けた第十三条第三項第二号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託(国内にある営業所に信託されたものに限る。)の信託財産に属する公社債、合同運用信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益権、社債的受益権、株式、出資又は匿名組合契約に基づく権利(以下この項において「公社債等」という。)につき国内において利子等、配当等又は第百七十四条第九号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利益の分配の支払をする者の備え付ける帳簿に、当該公社債等が当該信託財産に属する旨その他財務省令で定める事項の登載を受けている場合には、当該公社債等についてその登載を受けている期間内に支払われる当該利子等、配当等又は利益の分配については、適用しない。 3 内国法人がその引き受けた第十三条第三項第一号に規定する集団投資信託(国内にある営業所に信託されたものに限る。以下この条において「集団投資信託」という。)の信託財産について納付した所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものを含む。次項において同じ。)の額は、政令で定めるところにより、当該集団投資信託の収益の分配に係る所得税の額から控除する。 4 前項の規定により控除すべき集団投資信託の信託財産について納付した所得税の額は、当該集団投資信託の収益の分配の額の計算上、当該収益の分配の額に加算する。 第二節 外国法人の納税義務 (外国法人に係る所得税の課税標準) 第百七十八条 外国法人に対して課する所得税の課税標準は、その外国法人が支払を受けるべき第百六十一条第一号の二から第七号まで及び第九号から第十二号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その外国法人が法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第七号まで及び第九号から第十二号までに掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。)の金額(第百六十九条第一号、第二号、第四号及び第五号(分離課税に係る所得税の課税標準)に掲げる国内源泉所得については、これらの規定に定める金額)とする。 (外国法人に係る所得税の税率) 第百七十九条 外国法人に対して課する所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 前条に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。) その金額(第百六十九条第二号、第四号及び第五号(分離課税に係る所得税の課税標準)に掲げる国内源泉所得については、これらの規定に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額 二 第百六十一条第一号の三(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十の税率を乗じて計算した金額 三 第百六十一条第四号及び第十一号に掲げる国内源泉所得 その金額(第百六十九条第一号に掲げる国内源泉所得については、同号に定める金額)に百分の十五の税率を乗じて計算した金額 (国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例) 第百八十条 第七条第一項第五号(外国法人の課税所得の範囲)及び前二条の規定は、次の各号に掲げる法人で政令で定める要件を備えているもののうち当該各号に定める国内源泉所得の支払を受けるものが、政令で定めるところにより、当該支払を受けるものが当該要件を備えていること及びその支払を受けることとなる国内源泉所得が当該各号に定める国内源泉所得に該当することにつきその法人税の納税地の所轄税務署長(以下この条において「所轄税務署長」という。)の証明書の交付を受け、その証明書を当該国内源泉所得の支払をする者に提示した場合には、その証明書が効力を有している間に支払を受ける当該国内源泉所得については、適用しない。 一 法人税法第百四十一条第一号(国内に恒久的施設を有する外国法人)に掲げる外国法人に該当する法人(第百六十一条第一号の二(国内源泉所得)に規定する組合契約を締結している組合員(これに類する者で政令で定めるものを含む。)である法人(以下この項において「組合員である法人」という。)にあつては、政令で定めるものに限る。) 第百六十一条第一号の二から第三号まで、第六号、第七号、第九号又は第十号に掲げる国内源泉所得(同条第一号の三に規定する対価にあつては、第十三条第一項ただし書(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する信託で国内にある営業所に信託されたものの信託財産に帰せられるものに係るものに限る。) 二 法人税法第百四十一条第二号に掲げる外国法人に該当する法人(組合員である法人にあつては、政令で定めるものに限る。) 前号に定める国内源泉所得のうち、その法人が国内において行う同条第二号に規定する建設作業等に係る事業に帰せられるもの 三 法人税法第百四十一条第三号に掲げる外国法人に該当する法人(組合員である法人にあつては、政令で定めるものに限る。) 第一号に定める国内源泉所得のうち、その法人が国内において同条第三号に規定する代理人等を通じて行う事業に帰せられるもの 2 前項各号に掲げる法人で同項に規定する証明書の交付を受けたものが、その交付を受けた後、同項に規定する要件に該当しないこととなり、又は当該各号に規定する外国法人に該当しないこととなつた場合には、その該当しないこととなつた日以後遅滞なく、政令で定めるところにより、その旨を所轄税務署長に届け出るとともに、その証明書の提示先にその旨を通知しなければならない。 3 所轄税務署長は、第一項各号に掲げる法人で同項に規定する証明書の交付を受けたものが、その交付を受けた後、同項に規定する要件に該当しないこととなり、又は当該各号に規定する外国法人に該当しないこととなつたと認める場合には、当該証明書の交付を受けたものに対し、書面によりその旨を通知するものとする。 4 前項の場合において、同項に規定する通知を受けた者は、当該通知を受けた日以後遅滞なく、第一項に規定する証明書の提示先に当該通知を受けた旨を通知しなければならない。 5 所轄税務署長は、第二項の規定による届出があつた場合又は第三項の規定により通知をした場合には、財務省令で定めるところにより、当該届出をした者又は当該通知を受けた者の名称その他の財務省令で定める事項を公示するものとする。 6 第一項に規定する証明書は、次に掲げる場合には、その効力を失う。 一 当該証明書につき所轄税務署長が定めた有効期限を経過したとき。 二 前項の規定による公示があつたとき。 (信託財産に係る利子等の課税の特例) 第百八十条の二 第七条第一項第五号(外国法人の課税所得の範囲)、第百七十八条(外国法人に係る所得税の課税標準)及び第百七十九条(外国法人に係る所得税の税率)の規定は、外国法人である信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。次項において「外国信託会社」という。)が、その引き受けた第百七十六条第一項(信託財産に係る利子等の課税の特例)に規定する証券投資信託の信託財産に属する同項に規定する公社債等につき第百六十一条第四号(同号ハを除く。)又は第五号(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得の支払をする者の備え付ける帳簿に、当該公社債等が当該信託財産に属する旨その他財務省令で定める事項の登載を受けている場合には、当該公社債等についてその登載を受けている期間内に支払われる当該国内源泉所得については、適用しない。 2 第七条第一項第五号、第百七十八条及び第百七十九条の規定は、外国信託会社が、その引き受けた第百七十六条第二項に規定する退職年金等信託の信託財産に属する同項に規定する公社債等につき第百六十一条第四号(同号ハを除く。)、第五号又は第十二号に掲げる国内源泉所得の支払をする者の備え付ける帳簿に、当該公社債等が当該信託財産に属する旨その他財務省令で定める事項の登載を受けている場合には、当該公社債等についてその登載を受けている期間内に支払われる当該国内源泉所得については、適用しない。 3 外国法人がその引き受けた集団投資信託(第百七十六条第三項に規定する集団投資信託をいう。以下この条において同じ。)の信託財産について納付した所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で同項に規定する政令で定めるものを含む。次項において同じ。)の額は、政令で定めるところにより、当該集団投資信託の収益の分配に係る所得税の額から控除する。 4 前項の規定により控除すべき集団投資信託の信託財産について納付した所得税の額は、当該集団投資信託の収益の分配の額の計算上、当該収益の分配の額に加算する。 第四編 源泉徴収 第一章 利子所得及び配当所得に係る源泉徴収 (源泉徴収義務) 第百八十一条 省略 2 配当等(投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)又は特定受益証券発行信託の収益の分配を除く。)については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。 (徴収税額) 第百八十二条 前条の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。 一 利子等 その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額 二 配当等 その金額に百分の二十の税率を乗じて計算した金額 第二章 給与所得に係る源泉徴収 第一節 源泉徴収義務及び徴収税額 (源泉徴収義務) 第百八十三条 省略 2 法人の法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。 第五章 非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収 (源泉徴収義務) 第二百十二条 非居住者に対し国内において第百六十一条第一号の二から第十二号まで(国内源泉所得)に掲げる国内源泉所得(その非居住者が第百六十四条第一項第四号(国内に恒久的施設を有しない非居住者)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第十二号までに掲げるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。)の支払をする者又は外国法人に対し国内において同条第一号の二から第七号まで若しくは第九号から第十二号までに掲げる国内源泉所得(その外国法人が法人税法第百四十一条第四号(国内に恒久的施設を有しない外国法人)に掲げる者である場合には第百六十一条第一号の三から第七号まで又は第九号から第十二号までに掲げるものに限るものとし、第百八十条第一項(国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例)又は第百八十条の二第一項若しくは第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定に該当するもの及び政令で定めるものを除く。)の支払をする者は、その支払の際、これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。 2 前項に規定する国内源泉所得の支払が国外において行なわれる場合において、その支払をする者が国内に住所若しくは居所を有し、又は国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを有するときは、その者が当該国内源泉所得を国内において支払うものとみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「翌月十日まで」とあるのは、「翌月末日まで」とする。 3 内国法人に対し国内において第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金(これらのうち第百七十六条第一項又は第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定に該当するものを除く。)の支払をする者は、その支払の際、当該利子等、配当等、給付補てん金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。 4 第百八十一条第二項(配当等の支払があつたものとみなす場合)の規定は第一項又は前項の規定を適用する場合について、第百八十三条第二項(賞与の支払があつたものとみなす場合)の規定は第一項の規定を適用する場合についてそれぞれ準用する。 5 第百六十一条第一号の二に規定する配分を受ける同号に掲げる国内源泉所得については、同号に規定する組合契約を締結している組合員(これに類する者で政令で定めるものを含む。)である非居住者又は外国法人が当該組合契約に定める計算期間その他これに類する期間(これらの期間が一年を超える場合は、これらの期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)。以下この項において「計算期間」という。)において生じた当該国内源泉所得につき金銭その他の資産(以下この項において「金銭等」という。)の交付を受ける場合には、当該配分をする者を当該国内源泉所得の支払をする者とみなし、当該金銭等の交付をした日(当該計算期間の末日の翌日から二月を経過する日までに当該国内源泉所得に係る金銭等の交付がされない場合には、同日)においてその支払があつたものとみなして、この法律の規定を適用する。 (徴収税額) 第二百十三条 前条第一項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 前条第一項に規定する国内源泉所得(次号及び第三号に掲げるものを除く。) その金額(次に掲げる国内源泉所得については、それぞれ次に定める金額)に百分の二十の税率を乗じて計算した金額 イ 第百六十一条第八号ロ(国内源泉所得)に掲げる年金 その支払われる年金の額から六万円にその支払われる年金の額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した残額 ロ 第百六十一条第九号に掲げる賞金 その金額(金銭以外のもので支払われる場合には、その支払の時における価額として政令で定めるところにより計算した金額)から五十万円を控除した残額 ハ 第百六十一条第十号に掲げる年金 同号に規定する契約に基づいて支払われる年金の額から当該契約に基づいて払い込まれた保険料又は掛金の額のうちその支払われる年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額 二 第百六十一条第一号の三に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十の税率を乗じて計算した金額 三 第百六十一条第四号及び第十一号に掲げる国内源泉所得 その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額 2 前条第三項の規定により徴収すべき所得税の額は、次の各号の区分に応じ当該各号に定める金額とする。 一 前条第三項に規定する利子等、給付補てん金、利息、利益又は差益 その金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額 二 前条第三項に規定する配当等又は利益の分配 その金額に百分の二十の税率を乗じて計算した金額 三 前条第三項に規定する賞金 その金額(金銭以外のもので支払われる場合には、その支払の時における価額として政令で定めるところにより計算した金額)から政令で定める金額を控除した残額に百分の十の税率を乗じて計算した金額 (源泉徴収を要しない非居住者の国内源泉所得) 第二百十四条 次の各号に掲げる者で政令で定める要件を備えているもののうち当該各号に定める国内源泉所得の支払を受けるものが、政令で定めるところにより、当該支払を受けるものが当該要件を備えていること及びその支払を受けることとなる国内源泉所得が当該各号に定める国内源泉所得に該当することにつき納税地の所轄税務署長の証明書の交付を受け、その証明書を当該国内源泉所得の支払をする者に提示した場合には、その支払をする者は、その証明書が効力を有している間にその証明書を提示した者に対して支払う当該国内源泉所得については、第二百十二条第一項(源泉徴収義務)の規定にかかわらず、所得税を徴収して納付することを要しない。 一 第百六十四条第一項第一号(国内に恒久的施設を有する非居住者)に掲げる非居住者に該当する者(第百六十一条第一号の二(国内源泉所得)に規定する組合契約を締結している組合員(これに類する者で政令で定めるものを含む。)である者(以下この項において「組合員である者」という。)にあつては、政令で定めるものに限る。) 第百六十一条第一号の二、第二号、第三号、第六号、第七号、第八号イ(給与に係る部分を除く。)又は第十号に掲げる国内源泉所得(政令で定めるものを除く。) 二 第百六十四条第一項第二号に掲げる非居住者に該当する者(組合員である者にあつては、政令で定めるものに限る。) 前号に定める国内源泉所得のうち、その者が国内において行う同項第二号に規定する建設作業等に係る事業に帰せられるもの 三 第百六十四条第一項第三号に掲げる非居住者に該当する者(組合員である者にあつては、政令で定めるものに限る。) 第一号に定める国内源泉所得のうち、その者が国内において同項第三号に規定する代理人等を通じて行う事業に帰せられるもの 2 前項各号に掲げる者で同項に規定する証明書の交付を受けたものが、その交付を受けた後、同項に規定する要件に該当しないこととなり、又は当該各号に規定する非居住者に該当しないこととなつた場合には、その該当しないこととなつた日以後遅滞なく、政令で定めるところにより、その旨を納税地の所轄税務署長に届け出るとともに、その証明書の提示先にその旨を通知しなければならない。 3 納税地の所轄税務署長は、第一項各号に掲げる者で同項に規定する証明書の交付を受けたものが、その交付を受けた後、同項に規定する要件に該当しないこととなり、又は当該各号に規定する非居住者に該当しないこととなつたと認める場合には、当該証明書の交付を受けたものに対し、書面によりその旨を通知するものとする。 4 前項の場合において、同項に規定する通知を受けた者は、当該通知を受けた日以後遅滞なく、第一項に規定する証明書の提示先に当該通知を受けた旨を通知しなければならない。 5 納税地の所轄税務署長は、第二項の規定による届出があつた場合又は第三項の規定により通知をした場合には、財務省令で定めるところにより、当該届出をした者又は当該通知を受けた者の氏名その他の財務省令で定める事項を公示するものとする。 6 第一項に規定する証明書は、次に掲げる場合には、その効力を失う。 一 当該証明書につき納税地の所轄税務署長が定めた有効期限を経過したとき。 二 前項の規定による公示があつたとき。 (非居住者の人的役務の提供による給与等に係る源泉徴収の特例) 第二百十五条 国内において第百六十一条第二号(国内源泉所得)に規定する事業を行う非居住者又は外国法人が同号に掲げる対価につき第二百十二条第一項(源泉徴収義務)の規定により所得税を徴収された場合には、政令で定めるところにより、当該非居住者又は外国法人が当該所得税を徴収された対価のうちから当該事業のために人的役務の提供をする非居住者に対してその人的役務の提供につき支払う第百六十一条第八号イ又はハに掲げる給与又は報酬について、その支払の際、同項の規定による所得税の徴収が行われたものとみなす。 別表第一 公共法人等の表 (第四条、第十一条関係) |名称|根拠法| |医療法人(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条の二第一項(社会医療法人)に規定する社会医療法人に限る。)|医療法| |沖縄振興開発金融公庫|沖縄振興開発金融公庫法(昭和四十七年法律第三十一号)| |貸金業協会|貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)| |学校法人(私立学校法第六十四条第四項(専修学校及び各種学校)の規定により設立された法人を含む。)|私立学校法| |株式会社日本政策金融公庫|会社法及び株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)| |企業年金基金|確定給付企業年金法| |企業年金連合会|厚生年金保険法| |危険物保安技術協会|消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)| |行政書士会|行政書士法(昭和二十六年法律第四号)| |漁業共済組合|漁業災害補償法(昭和三十九年法律第百五十八号)| |漁業共済組合連合会| |漁業信用基金協会|中小漁業融資保証法(昭和二十七年法律第三百四十六号)| |漁船保険組合|漁船損害等補償法(昭和二十七年法律第二十八号)| |漁船保険中央会| |勤労者財産形成基金|勤労者財産形成促進法(昭和四十六年法律第九十二号)| |軽自動車検査協会|道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)| |健康保険組合|健康保険法| |健康保険組合連合会| |原子力発電環境整備機構|特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)| |高圧ガス保安協会|高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)| |広域臨海環境整備センター|広域臨海環境整備センター法(昭和五十六年法律第七十六号)| |公益財団法人|一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)| |公益社団法人| |厚生年金基金|厚生年金保険法| |更生保護法人|更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)| |港務局|港湾法| |小型船舶検査機構|船舶安全法(昭和八年法律第十一号)| |国家公務員共済組合|国家公務員共済組合法| |国家公務員共済組合連合会| |国際観光振興会|国際観光振興会法(昭和三十四年法律第三十九号)| |国民健康保険組合|国民健康保険法| |国民健康保険団体連合会| |国民年金基金|国民年金法| |国民年金基金連合会| |国立大学法人|国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)| |市街地再開発組合|都市再開発法(昭和四十四年法律第三十八号)| |自動車安全運転センター|自動車安全運転センター法(昭和五十年法律第五十七号)| |司法書士会|司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)| |社会福祉法人|社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)| |社会保険診療報酬支払基金|社会保険診療報酬支払基金法| |社会保険労務士会|社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)| |宗教法人|宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)| |住宅街区整備組合|大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和五十年法律第六十七号)| |酒造組合|酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和二十八年法律第七号)| |酒造組合中央会| |酒造組合連合会| |酒販組合| |酒販組合中央会| |酒販組合連合会| |商工会|商工会法(昭和三十五年法律第八十九号)| |商工会議所|商工会議所法(昭和二十八年法律第百四十三号)| |商工会連合会|商工会法| |商工組合(組合員に出資をさせないものに限る。)|中小企業団体の組織に関する法律(昭和三十二年法律第百八十五号)| |商工組合連合会(会員に出資をさせないものに限る。)| |商品先物取引協会|商品取引所法| |消防団員等公務災害補償等共済基金|消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律(昭和三十一年法律第百七号)| |職員団体等(法人であるものに限る。)|職員団体等に対する法人格の付与に関する法律(昭和五十三年法律第八十号)| |職業訓練法人|職業能力開発促進法| |信用保証協会|信用保証協会法(昭和二十八年法律第百九十六号)| |水害予防組合|水害予防組合法(明治四十一年法律第五十号)| |水害予防組合連合| |生活衛生同業組合(組合員に出資をさせないものに限る。)|生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和三十二年法律第百六十四号)| |生活衛生同業組合連合会(会員に出資をさせないものに限る。)| |税理士会|税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)| |石炭鉱業年金基金|石炭鉱業年金基金法| |船員災害防止協会|船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)| |全国健康保険協会|健康保険法| |全国市町村職員共済組合連合会|地方公務員等共済組合法| |全国社会保険労務士会連合会|社会保険労務士法| |全国農業会議所|農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)| |損害保険料率算出団体|損害保険料率算出団体に関する法律(昭和二十三年法律第百九十三号)| |大学共同利用機関法人|国立大学法人法| |地方議会議員共済会|地方公務員等共済組合法| |地方競馬全国協会|競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)| |地方公営企業等金融機構|地方公営企業等金融機構法(平成十九年法律第六十四号)| |地方公共団体|地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)| |地方公務員共済組合|地方公務員等共済組合法| |地方公務員共済組合連合会| |地方公務員災害補償基金|地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)| |地方住宅供給公社|地方住宅供給公社法(昭和四十年法律第百二十四号)| |地方道路公社|地方道路公社法(昭和四十五年法律第八十二号)| |地方独立行政法人|地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)| |中央職業能力開発協会|職業能力開発促進法| |中央労働災害防止協会|労働災害防止団体法(昭和三十九年法律第百十八号)| |中小企業団体中央会|中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)| |投資者保護基金|金融商品取引法| |独立行政法人(その資本金の額若しくは出資の金額の全部が国若しくは地方公共団体の所有に属しているもの、国若しくは地方公共団体以外の者に対し利益若しくは剰余金の分配その他これに類する金銭の分配を行わないもの又はこれらに類するものとして、財務大臣が指定したものに限る。)|独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)及び同法第一条第一項(目的等)に規定する個別法| |土地開発公社|公有地の拡大の推進に関する法律(昭和四十七年法律第六十六号)| |土地改良区|土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)| |土地改良区連合| |土地改良事業団体連合会| |土地家屋調査士会|土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)| |土地区画整理組合|土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)| |都道府県職業能力開発協会|職業能力開発促進法| |都道府県農業会議|農業委員会等に関する法律| |日本行政書士会連合会|行政書士法| |日本勤労者住宅協会|日本勤労者住宅協会法(昭和四十一年法律第百三十三号)| |日本下水道事業団|日本下水道事業団法(昭和四十七年法律第四十一号)| |日本公認会計士協会|公認会計士法| |日本司法支援センター|総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)| |日本司法書士会連合会|司法書士法| |日本商工会議所|商工会議所法| |日本消防検定協会|消防法| |日本私立学校振興・共済事業団|日本私立学校振興・共済事業団法(平成九年法律第四十八号)| |日本税理士会連合会|税理士法| |日本赤十字社|日本赤十字社法(昭和二十七年法律第三百五号)| |日本中央競馬会|日本中央競馬会法(昭和二十九年法律第二百五号)| |日本電気計器検定所|日本電気計器検定所法(昭和三十九年法律第百五十号)| |日本土地家屋調査士会連合会|土地家屋調査士法| |日本弁護士連合会|弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)| |日本弁理士会|弁理士法(平成十二年法律第四十九号)| |日本放送協会|放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)| |日本水先人会連合会|水先法(昭和二十四年法律第百二十一号)| |認可金融商品取引業協会|金融商品取引法| |農業共済組合|農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)| |農業共済組合連合会| |農業協同組合中央会|農業協同組合法| |農業協同組合連合会(医療法第三十一条(公的医療機関の定義)に規定する公的医療機関に該当する病院又は診療所を設置するもので政令で定める要件を満たすものとして財務大臣が指定をしたものに限る。)| |農業信用基金協会|農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)| |農水産業協同組合貯金保険機構|農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)| |負債整理組合|農村負債整理組合法(昭和八年法律第二十一号)| |弁護士会|弁護士法| |保険契約者保護機構|保険業法| |水先人会|水先法| |輸出組合(組合員に出資をさせないものに限る。)|輸出入取引法(昭和二十七年法律第二百九十九号)| |輸入組合(組合員に出資をさせないものに限る。)| |預金保険機構|預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)| |労働組合(法人であるものに限る。)|労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)| |労働災害防止協会|労働災害防止団体法[@ PAGE \* MERGEFORMAT 1@]|