弁護士法人及び外国法事務弁護士法人の業務及び会計帳簿等に関する規則 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の五の規定に基づき、弁護士法第三十条の五の業務を定める省令を次のように定める。 (弁護士法人の業務の範囲) 第一条 弁護士法(以下「法」という。)第三十条の五に規定する法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。 一 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務 二 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務 三 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、他人の業務及び財務の状況、変態設立事項、資産の価格その他の法律事務に関連する事項について、調査してその結果を報告し、又は証明する業務 四 弁護士又は弁護士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務 五 法律事務に附帯し、又は密接に関連する業務 (外国法事務弁護士法人の業務の範囲) 第一条の二 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第五十条の五第一項に規定する法務省令で定める業務は、次の各号に掲げるものとする。 一 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、他人の業務及び財務の状況、資産の価格その他の外国法に関する法律事務に関連する事項について、調査してその結果を報告し、又は証明する業務 二 外国法事務弁護士又は外国法事務弁護士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務 三 外国法に関する法律事務に附帯し、又は密接に関連する業務 (会計帳簿) 第二条 法第三十条の三十(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第五十条の十三第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)第一項において準用する会社法(平成十七年法律第八十六号)第六百十五条第一項の規定により作成すべき会計帳簿については、この条の定めるところによる。 2 会計帳簿は、書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの(磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものに限る。)をいう。第四条において同じ。)をもって作成及び保存をしなければならない。 3 弁護士法人及び外国法事務弁護士法人(以下「弁護士法人等」という。)の会計帳簿に計上すべき資産については、この省令に別段の定めがある場合を除き、その取得価額を付さなければならない。ただし、取得価額を付すことが適切でない資産については、事業年度の末日における時価又は適正な価格を付すことができる。 4 償却すべき資産については、事業年度の末日(事業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この条において同じ。)において、相当の償却をしなければならない。 5 次の各号に掲げる資産については、事業年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。 一 事業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く。) 事業年度の末日における時価 二 事業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産又は減損損失を認識すべき資産 その時の取得原価から相当の減額をした額 6 取立不能のおそれのある債権については、事業年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。 7 弁護士法人等の会計帳簿に計上すべき負債については、この省令に別段の定めがある場合を除き、債務額を付さなければならない。ただし、債務額を付すことが適切でない負債については、時価又は適正な価格を付すことができる。 8 のれんは、有償で譲り受け、又は合併により取得した場合に限り、資産又は負債として計上することができる。 9 前各項の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行を斟酌しなければならない。 (貸借対照表) 第三条 法第三十条の三十第一項において準用する会社法第六百十七条第一項及び第二項の規定により作成すべき貸借対照表については、この条の定めるところによる。 2 貸借対照表に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする。 3 貸借対照表は、日本語をもって表示するものとする。ただし、その他の言語をもって表示することが不当でない場合は、この限りでない。 4 法第三十条の三十第一項において準用する会社法第六百十七条第一項の規定により作成すべき貸借対照表は、成立の日における会計帳簿に基づき作成しなければならない。 5 法第三十条の三十第一項において準用する会社法第六百十七条第二項の規定により作成すべき各事業年度に係る貸借対照表は、当該事業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。 6 各事業年度に係る貸借対照表の作成に係る期間は、当該事業年度の前事業年度の末日の翌日(当該事業年度の前事業年度がない場合にあっては、成立の日)から当該事業年度の末日までの期間とする。この場合において、当該期間は、一年(事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、一年六箇月)を超えることができない。 7 貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。 一 資産 二 負債 三 純資産 8 前項各号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。この場合において、当該各項目については、資産、負債又は純資産を示す適当な名称を付さなければならない。 9 前各項の用語の解釈及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行を斟酌しなければならない。 (電磁的記録に記録された事項を表示する方法) 第四条 法第三十条の三十第一項において準用する会社法第六百十八条第一項第二号に規定する法務省令で定める方法は、法第三十条の三十第一項において準用する会社法第六百十八条第一項第二号の電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法とする。 (財産目録) 第五条 法第三十条の三十第二項において準用する会社法第六百五十八条第一項又は第六百六十九条第一項若しくは第二項の規定により作成すべき財産目録については、この条の定めるところによる。 2 前項の財産目録に計上すべき財産については、その処分価格を付すことが困難な場合を除き、法第三十条の二十三(外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法第五十条の十三第二項において準用する場合を含む。)第一項各号に掲げる場合に該当することとなった日における処分価格を付さなければならない。この場合において、弁護士法人等の会計帳簿については、財産目録に付された価格を取得価額とみなす。 3 第一項の財産目録は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。この場合において、第一号及び第二号に掲げる部は、その内容を示す適当な名称を付した項目に細分することができる。 一 資産 二 負債 三 正味資産 (清算開始時の貸借対照表) 第六条 法第三十条の三十第二項において準用する会社法第六百五十八条第一項又は第六百六十九条第一項若しくは第二項の規定により作成すべき貸借対照表については、この条の定めるところによる。 2 前項の貸借対照表は、財産目録に基づき作成しなければならない。 3 第一項の貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。この場合において、第一号及び第二号に掲げる部は、その内容を示す適当な名称を付した項目に細分することができる。 一 資産 二 負債 三 純資産 4 処分価格を付すことが困難な資産がある場合には、第一項の貸借対照表には、当該資産に係る財産評価の方針を注記しなければならない。