老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)
最終更新:平成二十年法律第四十二号
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  • December 28, 2021
    • Last Version: Act No. 42 of 2008
    • Translated Date: October 6, 2010
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老人福祉法
昭和三十八年七月十一日法律第百三十三号
第一章 総則(第一条―第十条の二)
第二章 福祉の措置(第十条の三―第十三条の二)
第三章 事業及び施設(第十四条―第二十条の七の二)
第三章の二 老人福祉計画(第二十条の八―第二十条の十一)
第四章 費用(第二十一条―第二十八条)
第四章の二 指定法人(第二十八条の二―第二十八条の十四)
第四章の三 有料老人ホーム(第二十九条―第三十一条の五)
第五章 雑則(第三十二条―第三十七条)
第六章 罰則(第三十八条―第四十三条)
附 則
第一章 総則
(目的)
第一条この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。
(基本的理念)
第二条老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。
第三条老人は、老齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、又は、その知識と経験を活用して、社会的活動に参加するように努めるものとする。
老人は、その希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会その他社会的活動に参加する機会を与えられるものとする。
(老人福祉増進の責務)
第四条国及び地方公共団体は、老人の福祉を増進する責務を有する。
国及び地方公共団体は、老人の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前二条に規定する基本的理念が具現されるように配慮しなければならない。
老人の生活に直接影響を及ぼす事業を営む者は、その事業の運営に当たつては、老人の福祉が増進されるように努めなければならない。
第五条国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対し自らの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日及び老人週間を設ける。
老人の日は九月十五日とし、老人週間は同日から同月二十一日までとする。
国は、老人の日においてその趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとし、国及び地方公共団体は、老人週間において老人の団体その他の者によつてその趣旨にふさわしい行事が実施されるよう奨励しなければならない。
(定義)
第五条の二この法律において、「老人居宅生活支援事業」とは、老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業及び認知症対応型老人共同生活援助事業をいう。
この法律において、「老人居宅介護等事業」とは、第十条の四第一項第一号の措置に係る者又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による訪問介護に係る居宅介護サービス費、夜間対応型訪問介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防訪問介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき、これらの者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるものを供与する事業をいう。
この法律において、「老人デイサービス事業」とは、第十条の四第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による通所介護に係る居宅介護サービス費、認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護サービス費、介護予防通所介護に係る介護予防サービス費若しくは介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を特別養護老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、これらの者につき入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、介護方法の指導その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業をいう。
この法律において、「老人短期入所事業」とは、第十条の四第一項第三号の措置に係る者又は介護保険法の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を特別養護老人ホームその他の厚生労働省令で定める施設に短期間入所させ、養護する事業をいう。
この法律において、「小規模多機能型居宅介護事業」とは、第十条の四第一項第四号の措置に係る者又は介護保険法の規定による小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防小規模多機能型居宅介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき、これらの者の心身の状況、置かれている環境等に応じて、それらの者の選択に基づき、それらの者の居宅において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を供与する事業をいう。
この法律において、「認知症対応型老人共同生活援助事業」とは、第十条の四第一項第五号の措置に係る者又は介護保険法の規定による認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護予防認知症対応型共同生活介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者につき、これらの者が共同生活を営むべき住居において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の援助を行う事業をいう。
第五条の三この法律において、「老人福祉施設」とは、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターをいう。
(福祉の措置の実施者)
第五条の四六十五歳以上の者(六十五歳未満の者であつて特に必要があると認められるものを含む。以下同じ。)又はその者を現に養護する者(以下「養護者」という。)に対する第十条の四及び第十一条の規定による福祉の措置は、その六十五歳以上の者が居住地を有するときは、その居住地の市町村が、居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでないときは、その現在地の市町村が行うものとする。ただし、同条第一項第一号若しくは第二号又は生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十条第一項ただし書の規定により入所している六十五歳以上の者については、その六十五歳以上の者が入所前に居住地を有した者であるときは、その居住地の市町村が、その六十五歳以上の者が入所前に居住地を有しないか、又はその居住地が明らかでなかつた者であるときは、入所前におけるその六十五歳以上の者の所在地の市町村が行うものとする。
市町村は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
老人の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
老人の福祉に関し、必要な情報の提供を行い、並びに相談に応じ、必要な調査及び指導を行い、並びにこれらに付随する業務を行うこと。
(市町村の福祉事務所)
第五条の五市町村の設置する福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)は、この法律の施行に関し、主として前条第二項各号に掲げる業務を行うものとする。
(市町村の福祉事務所の社会福祉主事)
第六条市及び福祉事務所を設置する町村は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)の指揮監督を受けて、主として次に掲げる業務を行う所員として、社会福祉主事を置かなければならない。
福祉事務所の所員に対し、老人の福祉に関する技術的指導を行うこと。
第五条の四第二項第二号に規定する業務のうち、専門的技術を必要とする業務を行うこと。
(連絡調整等の実施者)
第六条の二都道府県は、この法律の施行に関し、次に掲げる業務を行わなければならない。
この法律に基づく福祉の措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うこと及びこれらに付随する業務を行うこと。
老人の福祉に関し、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、実情の把握に努めること。
都道府県知事は、この法律に基づく福祉の措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。
都道府県知事は、この法律の規定による都道府県の事務の全部又は一部を、その管理する福祉事務所長に委任することができる。
(都道府県の福祉事務所の社会福祉主事)
第七条都道府県は、その設置する福祉事務所に、福祉事務所長の指揮監督を受けて、主として前条第一項第一号に掲げる業務のうち専門的技術を必要とするものを行う所員として、社会福祉主事を置くことができる。
(保健所の協力)
第八条保健所は、老人の福祉に関し、老人福祉施設等に対し、栄養の改善その他衛生に関する事項について必要な協力を行うものとする。
(民生委員の協力)
第九条民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
(介護等に関する措置)
第十条身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある老人の介護等に関する措置については、この法律に定めるもののほか、介護保険法の定めるところによる。
(連携及び調整)
第十条の二この法律に基づく福祉の措置の実施に当たつては、前条に規定する介護保険法に基づく措置との連携及び調整に努めなければならない。
第二章 福祉の措置
(支援体制の整備等)
第十条の三市町村は、六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、心身の状況、その置かれている環境等に応じて、自立した日常生活を営むために最も適切な支援が総合的に受けられるように、次条及び第十一条の措置その他地域の実情に応じたきめ細かな措置の積極的な実施に努めるとともに、これらの措置、介護保険法に規定する居宅サービス、地域密着型サービス、居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス、地域密着型介護予防サービス及び介護予防支援並びに老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者の活動の連携及び調整を図る等地域の実情に応じた体制の整備に努めなければならない。
市町村は、前項の体制の整備に当たつては、六十五歳以上の者が身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障が生じた場合においても、引き続き居宅において日常生活を営むことができるよう配慮しなければならない。
(居宅における介護等)
第十条の四市町村は、必要に応じて、次の措置を採ることができる。
六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する訪問介護、夜間対応型訪問介護又は介護予防訪問介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、その者の居宅において第五条の二第二項の厚生労働省令で定める便宜を供与し、又は当該市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託すること。
六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する通所介護、認知症対応型通所介護、介護予防通所介護又は介護予防認知症対応型通所介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者(養護者を含む。)を、政令で定める基準に従い、当該市町村の設置する老人デイサービスセンター若しくは第五条の二第三項の厚生労働省令で定める施設(以下「老人デイサービスセンター等」という。)に通わせ、同項の厚生労働省令で定める便宜を供与し、又は当該市町村以外の者の設置する老人デイサービスセンター等に通わせ、当該便宜を供与することを委託すること。
六十五歳以上の者であつて、養護者の疾病その他の理由により、居宅において介護を受けることが一時的に困難となつたものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する短期入所生活介護又は介護予防短期入所生活介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者を、政令で定める基準に従い、当該市町村の設置する老人短期入所施設若しくは第五条の二第四項の厚生労働省令で定める施設(以下「老人短期入所施設等」という。)に短期間入所させ、養護を行い、又は当該市町村以外の者の設置する老人短期入所施設等に短期間入所させ、養護することを委託すること。
六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する小規模多機能型居宅介護又は介護予防小規模多機能型居宅介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、その者の居宅において、又は第五条の二第五項の厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、同項の厚生労働省令で定める便宜及び機能訓練を供与し、又は当該市町村以外の者に当該便宜及び機能訓練を供与することを委託すること。
六十五歳以上の者であつて、認知症(介護保険法第八条第十六項に規定する認知症をいう。以下同じ。)であるために日常生活を営むのに支障があるもの(その者の認知症の原因となる疾患が急性の状態にある者を除く。)が、やむを得ない事由により同法に規定する認知症対応型共同生活介護又は介護予防認知症対応型共同生活介護を利用することが著しく困難であると認めるときは、その者につき、政令で定める基準に従い、第五条の二第六項に規定する住居において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の援助を行い、又は当該市町村以外の者に当該住居において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の援助を行うことを委託すること。
市町村は、六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障があるものにつき、前項各号の措置を採るほか、その福祉を図るため、必要に応じて、日常生活上の便宜を図るための用具であつて厚生労働大臣が定めるものを給付し、若しくは貸与し、又は当該市町村以外の者にこれを給付し、若しくは貸与することを委託する措置を採ることができる。
(老人ホームへの入所等)
第十一条市町村は、必要に応じて、次の措置を採らなければならない。
六十五歳以上の者であつて、環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。)により居宅において養護を受けることが困難なものを当該市町村の設置する養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する養護老人ホームに入所を委託すること。
六十五歳以上の者であつて、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なものが、やむを得ない事由により介護保険法に規定する地域密着型介護老人福祉施設又は介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるときは、その者を当該市町村の設置する特別養護老人ホームに入所させ、又は当該市町村以外の者の設置する特別養護老人ホームに入所を委託すること。
六十五歳以上の者であつて、養護者がないか、又は養護者があつてもこれに養護させることが不適当であると認められるものの養護を養護受託者(老人を自己の下に預つて養護することを希望する者であつて、市町村長が適当と認めるものをいう。以下同じ。)のうち政令で定めるものに委託すること。
市町村は、前項の規定により養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームに入所させ、若しくは入所を委託し、又はその養護を養護受託者に委託した者が死亡した場合において、その葬祭(葬祭のために必要な処理を含む。以下同じ。)を行う者がないときは、その葬祭を行い、又はその者を入所させ、若しくは養護していた養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは養護受託者にその葬祭を行うことを委託する措置を採ることができる。
(措置の解除に係る説明等)
第十二条市町村長は、第十条の四又は前条第一項の措置を解除しようとするときは、あらかじめ、当該措置に係る者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。ただし、当該措置に係る者から当該措置の解除の申出があつた場合その他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない。
行政手続法の適用除外)
第十二条の二第十条の四又は第十一条第一項の措置を解除する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
(老人福祉の増進のための事業)
第十三条地方公共団体は、老人の心身の健康の保持に資するための教養講座、レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加することができる事業(以下「老人健康保持事業」という。)を実施するように努めなければならない。
地方公共団体は、老人の福祉を増進することを目的とする事業の振興を図るとともに、老人クラブその他当該事業を行う者に対して、適当な援助をするように努めなければならない。
(研究開発の推進)
第十三条の二国は、老人の心身の特性に応じた介護方法の研究開発並びに老人の日常生活上の便宜を図るための用具及び機能訓練のための用具であつて身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある者に使用させることを目的とするものの研究開発の推進に努めなければならない。
第三章 事業及び施設
(老人居宅生活支援事業の開始)
第十四条国及び都道府県以外の者は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、老人居宅生活支援事業を行うことができる。
(変更)
第十四条の二前条の規定による届出をした者は、厚生労働省令で定める事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(廃止又は休止)
第十四条の三国及び都道府県以外の者は、老人居宅生活支援事業を廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の日の一月前までに、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
(前払金の保全措置)
第十四条の四認知症対応型老人共同生活援助事業を行う者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。
(施設の設置)
第十五条都道府県は、老人福祉施設を設置することができる。
国及び都道府県以外の者は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設又は老人介護支援センターを設置することができる。
市町村及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。第十六条第二項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
社会福祉法人は、厚生労働省令の定めるところにより、都道府県知事の認可を受けて、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置することができる。
国及び都道府県以外の者は、社会福祉法の定めるところにより、軽費老人ホーム又は老人福祉センターを設置することができる。
都道府県知事は、第四項の認可の申請があつた場合において、当該申請に係る養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの所在地を含む区域(介護保険法第百十八条第二項第一号の規定により当該都道府県が定める区域とする。)における養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの入所定員の総数が、第二十条の九第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県老人福祉計画において定めるその区域の養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの必要入所定員総数に既に達しているか、又は当該申請に係る養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームの設置によつてこれを超えることになると認めるとき、その他の当該都道府県老人福祉計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、第四項の認可をしないことができる。
(変更)
第十五条の二前条第二項の規定による届出をした者は、厚生労働省令で定める事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
前条第三項の規定による届出をし、又は同条第四項の規定による認可を受けた者は、厚生労働省令で定める事項を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(廃止、休止若しくは入所定員の減少又は入所定員の増加)
第十六条国及び都道府県以外の者は、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設又は老人介護支援センターを廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の日の一月前までに、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
市町村及び地方独立行政法人は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを廃止し、休止し、若しくはその入所定員を減少し、又はその入所定員を増加しようとするときは、その廃止、休止若しくは入所定員の減少又は入所定員の増加の日の一月前までに、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
社会福祉法人は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを廃止し、休止し、若しくはその入所定員を減少し、又はその入所定員を増加しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、その廃止、休止若しくは入所定員の減少の時期又は入所定員の増加について、都道府県知事の認可を受けなければならない。
第十五条第六項の規定は、前項の規定により社会福祉法人が養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの入所定員の増加の認可の申請をした場合について準用する。
(施設の基準)
第十七条厚生労働大臣は、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営について、基準を定めなければならない。
養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、前項の基準を遵守しなければならない。
(報告の徴収等)
第十八条都道府県知事は、老人の福祉のために必要があると認めるときは、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターの設置者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
都道府県知事は、前条第一項の基準を維持するため、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの長に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
前二項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(改善命令等)
第十八条の二都道府県知事は、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う者が第十四条の四の規定に違反したと認めるときは、当該者に対して、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
都道府県知事は、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターの設置者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第五条の二第二項から第六項まで、第二十条の二の二若しくは第二十条の三に規定する者の処遇につき不当な行為をしたときは、当該事業を行う者又は当該施設の設置者に対して、その事業の制限又は停止を命ずることができる。
都道府県知事は、前項の規定により、老人居宅生活支援事業又は老人デイサービスセンター、老人短期入所施設若しくは老人介護支援センターにつき、その事業の制限又は停止を命ずる場合(第一項の命令に違反したことに基づいて認知症対応型老人共同生活援助事業の制限又は停止を命ずる場合を除く。)には、あらかじめ、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聴かなければならない。
第十九条都道府県知事は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの設置者がこの法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又は当該施設が第十七条第一項の基準に適合しなくなつたときは、その設置者に対して、その施設の設備若しくは運営の改善若しくはその事業の停止若しくは廃止を命じ、又は第十五条第四項の規定による認可を取り消すことができる。
都道府県知事は、前項の規定により、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームにつき、その事業の廃止を命じ、又は設置の認可を取り消す場合には、あらかじめ、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聞かなければならない。
(措置の受託義務)
第二十条老人居宅生活支援事業を行う者並びに老人デイサービスセンター及び老人短期入所施設の設置者は、第十条の四第一項の規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。
養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設置者は、第十一条の規定による入所の委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。
(処遇の質の評価等)
第二十条の二老人居宅生活支援事業を行う者及び老人福祉施設の設置者は、自らその行う処遇の質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に処遇を受ける者の立場に立つてこれを行うように努めなければならない。
(老人デイサービスセンター)
第二十条の二の二老人デイサービスセンターは、第十条の四第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による通所介護に係る居宅介護サービス費、認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護サービス費、介護予防通所介護に係る介護予防サービス費若しくは介護予防認知症対応型通所介護に係る地域密着型介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者(その者を現に養護する者を含む。)を通わせ、第五条の二第三項の厚生労働省令で定める便宜を供与することを目的とする施設とする。
(老人短期入所施設)
第二十条の三老人短期入所施設は、第十条の四第一項第三号の措置に係る者又は介護保険法の規定による短期入所生活介護に係る居宅介護サービス費若しくは介護予防短期入所生活介護に係る介護予防サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を短期間入所させ、養護することを目的とする施設とする。
(養護老人ホーム)
第二十条の四養護老人ホームは、第十一条第一項第一号の措置に係る者を入所させ、養護するとともに、その者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的とする施設とする。
(特別養護老人ホーム)
第二十条の五特別養護老人ホームは、第十一条第一項第二号の措置に係る者又は介護保険法の規定による地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る地域密着型介護サービス費若しくは介護福祉施設サービスに係る施設介護サービス費の支給に係る者その他の政令で定める者を入所させ、養護することを目的とする施設とする。
(軽費老人ホーム)
第二十条の六軽費老人ホームは、無料又は低額な料金で、老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設(第二十条の二の二から前条までに定める施設を除く。)とする。
(老人福祉センター)
第二十条の七老人福祉センターは、無料又は低額な料金で、老人に関する各種の相談に応ずるとともに、老人に対して、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与することを目的とする施設とする。
(老人介護支援センター)
第二十条の七の二老人介護支援センターは、地域の老人の福祉に関する各般の問題につき、老人、その者を現に養護する者、地域住民その他の者からの相談に応じ、必要な助言を行うとともに、主として居宅において介護を受ける老人又はその者を現に養護する者と市町村、老人居宅生活支援事業を行う者、老人福祉施設、医療施設、老人クラブその他老人の福祉を増進することを目的とする事業を行う者等との連絡調整その他の厚生労働省令で定める援助を総合的に行うことを目的とする施設とする。
老人介護支援センターの設置者(設置者が法人である場合にあつては、その役員)若しくはその職員又はこれらの職にあつた者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第三章の二 老人福祉計画
(市町村老人福祉計画)
第二十条の八市町村は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第四項の基本構想に即して、老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業(以下「老人福祉事業」という。)の供給体制の確保に関する計画(以下「市町村老人福祉計画」という。)を定めるものとする。
市町村老人福祉計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標
前号の老人福祉事業の量の確保のための方策
その他老人福祉事業の供給体制の確保に関し必要な事項
市町村は、前項第一号の目標(老人居宅生活支援事業、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設及び特別養護老人ホームに係るものに限る。)を定めるに当たつては、介護保険法第百十七条第二項第一号に規定する介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み(同法に規定する訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護及び介護福祉施設サービス並びに介護予防訪問介護、介護予防通所介護、介護予防短期入所生活介護、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護に係るものに限る。)を勘案しなければならない。
厚生労働大臣は、市町村が第二項第一号の目標(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター及び老人介護支援センターに係るものに限る。)を定めるに当たつて参酌すべき標準を定めるものとする。
市町村老人福祉計画は、当該市町村の区域における身体上又は精神上の障害があるために日常生活を営むのに支障がある老人の人数、その障害の状況、その養護の実態その他の事情を勘案して作成されなければならない。
市町村老人福祉計画は、介護保険法第百十七条第一項に規定する市町村介護保険事業計画と一体のものとして作成されなければならない。
市町村老人福祉計画は、社会福祉法第百七条に規定する市町村地域福祉計画その他の法律の規定による計画であつて老人の福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。
市町村は、市町村老人福祉計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県の意見を聴かなければならない。
市町村は、市町村老人福祉計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを都道府県知事に提出しなければならない。
(都道府県老人福祉計画)
第二十条の九都道府県は、市町村老人福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、老人福祉事業の供給体制の確保に関する計画(以下「都道府県老人福祉計画」という。)を定めるものとする。
都道府県老人福祉計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
介護保険法第百十八条第二項第一号の規定により当該都道府県が定める区域ごとの当該区域における養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標
老人福祉施設の整備及び老人福祉施設相互間の連携のために講ずる措置に関する事項
老人福祉事業に従事する者の確保又は資質の向上のために講ずる措置に関する事項
その他老人福祉事業の供給体制の確保に関し必要な事項
都道府県は、前項第一号の特別養護老人ホームの必要入所定員総数を定めるに当たつては、介護保険法第百十八条第二項第一号に規定する地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数及び介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数(同法に規定する介護老人福祉施設に係るものに限る。)を勘案しなければならない。
都道府県老人福祉計画は、介護保険法第百十八条第一項に規定する都道府県介護保険事業支援計画と一体のものとして作成されなければならない。
都道府県老人福祉計画は、社会福祉法第百八条に規定する都道府県地域福祉支援計画その他の法律の規定による計画であつて老人の福祉に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない。
都道府県は、都道府県老人福祉計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。
(都道府県知事の助言等)
第二十条の十都道府県知事は、市町村に対し、市町村老人福祉計画の作成上の技術的事項について必要な助言をすることができる。
厚生労働大臣は、都道府県に対し、都道府県老人福祉計画の作成の手法その他都道府県老人福祉計画の作成上重要な技術的事項について必要な助言をすることができる。
(援助)
第二十条の十一国及び地方公共団体は、市町村老人福祉計画又は都道府県老人福祉計画の達成に資する事業を行う者に対し、当該事業の円滑な実施のために必要な援助を与えるように努めなければならない。
第四章 費用
(費用の支弁)
第二十一条次に掲げる費用は、市町村の支弁とする。
第十条の四第一項第一号から第四号までの規定により市町村が行う措置に要する費用
一の二第十条の四第一項第五号の規定により市町村が行う措置に要する費用
第十一条第一項第一号及び第三号並びに同条第二項の規定により市町村が行う措置に要する費用
第十一条第一項第二号の規定により市町村が行う措置に要する費用
介護保険法による給付との調整)
第二十一条の二第十条の四第一項各号又は第十一条第一項第二号の措置に係る者が、介護保険法の規定により当該措置に相当する居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスに係る保険給付を受けることができる者であるときは、市町村は、その限度において、前条第一号、第一号の二又は第三号の規定による費用の支弁をすることを要しない。
第二十二条削除
第二十三条削除
(都道府県の補助)
第二十四条都道府県は、政令の定めるところにより、市町村が第二十一条第一号の規定により支弁する費用については、その四分の一以内(居住地を有しないか、又は明らかでない第五条の四第一項に規定する六十五歳以上の者についての措置に要する費用については、その二分の一以内)を補助することができる。
都道府県は、前項に規定するもののほか、市町村又は社会福祉法人に対し、老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。
(準用規定)
第二十五条社会福祉法第五十八条第二項から第四項までの規定は、前条の規定により補助金の交付を受け、又は国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第四号の規定若しくは同法第三条第一項第四号及び同条第二項の規定により普通財産の譲渡若しくは貸付けを受けた社会福祉法人に準用する。
(国の補助)
第二十六条国は、政令の定めるところにより、市町村が第二十一条第一号の規定により支弁する費用については、その二分の一以内を補助することができる。
国は、前項に規定するもののほか、都道府県又は市町村に対し、この法律に定める老人の福祉のための事業に要する費用の一部を補助することができる。
(遺留金品の処分)
第二十七条市町村は、第十一条第二項の規定により葬祭の措置を採る場合においては、その死者の遺留の金銭及び有価証券を当該措置に要する費用に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。
(費用の徴収)
第二十八条第十条の四第一項及び第十一条の規定による措置に要する費用については、これを支弁した市町村の長は、当該措置に係る者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)から、その負担能力に応じて、当該措置に要する費用の全部又は一部を徴収することができる。
前項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の市町村に嘱託することができる。
第四章の二 指定法人
(指定法人)
第二十八条の二厚生労働大臣は、老人健康保持事業を実施する者の活動を促進すること等により老人の心身の健康の保持を図ることを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
職員、業務の方法その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる知識及び能力並びに経理的基礎を有すると認められること。
前号に定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、老人健康保持事業の促進その他老人の心身の健康の保持に資すると認められること。
厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。
指定法人は、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第二十八条の三指定法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
老人健康保持事業に関する啓発普及を行うこと。
老人健康保持事業を実施すること。
老人健康保持事業を実施する者に対して、援助を行うこと。
老人健康保持事業に関する調査研究を行い、及び老人健康保持事業に従事する者の研修を行うこと。
次条第一項に規定する業務を行うこと。
前各号に掲げるもののほか、老人健康保持事業の促進を図るために必要な業務を行うこと。
(指定法人による助成業務の実施)
第二十八条の四独立行政法人福祉医療機構は、第二十八条の二第一項の規定による指定がされたときは、独立行政法人福祉医療機構法(平成十四年法律第百六十六号)第十二条第一項第七号の規定による助成の業務のうち、老人健康保持事業の振興上必要と認められる事業を行う者に係るもの(以下「助成業務」という。)の全部又は一部を指定法人に行わせるものとする。
前項の規定により指定法人が行う助成業務に係る助成に関する基準は、厚生労働省令で定める。
厚生労働大臣は、前項の厚生労働省令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
(業務規程の認可)
第二十八条の五指定法人は、助成業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
厚生労働大臣は、前項の認可をした業務規程が助成業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
業務規程に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。
(事業計画等)
第二十八条の六指定法人は、毎事業年度、厚生労働省令の定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
指定法人は、厚生労働省令の定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
(区分経理)
第二十八条の七指定法人は、助成業務を行う場合には、助成業務に係る経理とその他の経理とを区分して整理しなければならない。
(交付金)
第二十八条の八独立行政法人福祉医療機構は、予算の範囲内において、指定法人に対して、助成業務に必要な資金に充てるため、独立行政法人福祉医療機構法第二十三条第一項の基金の運用によつて得られた収益の一部を、交付金として交付することができる。
(厚生労働省令への委任)
第二十八条の九この章に定めるもののほか、指定法人が助成業務を行う場合における指定法人の財務及び会計に関し、必要な事項は、厚生労働省令で定める。
(解任命令)
第二十八条の十厚生労働大臣は、指定法人の役員が、この章の規定若しくは当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき、第二十八条の五第一項の認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき、又は第二十八条の三に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定法人に対して、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(役員及び職員の公務員たる地位)
第二十八条の十一助成業務に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(報告及び検査)
第二十八条の十二厚生労働大臣は、第二十八条の三に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、指定法人に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
第十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による質問又は立入検査について準用する。この場合において、これらの規定中「前二項」とあるのは「前項」と、「第一項及び第二項」とあるのは「第一項」と読み替えるものとする。
(監督命令)
第二十八条の十三厚生労働大臣は、この章の規定を施行するため必要な限度において、指定法人に対して、第二十八条の三に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第二十八条の十四厚生労働大臣は、指定法人が次の各号のいずれかに該当するときは、第二十八条の二第一項の規定による指定を取り消し、又は期間を定めて第二十八条の三に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
第二十八条の三に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
指定に関し不正な行為があつたとき。
この章の規定又は当該規定による命令若しくは処分に違反したとき。
第二十八条の五第一項の認可を受けた業務規程によらないで助成業務を行つたとき。
厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は第二十八条の三に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
第四章の三 有料老人ホーム
(届出等)
第二十九条有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。
施設の名称及び設置予定地
設置しようとする者の氏名及び住所又は名称及び所在地
条例、定款その他の基本約款
事業開始の予定年月日
施設の管理者の氏名及び住所
施設において供与される介護等の内容
その他厚生労働省令で定める事項
前項の規定による届出をした者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
第一項の規定による届出をした者は、その事業を廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の日の一月前までに、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。
有料老人ホームの設置者は、当該有料老人ホームの事業について、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を作成し、これを保存しなければならない。
有料老人ホームの設置者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該有料老人ホームに入居する者又は入居しようとする者に対して、当該有料老人ホームにおいて供与する介護等の内容その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報を開示しなければならない。
有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。
都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、有料老人ホームの設置者若しくは管理者若しくは設置者から介護等の供与を委託された者(以下「介護等受託者」という。)に対して、その運営の状況に関する事項その他必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは当該有料老人ホーム若しくは当該介護等受託者の事務所若しくは事業所に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
第十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による質問又は立入検査について準用する。
都道府県知事は、有料老人ホームの設置者が第四項から第六項までの規定に違反したと認めるとき、当該有料老人ホームに入居している者(以下「入居者」という。)の処遇に関し不当な行為をし、又はその運営に関し入居者の利益を害する行為をしたと認めるとき、その他入居者の保護のため必要があると認めるときは、当該設置者に対して、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。
10都道府県知事は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(有料老人ホーム協会)
第三十条その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いる一般社団法人は、有料老人ホームの入居者の保護を図るとともに、有料老人ホームの健全な発展に資することを目的とし、かつ、有料老人ホームの設置者を社員(以下この章において「会員」という。)とする旨の定款の定めがあるものに限り、設立することができる。
前項に規定する定款の定めは、これを変更することができない。
第一項に規定する一般社団法人(以下「協会」という。)は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、厚生労働大臣に届け出なければならない。
協会は、会員の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。
(名称の使用制限)
第三十一条協会でない者は、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いてはならない。
協会に加入していない者は、その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いてはならない。
(協会の業務)
第三十一条の二協会は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
有料老人ホームを運営するに当たり、この法律その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導、勧告その他の業務
会員の設置する有料老人ホームの運営に関し、契約内容の適正化その他入居者の保護を図り、及び入居者の立場に立つた処遇を行うため必要な指導、勧告その他の業務
会員の設置する有料老人ホームの設備及び運営に対する入居者等からの苦情の解決
有料老人ホームの職員の資質の向上のための研修
有料老人ホームに関する広報その他協会の目的を達成するため必要な業務
協会は、その会員の設置する有料老人ホームの入居者等から当該有料老人ホームの設備及び運営に関する苦情について解決の申出があつた場合において必要があると認めるときは、当該会員に対して、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。
会員は、協会から前項の規定による求めがあつたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。
(監督)
第三十一条の三協会の業務は、厚生労働大臣の監督に属する。
厚生労働大臣は、前条第一項に規定する業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、協会に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(厚生労働大臣に対する協力)
第三十一条の四厚生労働大臣は、この章の規定の円滑な実施を図るため、厚生労働省令の定めるところにより、当該規定に基づく届出、報告その他必要な事項について、協会に協力させることができる。
(立入検査等)
第三十一条の五厚生労働大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、協会に対して、その業務若しくは財産に関して報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは協会の事務所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
第十八条第三項及び第四項の規定は、前項の規定による質問又は立入検査について準用する。この場合において、同条第三項中「前二項」とあり、及び同条第四項中「第一項及び第二項」とあるのは、「第三十一条の五第一項」と読み替えるものとする。
第五章 雑則
(審判の請求)
第三十二条市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。
(町村の一部事務組合等)
第三十三条町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。
(大都市等の特例)
第三十四条この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用があるものとする。
(緊急時における厚生労働大臣の事務執行)
第三十四条の二第十八条第二項及び第十九条第一項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務(同項の規定による認可の取消しを除く。)又は第二十九条第七項及び第九項の規定により都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホーム又は有料老人ホームの入居者の保護のため緊急の必要があると厚生労働大臣が認める場合にあつては、厚生労働大臣又は都道府県知事が行うものとする。
前項の場合において、この法律の規定中都道府県知事に関する規定(当該事務に係るもの(第十九条第二項を除く。)に限る。)は、厚生労働大臣に関する規定として厚生労働大臣に適用があるものとする。
第一項の場合において、厚生労働大臣又は都道府県知事が当該事務を行うときは、相互に密接な連携の下に行うものとする。
(日本赤十字社)
第三十五条日本赤十字社は、この法律の適用については、社会福祉法人とみなす。
(調査の嘱託及び報告の請求)
第三十六条市町村は、福祉の措置に関し必要があると認めるときは、当該措置を受け、若しくは受けようとする老人又はその扶養義務者の資産又は収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、当該老人若しくはその扶養義務者、その雇主その他の関係人に報告を求めることができる。
(実施命令)
第三十七条この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。
第六章 罰則
第三十八条第二十条の七の二第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十九条第十八条の二第一項又は第二十九条第九項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第四十条次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十八条の十二第一項若しくは第二十九条第七項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第二十九条第一項から第三項までの規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
第三十一条第二項の規定に違反して、その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いたとき。
第三十一条の五第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の資料の提出をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第四十一条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第四十二条次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の過料に処する。
第三十条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第三十条第四項の規定に違反して、同項の会員の名簿を公衆の縦覧に供しない者
第三十一条の三第二項の命令に違反した者
第四十三条第三十一条第一項の規定に違反して、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いた者は、十万円以下の過料に処する。