人事訴訟規則(平成十五年最高裁判所規則第二十四号)
最終更新:平成二十四年最高裁判所規則第九号
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  • January 2, 2022
    • Last Version: Rules of the Supreme Court No. 9 of 2012
    • Translated Date: February 14, 2014
    • Dictionary Version: 14.0

人事訴訟規則
平成十五年十一月十二日最高裁判所規則第二十四号
目次
第一章 総則
第一節 通則(第一条)
第二節 裁判所
第一款 管轄(第二条─第五条)
第二款 参与員(第六条─第八条)
第三節 当事者(第九条・第十条)
第四節 訴訟手続(第十一条─第十五条)
第五節 補則(第十六条─第十八条)
第二章 婚姻関係訴訟の特例
第一節 附帯処分等(第十九条─第二十九条)
第二節 和解並びに請求の放棄及び認諾(第三十条・第三十一条)
第三節 履行の確保(第三十二条)
第三章 実親子関係訴訟の特例(第三十三条)
第四章 養子縁組関係訴訟の特例(第三十四条・第三十五条)
附 則
第一章 総則
第一節 通則
(趣旨)
第一条この規則は、人事訴訟に関する手続について、民事訴訟規則(平成八年最高裁判所規則第五号)の特例等を定めるものとする。
第二節 裁判所
第一款 管轄
(法第四条第二項の地の指定・法第四条)
第二条人事訴訟法(平成十五年法律第百九号。以下「法」という。)第四条(人事に関する訴えの管轄)第二項の最高裁判所規則で定める地は、東京都千代田区とする。
(自庁処理の申立ての方式・法第六条)
第三条法第六条(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)の申立ては、期日においてする場合を除き、書面でしなければならない。
前項の申立てをするときは、申立ての理由を明らかにしなければならない。
(自庁処理における取扱い・法第六条)
第四条法第六条(調停事件が係属していた家庭裁判所の自庁処理)の申立てがあったときは、家庭裁判所は、相手方の意見を聴いて決定をするものとする。
家庭裁判所は、職権により法第六条の規定による決定をするときは、当事者の意見を聴かなければならない。
(裁量移送における取扱い・法第七条等)
第五条法第七条(遅滞を避ける等のための移送)又は第八条(関連請求に係る訴訟の移送)第一項の申立てがあったときは、裁判所は、相手方の意見を聴いて決定をするものとする。
家庭裁判所は、職権により法第七条の規定による移送の決定をするときは、当事者の意見を聴くことができる。
第二款 参与員
(参与員の指定・法第九条)
第六条家庭裁判所は、人事訴訟に係る事件について参与員を指定するに当たっては、当該事件について家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第二百五十七条(調停前置主義)第一項の規定により申し立てられた調停に係る事件に家事調停委員として関与していない者を指定するように意を用いなければならない。
(参与員の除斥、忌避及び回避・法第十条)
第七条民事訴訟規則第十条から第十二条まで(除斥又は忌避の申立ての方式等、除斥又は忌避についての裁判官の意見陳述及び裁判官の回避)の規定は、参与員について準用する。
(参与員の発問)
第八条裁判長は、必要があると認めるときは、参与員が証人、当事者本人又は鑑定人に対し直接に問いを発することを許すことができる。
第三節 当事者
(訴訟代理人の選任の裁判の告知・法第十三条)
第九条法第十三条(人事訴訟における訴訟能力等)第二項の規定による訴訟代理人の選任の裁判は、当該訴訟代理人にも告知しなければならない。同条第三項の規定による訴訟代理人の選任の裁判についても、同様とする。
(利害関係人の訴訟参加の決定等の通知・法第十五条)
第十条法第十五条(利害関係人の訴訟参加)第一項の決定又は同条第五項の規定によるその取消しの決定は、当該人事訴訟の当事者双方に通知しなければならない。
第四節 訴訟手続
(訴状の記載事項)
第十一条人事に関する訴えを提起するに当たり、当該訴えに係る人事訴訟の目的と同一の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする請求に係る人事訴訟が既に係属しているときは、訴状には、民事訴訟規則第五十三条(訴状の記載事項)第一項及び第四項に規定する事項のほか、当該人事訴訟が既に係属する裁判所及び当該人事訴訟に係る事件の表示を記載しなければならない。
(関連請求の訴えの訴状の記載事項・法第十七条)
第十二条法第十七条(関連請求の併合等)第二項の規定により人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えを家庭裁判所に提起するときは、訴状には、民事訴訟規則第五十三条(訴状の記載事項)第一項及び第四項に規定する事項のほか、当該人事訴訟が当該家庭裁判所に既に係属する旨及び当該人事訴訟に係る事件の表示を記載しなければならない。
(訴状の添付書類)
第十三条人事に関する訴えの訴状には、当該訴えに係る身分関係の当事者の戸籍の謄本のほか、法第十五条(利害関係人の訴訟参加)第一項に規定する利害関係人の有無並びにその氏名及び住所又は居所を明らかにするために必要な他の戸籍の謄本その他の書類を添付しなければならない。
(進行協議期日における請求の放棄及び認諾・法第十九条)
第十四条人事訴訟における訴訟の目的については、民事訴訟規則第九十五条(進行協議期日)第二項(請求の放棄及び認諾に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
(当事者本人の勾引・法第二十一条)
第十五条法第二十一条(当事者本人の出頭命令等)第一項の規定により当事者本人の尋問の期日への出頭を命じられた当事者が正当な理由なく出頭しない場合には、民事訴訟規則第百十一条(勾引)の規定は、同規則第百二十七条(証人尋問の規定の準用)ただし書の規定にかかわらず、当該当事者の勾引について準用する。
第五節 補則
(利害関係人に対する訴訟係属の通知・法第二十八条)
第十六条法第二十八条(利害関係人に対する訴訟係属の通知)の規定による通知は、別表の上欄に掲げる訴えの区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める者で訴訟記録上氏名及び住所又は居所が判明しているものにするものとする。
(戸籍事務管掌者に対する判決確定の通知)
第十七条戸籍の届出又は訂正を必要とする事項について人事訴訟の判決が確定したときは、裁判所書記官は、遅滞なく、当該人事訴訟に係る身分関係の当事者の本籍地の戸籍事務を管掌する者に対し、その旨を通知しなければならない。
民事訴訟規則の適用関係・法第二十九条)
第十八条人事訴訟に関する手続についての民事訴訟規則の規定の適用については、同規則第百四条(証拠調べの再嘱託の通知)中「地方裁判所」とあるのは、「家庭裁判所」とする。
第二章 婚姻関係訴訟の特例
第一節 附帯処分等
(附帯処分の申立ての方式等・法第三十二条)
第十九条法第三十二条(附帯処分についての裁判等)第一項の申立ては、書面でしなければならない。
前項の書面には、申立ての趣旨及び理由を記載し、証拠となるべき文書の写しで重要なものを添付しなければならない。
標準報酬等の按分割合に関する処分の申立てをする場合における第一項の書面には、次の各号に掲げる処分の区分に応じ、当該各号に定める文書を添付しなければならない。
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十八条の二第二項の規定による処分同法第七十八条の四第一項の情報の内容が記載された文書であって、同項の規定により提供されたもの
国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第九十三条の五第二項の規定による処分同法第九十三条の七第一項の情報の内容が記載された文書であって、同項の規定により提供されたもの
地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)第百五条第二項の規定による処分同法第百七条第一項の情報の内容が記載された文書であって、同項の規定により提供されたもの
私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)第二十五条において準用する国家公務員共済組合法第九十三条の五第二項の規定による処分私立学校教職員共済法第二十五条において準用する国家公務員共済組合法第九十三条の七第一項の情報の内容が記載された文書であって、私立学校教職員共済法第二十五条において準用する国家公務員共済組合法第九十三条の七第一項の規定により提供されたもの
第一項の書面は、相手方に送達しなければならない。
(事実の調査・法第三十三条等)
第二十条婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟において、事実の調査は、審理の経過、証拠調べの結果その他の事情を考慮して必要があると認められるときは、医学、心理学、社会学、経済学その他の専門的知識を活用して行うように努めなければならない。
裁判所は、前項の場合において、家庭裁判所調査官に同項の専門的知識を活用した事実の調査をさせるときは、その事実の調査を要する事項を特定するものとする。
(事実の調査における調査の嘱託等・法第三十三条)
第二十一条事実の調査においては、裁判所は、必要な調査を官庁、公署その他適当であると認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の雇主その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができる。
裁判所がする前項の嘱託の手続は、裁判所書記官がする。
(審問期日の通知・法第三十三条)
第二十二条法第三十三条(事実の調査)第四項の審問期日は、当事者に通知しなければならない。ただし、その通知をすることにより事実の調査に支障を生ずるおそれがあると認められるときは、この限りでない。
(事実の調査の要旨の記録化・法第三十三条等)
第二十三条事実の調査については、裁判所書記官は、その要旨を記録上明らかにしておかなければならない。
(事実の調査の通知・法第三十三条等)
第二十四条裁判所は、事実の調査をしたときは、特に必要がないと認める場合を除き、その旨を当事者に通知しなければならない。
(家庭裁判所調査官の除斥及び回避・法第三十四条の二)
第二十四条の二民事訴訟規則第十条から第十二条まで(除斥又は忌避の申立ての方式等、除斥又は忌避についての裁判官の意見陳述及び裁判官の回避)の規定(忌避に関する部分を除く。)は、家庭裁判所調査官について準用する。
(事実調査部分の閲覧等の許可・法第三十五条)
第二十五条法第三十五条(事実調査部分の閲覧等)第二項又は第三項の規定により事実調査部分の閲覧等を許可する決定においては、当該事実調査部分中閲覧等を許可する部分を特定しなければならない。
(法第三十五条第四項又は第六項の即時抗告に係る抗告状の記載事項等・法第三十五条)
第二十六条法第三十五条(事実調査部分の閲覧等)第四項又は第六項の即時抗告をするときは、抗告状には、原裁判の取消し又は変更を求める事由を具体的に記載しなければならない。
法第三十五条第四項又は第六項の即時抗告については、民事訴訟規則第二百七条(原裁判の取消し事由等を記載した書面)の規定は、適用しない。
(法第三十五条第四項の即時抗告に係る記録の送付・法第三十五条)
第二十七条法第三十五条(事実調査部分の閲覧等)第四項の即時抗告があった場合において、原裁判所が人事訴訟に係る事件の記録を送付する必要がないと認めたときは、民事訴訟規則第二百五条(控訴又は上告の規定の準用)において準用する同規則第百七十四条(控訴提起による記録の送付)の規定にかかわらず、原裁判所の裁判所書記官は、抗告事件の記録のみを抗告裁判所の裁判所書記官に送付すれば足りる。
前項の規定により抗告事件の記録が送付された場合において、抗告裁判所が同項の人事訴訟に係る事件の記録が必要であると認めたときは、抗告裁判所の裁判所書記官は、速やかに、その送付を原裁判所の裁判所書記官に求めなければならない。
(法第三十五条第六項の即時抗告に係る記録の送付・法第三十五条)
第二十八条法第三十五条(事実調査部分の閲覧等)第六項の即時抗告があったときは、前条(法第三十五条第四項の即時抗告に係る記録の送付)の規定にかかわらず、原裁判所の裁判所書記官は、抗告事件の記録のみを抗告裁判所の裁判所書記官に送付するものとする。
前項の場合には、同項の記録に、抗告事件についての原裁判所の意見を記載した書面及び抗告事件の審理に参考となる資料を添付しなければならない。
(協議上の離婚による婚姻の終了の場合の提出書類等・法第三十六条)
第二十九条婚姻の取消し又は離婚の訴えに係る訴訟の係属中に当該訴えに係る婚姻の当事者が協議上の離婚をした場合において、当該訴えの取下げをしようとする者は、既に附帯処分の申立てがされており、かつ、当該申立ての取下げがされないときは、当該訴えの取下げの書面とともに、当該訴えに係る婚姻の当事者が協議上の離婚をしたことを証する戸籍の謄本その他の書類を受訴裁判所に提出しなければならない。
前項の場合には、受訴裁判所は、当事者双方から、同項の附帯処分に係る事項がその協議上の離婚に際して定められているかどうかを聴かなければならない。
第二節 和解並びに請求の放棄及び認諾
(進行協議期日における請求の放棄及び認諾・法第三十七条)
第三十条離婚の訴えに係る訴訟における請求の放棄及び認諾については、第十四条(進行協議期日における請求の放棄及び認諾)の規定にかかわらず、民事訴訟規則第九十五条(進行協議期日)第二項の規定を適用する。ただし、請求の認諾については、法第三十七条(和解並びに請求の放棄及び認諾)第一項ただし書に規定する場合に限る。
(戸籍事務管掌者に対する和解及び請求の認諾の通知・法第三十七条)
第三十一条第十七条(戸籍事務管掌者に対する判決確定の通知)の規定は、離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。)又は請求の認諾が調書に記載された場合について準用する。
第三節 履行の確保
(履行の確保の手続・法第三十九条)
第三十二条家庭裁判所は、法第三十九条(履行命令)第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により義務の履行を命ずる場合には、同時に、義務者に対しその違反に対する法律上の制裁を告知しなければならない。
第三章 実親子関係訴訟の特例
(訴訟手続の受継の申立書の添付書類・法第四十一条等)
第三十三条法第四十一条(嫡出否認の訴えの当事者等)第二項又は第四十二条(認知の訴えの当事者等)第三項の規定による訴訟手続の受継の申立てをするときは、申立書には、訴訟手続を受け継ぐ者が法第四十一条第二項又は第四十二条第三項の規定により訴訟手続を受け継ぐことができる者であることを明らかにするために必要な戸籍の謄本その他の書類を添付しなければならない。
第四章 養子縁組関係訴訟の特例
(進行協議期日における請求の放棄及び認諾・法第四十四条)
第三十四条第三十条(進行協議期日における請求の放棄及び認諾)本文の規定は、離縁の訴えに係る訴訟における請求の放棄及び認諾について準用する。
(戸籍事務管掌者に対する和解及び請求の認諾の通知・法第四十四条)
第三十五条第十七条(戸籍事務管掌者に対する判決確定の通知)の規定は、離縁の訴えに係る訴訟における和解(これにより離縁がされるものに限る。)又は請求の認諾が調書に記載された場合について準用する。
別表 (第十六条関係)
上 欄
下 欄
婚姻の無効の訴え
夫婦の双方又は一方が死亡した後に訴えの提起があった場合における婚姻の無効により嫡出でない子となる者又はその代襲者。ただし、当該夫又は妻に嫡出子又はその代襲者がある場合に限る。
協議上の離婚の無効の訴え
夫婦の双方又は一方が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人。ただし、その相続人が、再婚をした当該夫又は妻の配偶者とともに相続した者であるときは、この限りでない。
協議上の離婚の取消しの訴え
夫又は妻が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人。ただし、その相続人が、再婚をした当該夫又は妻の配偶者とともに相続した者であるときは、この限りでない。
婚姻関係の存在の確認の訴え
二の項に定める者
婚姻関係の不存在の確認の訴え
夫婦の双方又は一方が死亡した後に訴えの提起があった場合における婚姻関係の不存在により嫡出でない子となる者又はその代襲者。ただし、当該夫又は妻に嫡出子又はその代襲者がある場合に限る。
認知の訴え
父が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(父の妻で子又はその代襲者とともに相続したものを除く。)
認知の無効の訴え
子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で認知をした者の相続人であるもの又は相続人となるべきもの
認知の取消しの訴え
七の項に定める者
父を定めることを目的とする訴え
配偶者又は前配偶者が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(当該配偶者又は前配偶者の妻で子又はその代襲者とともに相続したものを除く。)
実親子関係の存在の確認の訴え
子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(子の直系卑属及び子の配偶者で直系卑属又は直系尊属とともに相続したものを除く。)又は父若しくは母が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(当該父又は母の配偶者で直系卑属とともに相続したものを除く。)
十一
実親子関係の不存在の確認の訴え
子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で父又は母の相続人であるもの又は相続人となるべきもの
十二
養子縁組の無効の訴え
養子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で養親の相続人であるもの又は相続人となるべきもの
十三
養子縁組の取消しの訴え
養子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその代襲者で養親の相続人となるべきもの
十四
協議上の離縁の無効の訴え
養子が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(養子の直系卑属及び養子の配偶者で直系卑属又は直系尊属とともに相続したものを除く。)又は養親が死亡した後に訴えの提起があった場合におけるその相続人(当該養親の配偶者で直系卑属とともに相続したものを除く。)
十五
協議上の離縁の取消しの訴え
十四の項に定める者
十六
養親子関係の存在の確認の訴え
十四の項に定める者
十七
養親子関係の不存在の確認の訴え
十二の項に定める者