弁理士法(平成十二年法律第四十九号)
最終更新:令和三年法律第四十二号
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弁理士法
平成十二年四月二十六日法律第四十九号
目次
第一章 総則(第一条―第八条)
第二章 弁理士試験等(第九条―第十六条)
第二章の二 実務修習(第十六条の二―第十六条の十五)
第三章 登録(第十七条―第二十八条)
第四章 弁理士の義務(第二十九条―第三十一条の三)
第五章 弁理士の責任(第三十二条―第三十六条)
第六章 弁理士法人(第三十七条―第五十五条)
第七章 日本弁理士会(第五十六条―第七十四条)
第八章 雑則(第七十五条―第七十七条の二)
第九章 罰則(第七十八条―第八十五条)
附 則
第一章 総則
(弁理士の使命)
第一条弁理士は、知的財産(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する知的財産をいう。以下この条において同じ。)に関する専門家として、知的財産権(同条第二項に規定する知的財産権をいう。)の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。
(定義)
第二条この法律で「国際出願」とは、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号)第二条に規定する国際出願をいう。
この法律で「意匠に係る国際登録出願」とは、意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第六十条の三第二項に規定する国際登録出願をいう。
この法律で「商標に係る国際登録出願」とは、商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第六十八条の二第一項に規定する国際登録出願をいう。
この法律で「回路配置」とは、半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和六十年法律第四十三号)第二条第二項に規定する回路配置をいう。
この法律で「特定不正競争」とは、不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第一項に規定する不正競争であって、同項第一号から第十六号まで及び第十九号から第二十二号までに掲げるもの(同項第四号から第九号までに掲げるものにあっては技術上の秘密(同条第六項に規定する営業秘密のうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)に関するものに限り、同条第一項第十一号から第十六号までに掲げるものにあっては技術上のデータ(同条第七項に規定する限定提供データのうち、技術上の情報であるものをいう。以下同じ。)に関するものに限り、同条第一項第二十号に掲げるものにあっては商標に関するものに限り、同項第二十一号に掲げるものにあっては特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利又は技術上の秘密若しくは技術上のデータについての虚偽の事実に関するものに限る。)をいう。
この法律で「特定侵害訴訟」とは、特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利の侵害又は特定不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟をいう。
この法律で「弁理士法人」とは、第四条第一項の業務を行うことを目的として、この法律の定めるところにより、弁理士が設立した法人をいう。
(職責)
第三条弁理士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。
(業務)
第四条弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定による審査請求又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行うことを業とする。
弁理士は、前項に規定する業務のほか、他人の求めに応じ、次に掲げる事務を行うことを業とすることができる。
関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条の三第一項及び第六十九条の十二第一項に規定する認定手続に関する税関長に対する手続並びに同法第六十九条の四第一項及び第六十九条の十三第一項の規定による申立て並びに当該申立てをした者及び当該申立てに係る貨物を輸出し、又は輸入しようとする者が行う当該申立てに関する税関長又は財務大臣に対する手続についての代理
特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは特定不正競争に関する事件又は著作物(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第一号に規定する著作物をいう。以下同じ。)に関する権利に関する事件の裁判外紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成十六年法律第百五十一号)第一条に規定する裁判外紛争解決手続をいう。以下この号において同じ。)であって、これらの事件の裁判外紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として経済産業大臣が指定するものが行うものについての代理
前二号に掲げる事務についての相談
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第百五条の二の十一第一項及び第二項(同法第六十五条第六項及び実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第三十条において準用する場合を含む。)に規定する意見を記載した書面を提出しようとする者からの当該意見の内容(特許法及び実用新案法の適用に関するものに限る。)に関する相談
弁理士は、前二項に規定する業務のほか、弁理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、次に掲げる事務を行うことを業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
特許、実用新案、意匠、商標、回路配置若しくは著作物に関する権利若しくは技術上の秘密若しくは技術上のデータの売買契約、通常実施権の許諾に関する契約その他の契約の締結の代理若しくは媒介を行い、又はこれらに関する相談に応ずること。
外国の行政官庁又はこれに準ずる機関に対する特許、実用新案、意匠、商標、植物の新品種又は地理的表示(ある商品に関し、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が特定の場所、地域又は国を原産地とするものであることを特定する表示をいう。次号において同じ。)に関する権利に関する手続(日本国内に住所又は居所(法人にあっては、営業所)を有する者が行うものに限る。)に関する資料の作成その他の事務を行うこと。
発明、考案、意匠若しくは商標(これらに関する権利に関する手続であって既に特許庁に係属しているものに係るものを除く。)、回路配置(既に経済産業大臣に対して提出された回路配置利用権の設定登録の申請に係るものを除く。)、植物の新品種、事業活動に有用な技術上の情報(技術上の秘密及び技術上のデータを除く。)又は地理的表示の保護に関する相談に応ずること。
特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利若しくは技術上の秘密若しくは技術上のデータの利用の機会の拡大に資する日本産業規格その他の規格の案の作成に関与し、又はこれに関する相談に応ずること。
第五条弁理士は、特許、実用新案、意匠若しくは商標、国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願、回路配置又は特定不正競争に関する事項について、裁判所において、補佐人として、当事者又は訴訟代理人とともに出頭し、陳述又は尋問をすることができる。
前項の陳述及び尋問は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。
第六条弁理士は、特許法第百七十八条第一項、実用新案法第四十七条第一項、意匠法第五十九条第一項又は商標法第六十三条第一項に規定する訴訟に関して訴訟代理人となることができる。
第六条の二弁理士は、第十五条の二第一項に規定する特定侵害訴訟代理業務試験に合格し、かつ、第二十七条の三第一項の規定によりその旨の付記を受けたときは、特定侵害訴訟に関して、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、その訴訟代理人となることができる。
前項の規定により訴訟代理人となった弁理士が期日に出頭するときは、弁護士とともに出頭しなければならない。
前項の規定にかかわらず、弁理士は、裁判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができる。
(資格)
第七条次の各号のいずれかに該当する者であって、第十六条の二第一項の実務修習を修了したものは、弁理士となる資格を有する。
弁理士試験に合格した者
弁護士となる資格を有する者
特許庁において審判官又は審査官として審判又は審査の事務に従事した期間が通算して七年以上になる者
(欠格事由)
第八条次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、弁理士となる資格を有しない。
禁錮以上の刑に処せられた者
前号に該当する者を除くほか、第七十八条から第八十一条まで若しくは第八十一条の三の罪、特許法第百九十六条から第百九十八条まで若しくは第二百条の罪、実用新案法第五十六条から第五十八条まで若しくは第六十条の罪、意匠法第六十九条から第七十一条まで若しくは第七十三条の罪又は商標法第七十八条から第八十条まで若しくは同法附則第二十八条の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
前二号に該当する者を除くほか、関税法第百八条の四第二項(同法第六十九条の二第一項第三号及び第四号に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第三項(同法第百八条の四第二項に係る部分に限る。)若しくは第五項(同法第六十九条の二第一項第三号及び第四号に係る部分に限る。)、第百九条第二項(同法第六十九条の十一第一項第九号及び第十号に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第三項(同法第百九条第二項に係る部分に限る。)若しくは第五項(同法第六十九条の十一第一項第九号及び第十号に係る部分に限る。)若しくは第百十二条第一項(同法第百八条の四第二項及び第百九条第二項に係る部分に限る。)の罪、著作権法第百十九条から第百二十二条までの罪、半導体集積回路の回路配置に関する法律第五十一条第一項若しくは第五十二条の罪、不正競争防止法第二十一条第一項、第二項第一号から第五号まで若しくは第七号(同法第十八条第一項に係る部分を除く。)、第三項若しくは第四項の罪、種苗法(平成十年法律第八十三号)第六十七条から第六十九条まで若しくは第七十一条の罪又は特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第八十四号)第三十九条若しくは第四十条の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
公務員で懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
第二十三条第一項の規定により登録の取消しの処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
第三十二条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)若しくは外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)、公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)又は税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名、公認会計士の登録の抹消又は税理士の業務の禁止の処分を受けた者でこれらの処分の日から三年を経過しないもの
第三十二条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間中にその登録が抹消され、当該期間を経過しない者
未成年者
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
第二章 弁理士試験等
(試験の目的及び方法)
第九条弁理士試験は、弁理士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することをもってその目的とし、次条に定めるところによって、短答式(択一式を含む。以下同じ。)及び論文式による筆記並びに口述の方法により行う。
(試験の内容)
第十条短答式による試験は、次に掲げる科目について行う。
特許、実用新案、意匠及び商標(以下この条並びに次条第四号及び第五号において「工業所有権」という。)に関する法令
工業所有権に関する条約
前二号に掲げるもののほか、弁理士の業務を行うのに必要な法令であって、経済産業省令で定めるもの
論文式による試験は、短答式による試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。
工業所有権に関する法令
経済産業省令で定める技術又は法律に関する科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目
口述試験は、筆記試験に合格した者につき、工業所有権に関する法令について行う。
(試験の免除)
第十一条次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、それぞれ当該各号に掲げる試験を免除する。
短答式による試験に合格した者当該短答式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに行う短答式による試験
論文式による試験において、前条第二項第一号に掲げる科目について審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会」という。)が相当と認める成績を得た者当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに当該科目について行う論文式による試験
論文式による試験において、前条第二項第二号に掲げる科目について審議会が相当と認める成績を得た者その後に当該科目について行う論文式による試験
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において経済産業省令で定める工業所有権に関する科目の単位を修得したもの当該課程を修了した日から起算して二年を経過する日までに前条第一項第一号及び第二号に掲げる科目について行う短答式による試験
特許庁において審判又は審査の事務に従事した期間が通算して五年以上になる者工業所有権に関する法令及び条約について行う試験
前条第二項第二号の受験者が選択する科目について筆記試験に合格した者と同等以上の学識を有する者として経済産業省令で定める者当該科目について行う論文式による試験
(試験の執行)
第十二条弁理士試験は、審議会が行う。
弁理士試験は、毎年一回以上、これを行う。
(合格証書)
第十三条弁理士試験に合格した者には、当該試験に合格したことを証する証書を授与する。
(合格の取消し等)
第十四条審議会は、不正の手段によって弁理士試験を受け、又は受けようとした者に対しては、合格の決定を取り消し、又はその試験を受けることを禁止することができる。
審議会は、前項の規定による処分を受けた者に対し、情状により三年以内の期間を定めて弁理士試験を受けることができないものとすることができる。
(受験手数料)
第十五条弁理士試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
前項の規定により納付した受験手数料は、弁理士試験を受けなかった場合においても返還しない。
(特定侵害訴訟代理業務試験)
第十五条の二特定侵害訴訟代理業務試験は、特定侵害訴訟に関する訴訟代理人となるのに必要な学識及び実務能力に関する研修であって経済産業省令で定めるものを修了した弁理士に対し、当該学識及び実務能力を有するかどうかを判定するため、論文式による筆記の方法により行う。
第十二条から前条までの規定は、特定侵害訴訟代理業務試験について準用する。
(試験の細目)
第十六条この法律に定めるもののほか、弁理士試験及び特定侵害訴訟代理業務試験に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。
第二章の二 実務修習
(実務修習)
第十六条の二実務修習は、第七条各号に掲げる者に対して、弁理士となるのに必要な技能及び高等の専門的応用能力を修得させるため、経済産業大臣が行う。
実務修習は、次に掲げるところにより、行うものとする。
毎年一回以上行うこと。
弁理士の業務に関する法令及び実務について行うこと。
実務修習の講師及び指導者は、弁理士であって、その実務に通算して七年以上従事した経験を有するものであること。
(指定修習機関の指定)
第十六条の三経済産業大臣は、その指定する者(以下「指定修習機関」という。)に、講義及び演習の実施その他の実務修習の実施に関する事務(経済産業省令で定めるものを除く。以下「実務修習事務」という。)を行わせることができる。
指定修習機関の指定は、経済産業省令で定めるところにより、実務修習事務を行おうとする者の申請により行う。
経済産業大臣は、指定修習機関の指定をしたときは、実務修習事務を行わないものとする。
経済産業大臣は、第二項の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、指定修習機関の指定をしてはならない。
職員、設備、実務修習事務の実施の方法その他の事項についての実務修習事務の実施に関する計画が実務修習事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
前号の実務修習事務の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有する法人であること。
実務修習事務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって実務修習事務が不公正になるおそれがないこと。
その指定をすることによって実務修習事務の適正かつ確実な実施を阻害することとならないこと。
経済産業大臣は、第二項の申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、指定修習機関の指定をしてはならない。
第十六条の十二第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者であること。
その役員のうちに、この法律に規定する罪を犯し、刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者があること。
(指定の公示等)
第十六条の四経済産業大臣は、指定修習機関の指定をしたときは、指定修習機関の名称及び住所、実務修習事務を行う事務所の所在地並びに実務修習事務の開始の日を公示しなければならない。
指定修習機関は、その名称若しくは住所又は実務修習事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
経済産業大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(秘密保持義務等)
第十六条の五指定修習機関の役員若しくは職員(実務修習の講師及び指導者を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあった者は、実務修習事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
実務修習事務に従事する指定修習機関の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(修習事務規程)
第十六条の六指定修習機関は、実務修習事務の開始前に、実務修習事務の実施に関する規程(以下「修習事務規程」という。)を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
修習事務規程で定めるべき事項は、経済産業省令で定める。
経済産業大臣は、第一項の認可をした修習事務規程が実務修習事務の適正かつ確実な実施をする上で不適当なものとなったと認めるときは、指定修習機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
第一項の認可の基準については、経済産業省令で定める。
(事業計画等)
第十六条の七指定修習機関は、毎事業年度、事業計画書及び収支予算書を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、経済産業大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
指定修習機関は、毎事業年度、事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に経済産業大臣に提出しなければならない。
(帳簿の備置き等)
第十六条の八指定修習機関は、経済産業省令で定めるところにより、実務修習事務に関する事項で経済産業省令で定めるものを記載した帳簿を備え置き、これを保存しなければならない。
(監督命令)
第十六条の九経済産業大臣は、実務修習事務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定修習機関に対し、実務修習事務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び立入検査)
第十六条の十経済産業大臣は、実務修習事務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定修習機関に対し、実務修習事務の状況に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は当該職員に指定修習機関の事務所に立ち入り、実務修習事務の状況若しくは帳簿その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(実務修習事務の休廃止)
第十六条の十一指定修習機関は、経済産業大臣の許可を受けなければ、実務修習事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
経済産業大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(指定の取消し等)
第十六条の十二経済産業大臣は、指定修習機関が第十六条の三第五項第二号に該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
経済産業大臣は、指定修習機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて実務修習事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
第十六条の三第四項第一号から第三号までのいずれかに適合しなくなったと認められるとき。
第十六条の四第二項、第十六条の六第一項、第十六条の七、第十六条の八又は前条第一項の規定に違反したとき。
第十六条の六第一項の規定により認可を受けた修習事務規程によらないで実務修習事務を行ったとき。
第十六条の六第三項又は第十六条の九の規定による命令に違反したとき。
偽りその他不正の手段により指定を受けたとき。
経済産業大臣は、第一項若しくは前項の規定により指定を取り消し、又は同項の規定により実務修習事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
(経済産業大臣による実務修習の実施)
第十六条の十三経済産業大臣は、指定修習機関が第十六条の十一第一項の規定により実務修習事務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第二項の規定により指定修習機関に対し実務修習事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定修習機関が天災その他の事由により実務修習事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、第十六条の三第三項の規定にかかわらず、実務修習事務の全部又は一部を自ら行うものとする。
経済産業大臣は、前項の規定により実務修習事務を行うこととし、又は同項の規定により行っている実務修習事務を行わないこととするときは、あらかじめその旨を公示しなければならない。
経済産業大臣が、第一項の規定により実務修習事務を行うこととし、第十六条の十一第一項の規定により実務修習事務の廃止を許可し、又は前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合における実務修習事務の引継ぎその他の必要な事項は、経済産業省令で定める。
(手数料)
第十六条の十四実務修習を受けようとする者は、次項に規定する場合を除き、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
指定修習機関が実務修習事務を行う場合において、実務修習を受けようとする者は、政令で定めるところにより指定修習機関が経済産業大臣の認可を受けて定める額の手数料を当該指定修習機関に納付しなければならない。
前項の規定により指定修習機関に納付された手数料は、当該指定修習機関の収入とする。
(実務修習の細目)
第十六条の十五この法律に定めるもののほか、実務修習に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。
第三章 登録
(登録)
第十七条弁理士となる資格を有する者が、弁理士となるには、日本弁理士会に備える弁理士登録簿に、氏名、生年月日、事務所の所在地その他経済産業省令で定める事項の登録を受けなければならない。
弁理士登録簿の登録は、日本弁理士会が行う。
(登録の申請)
第十八条前条第一項の登録を受けようとする者は、日本弁理士会に登録申請書を提出しなければならない。
前項の登録申請書には、氏名、生年月日、事務所の所在地その他経済産業省令で定める事項を記載し、弁理士となる資格を有することを証する書類を添付しなければならない。
(登録の拒否)
第十九条日本弁理士会は、前条第一項の規定による登録の申請をした者が弁理士となる資格を有せず、又は次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、その登録を拒否しなければならない。この場合において、当該申請者が次の各号のいずれかに該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、第七十条に規定する登録審査会の議決に基づいてしなければならない。
心身の故障により弁理士の業務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるとき。
弁理士の信用を害するおそれがあるとき。
日本弁理士会は、当該申請者が前項各号に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない。
(登録に関する通知)
第二十条日本弁理士会は、第十八条第一項の規定による登録の申請を受けた場合において、登録をしたとき、又は登録を拒否したときは、その旨を当該申請者に書面により通知しなければならない。
(登録を拒否された場合の行政不服審査法の規定による審査請求)
第二十一条第十九条第一項の規定により登録を拒否された者は、当該処分に不服があるときは、経済産業大臣に対して行政不服審査法の規定による審査請求をすることができる。
第十八条第一項の規定による登録の申請をした者は、その申請の日から三月を経過しても当該申請に対して何らの処分がされないときは、当該登録を拒否されたものとして、経済産業大臣に対して前項の審査請求をすることができる。
前二項の場合において、経済産業大臣は、行政不服審査法第二十五条第二項及び第三項並びに第四十六条第二項の規定の適用については、日本弁理士会の上級行政庁とみなす。
(登録事項の変更の届出)
第二十二条弁理士は、弁理士登録簿に登録を受けた事項に変更が生じたときは、遅滞なく、日本弁理士会にその旨を届け出なければならない。
(登録の取消し)
第二十三条日本弁理士会は、弁理士の登録を受けた者が、偽りその他不正の手段により当該登録を受けたことが判明したときは、当該登録を取り消さなければならない。
日本弁理士会は、前項の規定により登録を取り消したときは、その旨を当該処分を受ける者に書面により通知しなければならない。
第十九条第一項後段並びに第二十一条第一項及び第三項の規定は、第一項の登録の取消しについて準用する。この場合において、同条第三項中「第四十六条第二項」とあるのは、「第四十六条第一項」と読み替えるものとする。
(登録の抹消)
第二十四条弁理士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本弁理士会は、その登録を抹消しなければならない。
その業務を廃止したとき。
死亡したとき。
第八条各号(第五号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
前条第一項の規定による登録の取消しの処分を受けたとき。
第六十一条の規定による退会の処分を受けたとき。
弁理士が前項第一号から第三号までの規定のいずれかに該当することとなったときは、その者又はその法定代理人若しくは相続人は、遅滞なく、日本弁理士会にその旨を届け出なければならない。
日本弁理士会は、第一項第一号、第三号又は第五号の規定により登録を抹消したときは、その旨を当該弁理士に書面により通知しなければならない。
第二十五条弁理士が心身の故障により弁理士の業務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるときは、日本弁理士会は、その登録を抹消することができる。
第十九条第一項後段及び前条第三項の規定は、前項の規定による登録の抹消について準用する。
(登録拒否に関する規定の準用)
第二十六条第二十一条第一項及び第三項の規定は、第二十四条第一項第一号、第三号若しくは第五号又は前条第一項の規定による登録の抹消について準用する。この場合において、第二十一条第三項中「第四十六条第二項」とあるのは、「第四十六条第一項」と読み替えるものとする。
(登録及び登録の抹消の公告)
第二十七条日本弁理士会は、弁理士の登録をしたとき、及びその登録の抹消をしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもって公告しなければならない。
(特定侵害訴訟代理業務の付記の申請)
第二十七条の二弁理士は、その登録に第十五条の二第一項に規定する特定侵害訴訟代理業務試験に合格した旨の付記(以下「特定侵害訴訟代理業務の付記」という。)を受けようとするときは、日本弁理士会に付記申請書を提出しなければならない。
前項の付記申請書には、氏名その他経済産業省令で定める事項を記載し、特定侵害訴訟代理業務試験に合格したことを証する証書を添付しなければならない。
(特定侵害訴訟代理業務の付記)
第二十七条の三日本弁理士会は、前条の規定による申請を受けたときは、速やかに、当該弁理士の登録に特定侵害訴訟代理業務の付記をしなければならない。
第二十条の規定は、前項の規定による付記をした場合について準用する。
(特定侵害訴訟代理業務の付記の抹消)
第二十七条の四日本弁理士会は、特定侵害訴訟代理業務の付記を受けた者が、偽りその他不正の手段により当該付記を受けたことが判明したときは、当該付記を抹消しなければならない。
第二十三条第二項の規定は、前項の規定による付記の抹消について準用する。
(特定侵害訴訟代理業務の付記等の公告)
第二十七条の五第二十七条の規定は、特定侵害訴訟代理業務の付記及びその付記の抹消について準用する。
(登録の細目)
第二十八条この法律に定めるもののほか、弁理士の登録に関して必要な事項は、経済産業省令で定める。
第四章 弁理士の義務
(信用失墜行為の禁止)
第二十九条弁理士は、弁理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第三十条弁理士又は弁理士であった者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(業務を行い得ない事件)
第三十一条弁理士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行ってはならない。ただし、第三号に該当する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
公務員として職務上取り扱った事件
仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件
社員又は使用人である弁理士として弁理士法人の業務に従事していた期間内に、その弁理士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であって、自らこれに関与したもの
社員又は使用人である弁理士として弁理士法人の業務に従事していた期間内に、その弁理士法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであって、自らこれに関与したもの
(研修)
第三十一条の二弁理士は、経済産業省令で定めるところにより、日本弁理士会が行う資質の向上を図るための研修を受けなければならない。
(非弁理士に対する名義貸しの禁止)
第三十一条の三弁理士は、第七十五条又は第七十六条の規定に違反する者に自己の名義を利用させてはならない。
第五章 弁理士の責任
(懲戒の種類)
第三十二条弁理士がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき、又は弁理士たるにふさわしくない重大な非行があったときは、経済産業大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
戒告
二年以内の業務の全部又は一部の停止
業務の禁止
(懲戒の手続)
第三十三条何人も、弁理士に前条に該当する事実があると思料するときは、経済産業大臣に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
前項に規定する報告があったときは、経済産業大臣は、事件について必要な調査をしなければならない。
経済産業大臣は、弁理士に前条に該当する事実があると思料するときは、職権をもって、必要な調査をすることができる。
経済産業大臣は、前条の規定により戒告又は二年以内の業務の停止の処分をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
前条の規定による懲戒の処分は、聴聞を行った後、相当な証拠により同条に該当する事実があると認めた場合において、審議会の意見を聴いて行う。
(調査のための権限)
第三十四条経済産業大臣は、前条第二項(第六十九条第二項において準用する場合を含む。)又は第三項の規定により事件について必要な調査をするため、当該弁理士に対し、その業務に関し必要な報告を命じ、又は帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができる。
(登録抹消の制限)
第三十五条日本弁理士会は、弁理士が懲戒の手続に付された場合においては、その手続が結了するまでは、第二十四条第一項第一号若しくは第五号又は第二十五条第一項の規定による当該弁理士の登録の抹消をすることができない。
(懲戒処分の公告)
第三十六条経済産業大臣は、第三十二条の規定により懲戒の処分をしたときは、その旨を官報をもって公告しなければならない。
第六章 弁理士法人
(設立等)
第三十七条弁理士は、この章の定めるところにより、弁理士法人を設立することができる。
第一条及び第三条の規定は、弁理士法人について準用する。
(名称)
第三十八条弁理士法人は、その名称中に弁理士法人という文字を使用しなければならない。
(社員の資格)
第三十九条弁理士法人の社員は、弁理士でなければならない。
次に掲げる者は、社員となることができない。
第三十二条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
第五十四条の規定により弁理士法人が解散又は業務の停止を命ぜられた場合において、その処分の日以前三十日内にその社員であった者でその処分の日から三年(業務の停止を命ぜられた場合にあっては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの
(業務の範囲)
第四十条弁理士法人は、第四条第一項の業務を行うほか、定款で定めるところにより、同条第二項及び第三項の業務の全部又は一部を行うことができる。
第四十一条前条に規定するもののほか、弁理士法人は、第五条から第六条の二までの規定により弁理士が処理することができる事務を当該弁理士法人の社員又は使用人である弁理士(第六条の二に規定する事務に関しては、特定侵害訴訟代理業務の付記を受けた弁理士に限る。以下「社員等」という。)に行わせる事務の委託を受けることができる。この場合において、当該弁理士法人は、委託者に、当該弁理士法人の社員等のうちからその補佐人又は訴訟代理人を選任させなければならない。
(登記)
第四十二条弁理士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(設立の手続)
第四十三条弁理士法人を設立するには、その社員になろうとする弁理士が、定款を定めなければならない。
定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。
目的
名称
事務所の所在地
社員の氏名及び住所
社員の出資に関する事項
業務の執行に関する事項
会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項の規定は、弁理士法人の定款について準用する。
(成立の時期)
第四十四条弁理士法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(成立の届出)
第四十五条弁理士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(業務を執行する権限)
第四十六条弁理士法人の社員は、全て業務を執行する権利を有し、義務を負う。
(定款の変更)
第四十七条弁理士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる。
弁理士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
(法人の代表)
第四十七条の二弁理士法人の社員は、各自弁理士法人を代表する。
前項の規定は、定款又は総社員の同意によって、社員のうち特に弁理士法人を代表すべき社員を定めることを妨げない。
弁理士法人を代表する社員は、弁理士法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
弁理士法人を代表する社員は、定款によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
(指定社員)
第四十七条の三弁理士法人は、特定の事件について、一人又は数人の業務を担当する社員を指定することができる。
前項の規定による指定がされた事件(以下「指定事件」という。)については、指定を受けた社員(以下「指定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
指定事件については、前条の規定にかかわらず、指定社員のみが弁理士法人を代表する。
弁理士法人は、第一項の規定による指定をしたときは、指定事件の依頼者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
依頼者は、その依頼に係る事件について、弁理士法人に対して、相当の期間を定め、その期間内に第一項の規定による指定をするかどうかを明らかにすることを求めることができる。この場合において、弁理士法人が、その期間内に前項の規定による通知をしないときは、弁理士法人はその後において、指定をすることができない。ただし、依頼者の同意を得て指定をすることを妨げない。
指定事件について、当該事件に係る業務の結了前に指定社員が欠けたときは、弁理士法人は、新たな指定をしなければならない。その指定がされなかったときは、全社員を指定したものとみなす。
社員が一人の弁理士法人が、事件の依頼を受けたときは、その社員を指定したものとみなす。
(社員の責任)
第四十七条の四弁理士法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯してその弁済の責めに任ずる。
弁理士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかったときも、前項と同様とする。
前項の規定は、社員が弁理士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。
前条第一項の規定による指定がされ、同条第四項の規定による通知がされている場合(同条第六項の規定により指定したものとみなされる場合を含む。次項及び第六項において同じ。)において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなった弁理士法人の債務をその弁理士法人の財産をもって完済することができないときは、第一項の規定にかかわらず、指定社員(指定社員であった者を含む。以下この条において同じ。)が、連帯してその弁済の責めに任ずる。ただし、脱退した指定社員が脱退後の事由により生じた債務であることを証明した場合は、この限りでない。
前条第一項の規定による指定がされ、同条第四項の規定による通知がされている場合において、指定事件に関し依頼者に生じた債権に基づく弁理士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかったときは、指定社員が、弁理士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合を除き、前項と同様とする。
前条第一項の規定による指定がされ、同条第四項の規定による通知がされている場合において、指定を受けていない社員が指定の前後を問わず指定事件に係る業務に関与したときは、当該社員は、その関与に当たり注意を怠らなかったことを証明した場合を除き、指定社員が前二項の規定により負う責任と同一の責任を負う。弁理士法人を脱退した後も同様とする。
会社法第六百十二条の規定は、弁理士法人の社員の脱退について準用する。ただし、第四項の場合において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなった弁理士法人の債務については、この限りでない。
(社員であると誤認させる行為をした者の責任)
第四十七条の五社員でない者が自己を社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて弁理士法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任を負う。
(特定の事件についての業務の制限)
第四十八条弁理士法人は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行ってはならない。ただし、第三号に規定する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
第三項各号に掲げる事件として弁理士法人の社員の半数以上の者が関与してはならない事件
弁理士法人の社員等は、前項各号に掲げる事件については、自己又は第三者のためにその業務を行ってはならない。
弁理士法人の社員等は、当該弁理士法人が行う業務であって、次の各号のいずれかに該当する事件に係るものには関与してはならない。
社員等が当該弁理士法人の社員等となる前に相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
社員等が当該弁理士法人の社員等となる前に相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
社員等が公務員として職務上取り扱った事件
社員等が仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件
社員等が当該弁理士法人の社員等となる前に他の弁理士法人の社員等としてその業務に従事していた期間内に、その弁理士法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であって、自らこれに関与したもの
社員等が当該弁理士法人の社員等となる前に他の弁理士法人の社員等としてその業務に従事していた期間内に、その弁理士法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであって、自らこれに関与したもの
(業務の執行方法)
第四十九条弁理士法人は、弁理士でない者にその業務を行わせてはならない。
(弁理士の義務に関する規定の準用)
第五十条第二十九条及び第三十一条の三の規定は、弁理士法人について準用する。
(法定脱退)
第五十一条弁理士法人の社員は、次に掲げる理由によって脱退する。
弁理士の登録の抹消
定款に定める理由の発生
総社員の同意
除名
(解散)
第五十二条弁理士法人は、次に掲げる理由によって解散する。
定款に定める理由の発生
総社員の同意
他の弁理士法人との合併
破産手続開始の決定
解散を命ずる裁判
第五十四条の規定による解散の命令
社員の欠乏
弁理士法人は、前項第三号及び第六号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(弁理士法人の継続)
第五十二条の二弁理士法人の清算人は、社員の死亡により前条第一項第七号に該当するに至った場合に限り、当該社員の相続人(第五十五条第二項において準用する会社法第六百七十五条において準用する同法第六百八条第五項の規定により社員の権利を行使する者が定められている場合には、その者)の同意を得て、新たに社員を加入させて弁理士法人を継続することができる。
(裁判所による監督)
第五十二条の三弁理士法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
弁理士法人の解散及び清算を監督する裁判所は、経済産業大臣に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。
経済産業大臣は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。
(清算結了の届出)
第五十二条の四清算が結了したときは、清算人は、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(解散及び清算の監督に関する事件の管轄)
第五十二条の五弁理士法人の解散及び清算の監督に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
(検査役の選任)
第五十二条の六裁判所は、弁理士法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
前項の検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
裁判所は、第一項の検査役を選任した場合には、弁理士法人が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該弁理士法人及び検査役の陳述を聴かなければならない。
(合併)
第五十三条弁理士法人は、総社員の同意があるときは、他の弁理士法人と合併することができる。
合併は、合併後存続する弁理士法人又は合併により設立する弁理士法人が、その主たる事務所の所在地において登記することによって、その効力を生ずる。
弁理士法人は、合併したときは、合併の日から二週間以内に、登記事項証明書(合併により設立する弁理士法人にあっては、登記事項証明書及び定款)を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
合併後存続する弁理士法人又は合併により設立する弁理士法人は、当該合併により消滅する弁理士法人の権利義務を承継する。
(債権者の異議等)
第五十三条の二合併をする弁理士法人の債権者は、当該弁理士法人に対し、合併について異議を述べることができる。
合併をする弁理士法人は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一月を下ることができない。
合併をする旨
合併により消滅する弁理士法人及び合併後存続する弁理士法人又は合併により設立する弁理士法人の名称及び主たる事務所の所在地
債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
前項の規定にかかわらず、合併をする弁理士法人が同項の規定による公告を、官報のほか、第六項において準用する会社法第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。
債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、合併をする弁理士法人は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該合併をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
会社法第九百三十九条第一項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)及び第三項、第九百四十条第一項(第三号に係る部分に限る。)及び第三項、第九百四十一条、第九百四十六条、第九百四十七条、第九百五十一条第二項、第九百五十三条並びに第九百五十五条の規定は、弁理士法人が第二項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、同法第九百三十九条第一項及び第三項中「公告方法」とあるのは「合併の公告の方法」と、同法第九百四十六条第三項中「商号」とあるのは「名称」と読み替えるものとする。
(合併の無効の訴え)
第五十三条の三会社法第八百二十八条第一項(第七号及び第八号に係る部分に限る。)及び第二項(第七号及び第八号に係る部分に限る。)、第八百三十四条(第七号及び第八号に係る部分に限る。)、第八百三十五条第一項、第八百三十六条第二項及び第三項、第八百三十七条から第八百三十九条まで、第八百四十三条(第一項第三号及び第四号並びに第二項ただし書を除く。)並びに第八百四十六条の規定は弁理士法人の合併の無効の訴えについて、同法第八百六十八条第六項、第八百七十条第二項(第六号に係る部分に限る。)、第八百七十条の二、第八百七十一条本文、第八百七十二条(第五号に係る部分に限る。)、第八百七十二条の二、第八百七十三条本文、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定はこの条において準用する同法第八百四十三条第四項の申立てについて、それぞれ準用する。
(違法行為等についての処分)
第五十四条経済産業大臣は、弁理士法人がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるときは、その弁理士法人に対し、戒告し、若しくは二年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができる。
第三十三条、第三十四条及び第三十六条の規定は、前項の処分について準用する。
第一項の規定は、同項の規定により弁理士法人を処分する場合において、当該弁理士法人の社員等につき第三十二条に該当する事実があるときは、その社員等である弁理士に対し、懲戒の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。
第五十五条一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条並びに会社法第六百条、第六百十四条から第六百十九条まで、第六百二十一条及び第六百二十二条の規定は弁理士法人について、同法第五百八十一条、第五百八十二条、第五百八十五条第一項及び第四項、第五百八十六条、第五百九十三条から第五百九十六条まで、第六百一条、第六百五条、第六百六条、第六百九条第一項及び第二項、第六百十一条(第一項ただし書を除く。)並びに第六百十三条の規定は弁理士法人の社員について、同法第八百五十九条から第八百六十二条までの規定は弁理士法人の社員の除名並びに業務を執行する権利及び代表権の消滅の訴えについて、それぞれ準用する。この場合において、同法第六百十三条中「商号」とあるのは「名称」と、同法第六百十五条第一項、第六百十七条第一項及び第二項並びに第六百十八条第一項第二号中「法務省令」とあるのは「経済産業省令」と、同法第六百十七条第三項中「電磁的記録」とあるのは「電磁的記録(弁理士法第七十五条に規定する電磁的記録をいう。次条第一項第二号において同じ。)」と読み替えるものとする。
会社法第六百四十四条(第三号を除く。)、第六百四十五条から第六百四十九条まで、第六百五十条第一項及び第二項、第六百五十一条第一項及び第二項(同法第五百九十四条の準用に係る部分を除く。)、第六百五十二条、第六百五十三条、第六百五十五条から第六百五十九条まで、第六百六十二条から第六百六十四条まで、第六百六十六条から第六百七十三条まで、第六百七十五条、第八百六十三条、第八百六十四条、第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)、第八百七十一条、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)、第八百七十四条(第一号及び第四号に係る部分に限る。)、第八百七十五条並びに第八百七十六条の規定は、弁理士法人の解散及び清算について準用する。この場合において、同法第六百四十四条第一号中「第六百四十一条第五号」とあるのは「弁理士法第五十二条第一項第三号」と、同法第六百四十七条第三項中「第六百四十一条第四号又は第七号」とあるのは「弁理士法第五十二条第一項第五号若しくは第六号又は第二項」と、同法第六百五十八条第一項及び第六百六十九条中「法務省令」とあるのは「経済産業省令」と、同法第六百六十八条第一項及び第六百六十九条中「第六百四十一条第一号から第三号まで」とあるのは「弁理士法第五十二条第一項第一号又は第二号」と、同法第六百七十条第三項中「第九百三十九条第一項」とあるのは「弁理士法第五十三条の二第六項において準用する第九百三十九条第一項」と、同法第六百七十三条第一項中「第五百八十条」とあるのは「弁理士法第四十七条の四」と読み替えるものとする。
会社法第八百二十四条、第八百二十六条、第八百六十八条第一項、第八百七十条第一項(第十号に係る部分に限る。)、第八百七十一条本文、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)、第八百七十三条本文、第八百七十五条、第八百七十六条、第九百四条及び第九百三十七条第一項(第三号ロに係る部分に限る。)の規定は弁理士法人の解散の命令について、同法第八百二十五条、第八百六十八条第一項、第八百七十条第一項(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十一条、第八百七十二条(第一号及び第四号に係る部分に限る。)、第八百七十三条、第八百七十四条(第二号及び第三号に係る部分に限る。)、第八百七十五条、第八百七十六条、第九百五条及び第九百六条の規定はこの項において準用する同法第八百二十四条第一項の申立てがあった場合における弁理士法人の財産の保全について、それぞれ準用する。
会社法第八百二十八条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号に係る部分に限る。)、第八百三十四条(第一号に係る部分に限る。)、第八百三十五条第一項、第八百三十七条から第八百三十九条まで並びに第八百四十六条の規定は、弁理士法人の設立の無効の訴えについて準用する。
会社法第八百三十三条第二項、第八百三十四条(第二十一号に係る部分に限る。)、第八百三十五条第一項、第八百三十七条、第八百三十八条、第八百四十六条及び第九百三十七条第一項(第一号リに係る部分に限る。)の規定は、弁理士法人の解散の訴えについて準用する。
破産法(平成十六年法律第七十五号)第十六条の規定の適用については、弁理士法人は、合名会社とみなす。
第七章 日本弁理士会
(設立、目的及び法人格)
第五十六条弁理士は、この法律の定めるところにより、全国を通じて一個の日本弁理士会(以下この章において「弁理士会」という。)を設立しなければならない。
弁理士会は、弁理士及び弁理士法人の使命及び職責に鑑み、その品位を保持し、弁理士及び弁理士法人の業務の改善進歩を図るため、会員の指導、連絡及び監督に関する事務を行い、並びに弁理士の登録に関する事務を行うことを目的とする。
弁理士会は、法人とする。
(会則)
第五十七条弁理士会は、会則を定め、これに次に掲げる事項を記載しなければならない。
名称及び事務所の所在地
入会及び退会に関する規定
会員の種別及びその権利義務に関する規定
役員に関する規定
会議に関する規定
支部に関する規定
弁理士の登録に関する規定
登録審査会に関する規定
会員の品位保持に関する規定
会員の研修に関する規定
十一実務修習に関する規定
十二会員の業務に関する紛議の調停に関する規定
十三弁理士会及び会員に関する情報の提供に関する規定
十四会費に関する規定
十五会計及び資産に関する規定
十六事務局に関する規定
十七その他弁理士会の目的を達成するために必要な規定
会則の制定又は変更(政令で定める重要な事項に係る変更に限る。)は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(支部)
第五十八条弁理士会は、その目的を達成するため必要があるときは、支部を設けることができる。
(登記)
第五十九条弁理士会は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(入会及び退会)
第六十条弁理士及び弁理士法人は、当然、弁理士会の会員となり、弁理士がその登録を抹消されたとき及び弁理士法人が解散したときは、当然、弁理士会を退会する。
(弁理士会の退会処分)
第六十一条弁理士会は、経済産業大臣の認可を受けて、弁理士会の秩序又は信用を害するおそれのある会員を退会させることができる。
(会則を守る義務)
第六十二条会員は、弁理士会の会則を守らなければならない。
(役員)
第六十三条弁理士会に、会長、副会長その他会則で定める役員を置く。
会長は、弁理士会を代表し、その会務を総理する。
副会長は、会長の定めるところにより、会長を補佐し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。
役員は、会則又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
(総会)
第六十四条弁理士会は、毎年、定期総会を開かなければならない。
弁理士会は、必要と認める場合には、臨時総会を開くことができる。
(総会の決議を必要とする事項)
第六十五条弁理士会の会則の変更、予算及び決算は、総会の決議を経なければならない。
(総会の決議等の報告)
第六十六条弁理士会は、総会の決議並びに役員の就任及び退任を特許庁長官に報告しなければならない。
(紛議の調停)
第六十七条弁理士会は、会員の業務に関する紛議について、会員又は当事者その他関係人の請求により調停をすることができる。
(建議及び答申)
第六十八条弁理士会は、弁理士に係る業務又は制度について、経済産業大臣又は特許庁長官に建議し、又はその諮問に答申することができる。
(懲戒事由に該当する事実の報告)
第六十九条弁理士会は、その会員に第三十二条又は第五十四条の規定に該当する事実があると認めたときは、経済産業大臣に対し、その事実を報告するものとする。
第三十三条第二項の規定は、前項の報告があった場合について準用する。
(登録審査会)
第七十条弁理士会に、登録審査会を置く。
登録審査会は、弁理士会の請求により、第十九条第一項の規定による登録の拒否、第二十三条第一項の規定による登録の取消し又は第二十五条第一項の規定による登録の抹消について必要な審査を行うものとする。
登録審査会は、会長及び委員四人をもって組織する。
会長は、弁理士会の会長をもってこれに充てる。
委員は、会長が、経済産業大臣の承認を受けて、弁理士、弁理士に係る行政事務に従事する経済産業省の職員及び学識経験者のうちから委嘱する。
委員の任期は、二年とする。ただし、欠員が生じた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
前各項に規定するもののほか、登録審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
(報告及び検査)
第七十一条経済産業大臣は、弁理士会の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、弁理士会に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又は当該職員に弁理士会の事務所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(総会の決議の取消し)
第七十二条経済産業大臣は、弁理士会の総会の決議が法令又は弁理士会の会則に違反し、その他公益を害するときは、総会の決議の取消しを命ずることができる。
第七十三条一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四条及び第七十八条の規定は、弁理士会について準用する。
(経済産業省令への委任)
第七十四条この法律に定めるもののほか、弁理士会に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。
第八章 雑則
(弁理士又は弁理士法人でない者の業務の制限)
第七十五条弁理士又は弁理士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、特許、実用新案、意匠若しくは商標若しくは国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続若しくは特許、実用新案、意匠若しくは商標に関する行政不服審査法の規定による審査請求若しくは裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理(特許料の納付手続についての代理、特許原簿への登録の申請手続についての代理その他の政令で定めるものを除く。)又はこれらの手続に係る事項に関する鑑定若しくは政令で定める書類若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成を業とすることができない。
(名称の使用制限)
第七十六条弁理士又は弁理士法人でない者は、弁理士若しくは特許事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
弁理士法人でない者は、弁理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
日本弁理士会でない団体は、日本弁理士会又はこれに類似する名称を用いてはならない。
(弁理士の使用人等の秘密を守る義務)
第七十七条弁理士若しくは弁理士法人の使用人その他の従業者又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、第四条から第六条の二までの業務を補助したことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(弁理士に関する情報の公表)
第七十七条の二経済産業大臣及び日本弁理士会は、それぞれの保有する弁理士に関する情報のうち、弁理士に事務を依頼しようとする者がその選択を適切に行うために特に必要なものとして弁理士の個人情報の保護の必要性を考慮して経済産業省令で定めるものについて、公表するものとする。
前項の公表の方法及び手続については、経済産業省令で定める。
弁理士は、弁理士に事務を依頼しようとする者に対し、その適切な選択に資する情報を提供するよう努めなければならない。
第九章 罰則
第七十八条弁理士となる資格を有しない者が、日本弁理士会に対し、その資格につき虚偽の申請をして弁理士登録簿に登録させたときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第七十九条次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十一条の三(第五十条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
第三十二条又は第五十四条第一項の規定による業務の停止の処分に違反した者
第七十五条の規定に違反した者
第八十条第十六条の五第一項、第三十条又は第七十七条の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
第八十条の二第十六条の十二第二項の規定による実務修習事務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定修習機関の役員又は職員は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第八十一条次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
第七十一条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第七十六条の規定に違反した者
第八十一条の二第五十三条の二第六項において準用する会社法第九百五十五条第一項の規定に違反して、同項に規定する調査記録簿等に同項に規定する電子公告調査に関し法務省令で定めるものを記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、又は当該調査記録簿等を保存しなかった者は、三十万円以下の罰金に処する。
第八十一条の三次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定修習機関の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
第十六条の八の規定に違反して帳簿を備え置かず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
第十六条の十第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第十六条の十一第一項の許可を受けないで、実務修習事務の全部を廃止したとき。
第八十二条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第七十九条第一号(第五十条において準用する第三十一条の三に係る部分に限る。)、第二号(第五十四条第一項に係る部分に限る。)若しくは第三号、第八十一条又は第八十一条の二の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
第八十三条第三十四条の規定(第五十四条第二項において準用する場合を含む。)による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は帳簿書類その他の物件の提出をしなかった者は、三十万円以下の過料に処する。
第八十四条次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の過料に処する。
第五十三条の二第六項において準用する会社法第九百四十六条第三項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
正当な理由がないのに、第五十三条の二第六項において準用する会社法第九百五十一条第二項各号又は第九百五十五条第二項各号に掲げる請求を拒んだ者
第八十五条次の各号のいずれかに該当する場合には、弁理士法人の社員若しくは清算人又は日本弁理士会の役員は、三十万円以下の過料に処する。
この法律に基づく政令の規定に違反して登記をすることを怠ったとき。
第五十三条の二第二項又は第五項の規定に違反して合併をしたとき。
第五十三条の二第六項において準用する会社法第九百四十一条の規定に違反して同条の調査を求めなかったとき。
定款又は第五十五条第一項において準用する会社法第六百十五条第一項の会計帳簿若しくは第五十五条第一項において準用する同法第六百十七条第一項若しくは第二項の貸借対照表に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
第五十五条第二項において準用する会社法第六百五十六条第一項の規定に違反して破産手続開始の申立てを怠ったとき。
第五十五条第二項において準用する会社法第六百六十四条の規定に違反して財産を分配したとき。
第五十五条第二項において準用する会社法第六百七十条第二項又は第五項の規定に違反して財産を処分したとき。