金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令(昭和二十八年大蔵省令第七十五号)
最終更新:平成二十二年内閣府令第一号
目次
履歴
  • 令和5年6月30日
    • 最終更新:令和三年内閣府令第七十二号
    • 翻訳日:令和5年4月4日
    • 辞書バージョン:15.0
  • 平成29年3月15日
    • 最終更新:平成二十四年内閣府令第六十三号
    • 翻訳日:平成28年3月31日
    • 辞書バージョン:10.0
  • 平成27年8月4日
    • 最終更新:平成二十二年内閣府令第一号
    • 翻訳日:平成22年12月15日
    • 辞書バージョン:5.0

金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令
昭和二十八年八月二十七日大蔵省令第七十五号
証券取引法第四十九条の規定に基き、証券取引法第四十九条に規定する取引及びその保証金に関する省令を次のように定める。
(定義)
第一条この府令において「信用取引」とは、金融商品取引業者(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号。以下「法」という。)第二条第九項に規定する金融商品取引業者をいう。以下同じ。)が顧客(金融商品取引業者が顧客である場合における金融商品取引業者を含む。以下同じ。)に信用を供与して行う有価証券の売買その他の取引をいう。
この府令において「発行日取引」とは、金融商品取引業者が顧客のために行う未発行の有価証券の売買その他の取引であつて、当該有価証券の発行日(当該有価証券を引換えに取得することができる証書が作成された場合には、当該証書の最初の作成の日。以下同じ。)から一定の日を経過した日までに当該有価証券又は当該証書をもつて受渡しをするものをいう。
この府令において「未決済勘定」とは、信用取引について顧客が金融商品取引業者から供与された信用に係る債務をいう。
この府令において「対当売買」とは、発行日取引による買付けに係る有価証券の受渡しの終了前において、当該有価証券と同一銘柄の対当する数量の有価証券を売付けし、又は発行日取引による売付けに係る有価証券の受渡しの前において、当該有価証券と同一銘柄の対当する数量の有価証券を買付けする売買をいう。
(有価証券の時価に乗ずべき率等)
第二条法第百六十一条の二第一項に規定する取引及び同項の規定により当該取引に係る有価証券の時価に乗ずべき率は、次の各号に掲げる取引及び率とする。
信用取引百分の三十
発行日取引百分の三十
前項第一号に掲げる信用取引に係る有価証券の時価に乗ずべき率の規定は、信用取引が株券に係る法第二条第二十一項第三号に掲げる取引に係る権利行使によるものであり、当該信用取引を当該株券と同一銘柄の対当する数量の反対売買により決済するもの(受渡日が当該信用取引と同一日となる場合に限る。)である場合における当該信用取引については、これを適用しない。
第一項第二号に掲げる発行日取引に係る有価証券の時価に乗ずべき率の規定は、発行日取引が対当売買又は有価証券等清算取次ぎによるものである場合における当該発行日取引については、これを適用しない。
(保証金の額)
第三条金融商品取引業者が法第百六十一条の二第一項の規定により前条第一項各号に掲げる取引について顧客から預託を受けるべき金銭(以下「保証金」という。)の額は、当該取引に係る有価証券の約定価額に当該各号に掲げる率を乗じた額(以下「通常の最低限度額」という。)を下らない額とする。ただし、信用取引に係る保証金については、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該各号に掲げる額を下らない額とする。
その預託を受ける際当該金融商品取引業者に当該顧客の信用取引に係る受入保証金(現に受け入れている保証金をいう。以下同じ。)がない場合において、その預託を受けるべき信用取引に係る通常の最低限度額が三十万円に満たないときは、三十万円
その預託を受ける際当該金融商品取引業者に当該顧客の信用取引に係る受入保証金がある場合において、その預託を受けるべき信用取引に係る通常の最低限度額と当該受入保証金の総額との合計額が三十万円に満たないときは、当該合計額と三十万円との差額に相当する額をその預託を受けるべき信用取引に係る通常の最低限度額に加算した額
(保証金の預託)
第四条金融商品取引業者は、その顧客のために信用取引又は発行日取引を行つたときは、その行つた日から起算して三日(休業日があるときは、その日数を加算した日数。)以内に、当該顧客から当該取引に係る保証金の預託を受けなければならない。
(預託を受ける場合の保証金の計算)
第五条金融商品取引業者が、前条の規定により顧客から保証金として預託を受ける金銭の額については、信用取引について、当該顧客に対し当該信用取引に係る有価証券の約定価額に相当する額の信用供与以外に信用を供与したときは、その信用供与額、発行日取引について当該顧客に対し信用を供与したときは、その信用供与額を控除して、計算するものとする。
(保証金代用有価証券)
第六条金融商品取引業者がその預託を受けるべき保証金の全部又は一部が法第百六十一条の二第二項の規定により有価証券をもつて代用される場合におけるその代用価格(以下「代用価格」という。)は、預託する日の前日の時価(取引所金融商品市場(法第二条第十七項に規定する取引所金融商品市場をいう。以下この項において同じ。)においては金融商品取引所(同条第十六項に規定する金融商品取引所をいう。以下この項において同じ。)が法第百四十九条第一項の規定に基づき金融庁長官の認可を得て定める時価、店頭売買有価証券市場(法第六十七条第二項に規定する店頭売買有価証券市場をいう。以下この項において同じ。)においては法第六十七条の十一第一項の規定により登録する認可金融商品取引業協会(法第二条第十三項に規定する認可金融商品取引業協会をいう。以下この項において同じ。)が法第六十七条の十二の規定に基づき金融庁長官の認可を得て定める時価をいう。以下同じ。)に株券については百分の八十、その他の有価証券については金融庁長官の認可を得て定める率(取引所金融商品市場においては金融商品取引所が法第八十五条の二第一項の規定に基づき金融庁長官の認可を得て定める率、店頭売買有価証券市場においては法第六十七条の十一第一項の規定により登録する認可金融商品取引業協会が法第六十七条の十二の規定に基づき金融庁長官の認可を得て定める率)を乗じた額を超えない額とする。
金融商品取引業者は、その預託を受けるべき保証金の全部又は一部が法第百六十一条の二第二項の規定により社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第一項に規定する社債等で同条第二項に規定する振替機関が取り扱うもの(以下この項において「振替社債等」という。)をもつて代用される場合であつて、当該金融商品取引業者の口座における保有欄(同法に規定する保有欄をいう。)に当該振替社債等に係る記載又は記録を受けるときは、当該金融商品取引業者の取引のための欄と区分しなければならない。
(保証金の引出等)
第七条金融商品取引業者は、信用取引又は発行日取引について顧客から保証金として預託を受けた金銭又は有価証券については、その未決済勘定の決済前又はその発行日取引に係る有価証券の受渡終了前においては、これを引き出させ又は第四条の規定により新たに保証金として預託を受けるべき金銭の額に充当してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合において当該各号に掲げる額を超えない額に相当する金銭又は有価証券については、この限りでない。
引き出させ又は充当する際における当該顧客の信用取引に係る受入保証金の総額が、当該顧客の信用取引(当該受入保証金に係るものに限る。次条第一項第一号及び第三号、第二項並びに第三項において同じ。)に係る一切の有価証券の約定価額に百分の三十を乗じた額(引き出させる場合において、その額が三十万円に満たないときは、三十万円)を超えている場合には、その超過額(充当する場合において、当該超過額が、当該受入保証金の総額に新たに保証金として預託を受けるべき金銭の額を加算した額と三十万円との差額に相当する額を超えるときは、その超える部分の額を控除した額。以下この号及び次号において同じ。)に相当する金銭又はその超過額を前条に規定する率をもつて除した額に相当する有価証券
充当する際における当該顧客の信用取引に係る受入保証金の総額が、当該顧客の信用取引(当該受入保証金に係るものに限る。)に係る一切の有価証券の約定価額から反対売買を行つた有価証券の約定価額(信用取引を行つた日に反対売買を行い、同日に他の信用取引を行つた場合における当該反対売買を行つた有価証券の約定価額を除く。)を控除した額に百分の三十を乗じた額を超えている場合には、その超過額に相当する金銭又はその超過額を前条に規定する率をもつて除した額に相当する有価証券
未決済勘定の一部を決済するために引き出させる際における当該顧客の信用取引に係る受入保証金の総額が、当該顧客の信用取引(当該受入保証金に係るものに限る。)に係る一切の有価証券の約定価額から決済する未決済勘定に係る信用取引の有価証券の約定価額を控除した額に百分の三十を乗じた額(その額が三十万円に満たないときは、三十万円)を超えている場合には、その超過額に相当する金銭又はその超過額を前条に規定する率をもつて除した額に相当する有価証券
決済(反対売買による決済を除く。)する未決済勘定に係る信用取引により買い付けた有価証券又は売り付けた有価証券の売付代金の全部を保証金として預託させることを条件として当該決済をするために引き出させる場合には、第四条の規定により顧客から預託を受けた一切の保証金の額に相当する金銭又は有価証券(当該預託後における受入保証金の総額が当該顧客の信用取引(当該受入保証金に係るものに限る。)に係る有価証券の約定価額に百分の三十を乗じた額(その額が三十万円に満たないときは、三十万円)以上となる場合に限る。)
未決済勘定の全部を決済するために引き出させる場合には、第四条の規定により顧客から預託を受けた一切の保証金の額に相当する金銭又は有価証券
信用取引により売り付けた有価証券が権利落ちし、当該権利落ちに伴い顧客が負担することとなつた額を支払わせるために引き出させる際における当該顧客の信用取引に係る受入保証金の総額が、当該顧客の信用取引(当該受入保証金に係るものに限る。)に係る一切の有価証券の約定価額に百分の三十を乗じた額(その額が三十万円に満たないときは、三十万円)を超えている場合には、その超過額に相当する金銭
引き出させ又は充当する際における当該顧客の発行日取引に係る受入保証金の総額が、当該顧客の発行日取引(当該受入保証金に係るものに限る。次条第一項第二号及び第三号、第二項並びに第三項において同じ。)に係る一切の有価証券(対当売買があるときは、当該対当売買に対当する売買及び当該対当売買に係る有価証券を除く。次号において同じ。)の約定価額に百分の三十を乗じた額を超えている場合には、その超過額に相当する金銭又はその超過額を前条に規定する率をもつて除した額に相当する有価証券
発行日取引に係る有価証券の一部の受渡しをするために引き出させる際における当該顧客の発行日取引に係る受入保証金の総額が、当該顧客の発行日取引(当該受入保証金に係るものに限る。)に係る一切の有価証券の約定価額から受渡しをする発行日取引に係る有価証券の約定価額を控除した額に百分の三十を乗じた額を超えている場合には、その超過額に相当する金銭又はその超過額を前条に規定する率をもつて除した額に相当する有価証券
受渡しをする発行日取引により買い付けた有価証券又は売り付けた有価証券に係る売付代金の全部を保証金として預託させることを条件として当該受渡しをするために引き出させる場合には、第四条の規定により顧客から預託を受けた一切の保証金の額に相当する金銭又は有価証券(当該預託後における受入保証金の総額が当該顧客の発行日取引に係る有価証券の約定価額に百分の三十を乗じた額以上となる場合に限る。)
発行日取引に係る有価証券の全部の受渡しをするために引き出させる場合には、第四条の規定により顧客から預託を受けた一切の保証金の額に相当する金銭又は有価証券
十一当該顧客が当該信用取引又は発行日取引に係る保証金として預託している金銭又は有価証券の全部又は一部についてその差換えをなす場合には、当該金銭又は有価証券に相当する額の金銭又は有価証券
前項第一号から第四号まで及び第六号並びに次条第三項の約定価額は、信用取引に係る一切の有価証券のうち権利落ち後の有価証券があり、権利の価額を当該有価証券の売付代金又は買付代金から控除することにより未決済勘定の決済を行う場合(前項第一号(充当する際に限り、当該権利落ちに伴い顧客が有価証券を引き受ける場合を除く。)及び第二号(当該権利落ちに伴い顧客が有価証券を引き受ける場合を除く。)並びに次条第三項の約定価額は、顧客が金融商品取引業者と当該決済を行うことを約している場合を含む。)には、権利の価額を控除した価額とする。
(受入保証金の総額の計算)
第八条第三条第二号並びに前条第一項第一号から第四号まで及び第六号に規定する受入保証金の総額又は同項第七号から第九号までに規定する受入保証金の総額については、次に掲げる額のうち信用取引に係るもの又は発行日取引に係るものをそれぞれ差し引いて、計算するものとする。ただし、同項第三号又は第八号に規定する受入保証金の総額については、決済する未決済勘定に係る信用取引の第一号に掲げる額又は受渡しをする発行日取引の第二号に掲げる額を差し引かないものとする。
当該顧客の信用取引に係る有価証券の相場の変動に基づく損失からその利益を差し引いて計算した計算上の損失額に相当する額、反対売買による損失額及び委託手数料、借入金に対する利子、借入有価証券に対する品借料その他のものであつて、当該顧客の信用取引について顧客の負担すべきものの合計額(前条第一項第六号に規定する受入保証金の総額について計算する場合は、売り付けた有価証券が権利落ちしたことに伴い顧客が負担することとなつた額を除く。)に相当する額
当該顧客の発行日取引に係る有価証券の相場の変動に基づく損失及び対当売買による損失から当該顧客の発行日取引に係る有価証券の相場の変動に基づく利益及び対当売買による利益を差し引いて計算した計算上の損失額に相当する額並びに委託手数料その他のものであつて、当該顧客の発行日取引について顧客の負担すべきものの合計額に相当する額
当該顧客の信用取引について、当該顧客に対し当該信用取引に係る有価証券の約定価額に相当する額の信用供与以外に信用を供与している場合におけるその信用供与額に相当する額又は当該顧客の発行日取引について当該顧客に対し信用を供与している場合におけるその信用供与額に相当する額
当該顧客の未決済勘定の決済後又は当該発行日取引に係る有価証券の受渡しの終了後において、なお当該顧客の当該金融商品取引業者に対する債務が残存している場合(当該債務が借入金その他の債務として当該金融商品取引業者との間で新たな債権債務関係となつたものを含む。)における当該残存額に相当する額
前項に規定する受入保証金の総額の計算については、当該顧客の信用取引又は発行日取引に係る保証金の全部又は一部が有価証券をもつて代用されている場合におけるその代用価格は、第六条の規定にかかわらず、計算する日の前日の当該有価証券の時価に同条に規定する率を乗じた額によるものとする。
第一項の当該顧客の信用取引又は発行日取引に係る有価証券の相場の変動に基づく損益は、当該有価証券の約定価額と計算する日の前日の時価(前日の時価がないときは、その直近の日の時価)により評価した価額との差損益とする。
(利益計算額の引出の制限)
第九条金融商品取引業者は、その顧客の信用取引又は発行日取引に係る有価証券の相場の変動により利益計算となる額を生じた場合において、その利益計算となる額に相当する金銭又は有価証券を、当該顧客に対し交付し、又は第四条の規定により保証金として預託を受けるべき金銭の額に充当してはならない。
金融商品取引業者は、その顧客が対当売買を行つた場合において当該対当売買を行つたことにより利益計算となる額に相当する金銭又は有価証券を、当該顧客に対し当該売買及び当該対当売買の受渡しの終了前に交付し、又は第四条の規定により保証金として預託を受けるべき金銭の額に充当してはならない。
(信用取引を行うことを明示しない取引)
第十条金融商品取引業者は、顧客が信用取引を行うことを有価証券の売買の注文と同時に明示しない取引については、当該顧客が当該取引による買付け又は売付けに係る有価証券について、これと対当する有価証券の売付け又は買付けにより、これを決済する取引を行つてはならない。
前項の規定は、第二条第二項に規定する場合については、これを適用しない。