特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)
最終更新:平成二十五年法律第十号
目次
履歴
  • 令和5年10月4日
    • 最終更新:令和三年法律第二十七号
    • 翻訳日:令和5年3月31日
    • 辞書バージョン:14.0
  • 令和3年1月22日
    • 最終更新:平成二十五年法律第十号
    • 翻訳日:令和2年7月29日
    • 辞書バージョン:14.0
  • 平成25年7月22日
    • 最終更新:
    • 翻訳日:平成21年4月1日
    • 辞書バージョン:2.0

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
平成十三年十一月三十日法律第百三十七号
(趣旨)
第一条この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
(定義)
第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。)をいう。
特定電気通信役務提供者 特定電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう。
発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
(損害賠償責任の制限)
第三条特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(公職の候補者等に係る特例)
第三条の二前条第二項の場合のほか、特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報(選挙運動の期間中に頒布された文書図画に係る情報に限る。以下この条において同じ。)の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
特定電気通信による情報であって、選挙運動のために使用し、又は当選を得させないための活動に使用する文書図画(以下「特定文書図画」という。)に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等(公職の候補者又は候補者届出政党(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条第一項又は第八項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは衆議院名簿届出政党等(同法第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)若しくは参議院名簿届出政党等(同法第八十六条の三第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。)をいう。以下同じ。)から、当該名誉を侵害したとする情報(以下「名誉侵害情報」という。)、名誉が侵害された旨、名誉が侵害されたとする理由及び当該名誉侵害情報が特定文書図画に係るものである旨(以下「名誉侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報の送信を防止する措置(以下「名誉侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該名誉侵害情報の発信者に対し当該名誉侵害情報等を示して当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該名誉侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
特定電気通信による情報であって、特定文書図画に係るものの流通によって自己の名誉を侵害されたとする公職の候補者等から、名誉侵害情報等及び名誉侵害情報の発信者の電子メールアドレス等(公職選挙法第百四十二条の三第三項に規定する電子メールアドレス等をいう。以下同じ。)が同項又は同法第百四十二条の五第一項の規定に違反して表示されていない旨を示して当該特定電気通信役務提供者に対し名誉侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出があった場合であって、当該情報の発信者の電子メールアドレス等が当該情報に係る特定電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器(入出力装置を含む。)の映像面に正しく表示されていないとき。
(発信者情報の開示請求等)
第四条特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。
附 則
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。