特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(令和二年法律第七十九号)
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令和4年10月11日
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- 翻訳日:令和4年1月26日
- 辞書バージョン:14.0
特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律
令和二年十二月十一日法律第七十九号
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 特定第一種水産動植物等に関する規制(第三条―第十条)
第三章 特定第二種水産動植物等に関する規制(第十一条)
第四章 雑則(第十二条―第十四条)
第五章 罰則(第十五条―第十八条)
附 則
第一章 総則
(目的)
第一条この法律は、国内において違法に採捕された水産動植物の流通により国内水産資源の減少のおそれがあること及び海外において違法に採捕された水産動植物の輸入を規制する必要性が国際的に高まっていることに鑑み、違法に採捕された水産動植物の流通を防止するため、特定の水産動植物等について、取扱事業者間における情報の伝達並びに取引の記録の作成及び保存並びに適法に採捕されたものである旨を証する書類の輸出入に際する添付の義務付け等の措置を講ずることにより、当該水産動植物等の国内流通の適正化及び輸出入の適正化を図り、もって違法な漁業の抑止及び水産資源の持続的な利用に寄与するとともに、漁業及びその関連産業の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条この法律において「特定第一種水産動植物」とは、水産動植物のうち、国内において違法かつ過剰な採捕(外国漁船(日本船舶以外の船舶であって、漁ろう設備を有する船舶その他の漁業の用に供されているものをいう。第四項において同じ。)によるものを除く。)が行われるおそれが大きいと認められるものであって、その資源の保存及び管理を図ることが特に必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものをいう。
2この法律において「特定第一種水産動植物等」とは、特定第一種水産動植物及び特定第一種水産動植物を原材料とする加工品のうちその国内流通の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものをいう。
3この法律において「特定第一種水産動植物等取扱事業者」とは、特定第一種水産動植物等の販売、輸出、加工、製造又は提供の事業を行う者をいう。
4この法律において「特定第二種水産動植物」とは、我が国に輸入される水産動植物のうち、外国漁船によって外国法令に照らし違法な採捕が行われるおそれが大きいと認められることその他の国際的な水産資源の保存及び管理を必要とする事由により輸入の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものをいう。
5この法律において「特定第二種水産動植物等」とは、特定第二種水産動植物及び特定第二種水産動植物を原材料とする加工品のうちその輸入の規制に関する措置を講ずることが必要と認められるものとして農林水産省令で定めるものをいう。
6農林水産大臣は、第一項及び第四項の農林水産省令を定め、又はこれらを変更しようとするときは、あらかじめ、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
第二章 特定第一種水産動植物等に関する規制
(特定第一種水産動植物の採捕の事業を行う者の届出)
第三条特定第一種水産動植物の採捕の事業を行う者であって、自らが採捕した特定第一種水産動植物又はこれを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行おうとするもの(その所属する団体が当該者に代わってこれらの特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行う場合にあっては、当該団体)は、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、当該採捕の事業が漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)その他の関係法令の規定による特定第一種水産動植物を採捕する権限に基づき行われるものである旨その他の農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に届け出なければならない。
2農林水産大臣は、前項の規定による届出があった場合において、当該届出をした者が同項に規定する権限を有すると認めるとき(当該届出をした者が同項に規定する団体である場合にあっては、当該団体に所属する者が当該権限を有すると認めるとき)は、農林水産省令で定めるところにより、当該届出に係る番号を当該届出をした者に通知するものとする。
3前項の規定による通知を受けた者(以下「届出採捕者」という。)は、第一項の規定による届出に係る事項に変更(当該届出に係る特定第一種水産動植物の採捕の事業の廃止を含む。)があったときは、その日から二週間以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
(届出採捕者による情報の伝達)
第四条届出採捕者は、自ら(届出採捕者が前条第一項に規定する団体である場合にあっては、当該団体に所属する者)が採捕した特定第一種水産動植物又はこれを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等について他の特定第一種水産動植物等取扱事業者への譲渡しをするときは、農林水産省令で定めるところにより、その包装、容器又は送り状への表示その他の方法により、これらの特定第一種水産動植物等の名称、同条第二項の規定による通知に係る番号を含む漁獲に関する番号(以下「漁獲番号」という。)その他農林水産省令で定める事項を、当該他の特定第一種水産動植物等取扱事業者に伝達しなければならない。
(特定第一種水産動植物等取扱事業者間における情報の伝達)
第五条特定第一種水産動植物等取扱事業者は、他の特定第一種水産動植物等取扱事業者から譲り受けた特定第一種水産動植物等について他の特定第一種水産動植物等取扱事業者への譲渡し又は引渡しをするときは、農林水産省令で定めるところにより、その包装、容器又は送り状への表示その他の方法により、当該特定第一種水産動植物等の名称、漁獲番号その他農林水産省令で定める事項を、当該他の特定第一種水産動植物等取扱事業者に伝達しなければならない。
2前項の場合においては、特定第一種水産動植物等取扱事業者は、農林水産省令で定めるところにより、漁獲番号に代えて、荷口番号(漁獲番号以外の番号又は記号であって漁獲番号に対応するものをいう。以下同じ。)を伝達することができる。
3他の特定第一種水産動植物等取扱事業者から特定第一種水産動植物等の引渡しの委託を受けた特定第一種水産動植物等取扱事業者は、当該引渡しに当たって、前項の規定により荷口番号を伝達したときは、農林水産省令で定めるところにより、当該荷口番号を、当該委託をした特定第一種水産動植物等取扱事業者に伝達しなければならない。
4輸入され、若しくは養殖された特定第一種水産動植物(国内において採捕された特定第一種水産動植物を用いて養殖されたものを除く。)又はこれらを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等(以下「輸入・養殖水産動植物等」という。)についての第一項の規定の適用については、同項中「漁獲番号」とあるのは、「第四項に規定する輸入・養殖水産動植物等である旨」とする。
(取引の記録の作成及び保存)
第六条特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物等について他の特定第一種水産動植物等取扱事業者(これに準ずる者として農林水産省令で定めるものを含む。)との間での譲渡し等(譲渡し若しくは譲受け又は引渡し若しくは引受けをいう。以下同じ。)をしたとき、又は廃棄若しくは亡失をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、当該特定第一種水産動植物等に関する次に掲げる事項の記録を作成し、当該譲渡し等又は当該廃棄若しくは亡失をした日から農林水産省令で定める期間保存しなければならない。ただし、届出採捕者が第三条第一項に規定する団体である場合において当該団体に所属する者が当該届出に係る特定第一種水産動植物等の譲渡し等をした場合、少量の特定第一種水産動植物等について廃棄又は亡失をした場合その他の農林水産省令で定める場合は、この限りでない。
一名称
二重量又は数量
三譲渡し等又は廃棄若しくは亡失をした年月日(亡失をした場合であってその年月日が明らかでないときは、時期)
四譲渡し等をしたときは、相手方の氏名又は名称
五漁獲番号又は荷口番号
六その他農林水産省令で定める事項
2特定第一種水産動植物等取扱事業者は、前条第二項の規定により荷口番号を伝達する場合にあっては、当該荷口番号に対応する漁獲番号の記録を作成し、保存しなければならない。
3輸入・養殖水産動植物等についての第一項の規定の適用については、同項第五号中「漁獲番号又は荷口番号」とあるのは、「輸入・養殖水産動植物等である旨」とする。
(勧告及び命令)
第七条農林水産大臣は、届出採捕者が第四条の規定を遵守していないと認めるときは、当該届出採捕者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
2農林水産大臣は、特定第一種水産動植物等取扱事業者が前二条の規定を遵守していないと認めるときは、当該特定第一種水産動植物等取扱事業者に対し、必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
3農林水産大臣は、第一項に規定する勧告を受けた届出採捕者又は前項に規定する勧告を受けた特定第一種水産動植物等取扱事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該届出採捕者又は当該特定第一種水産動植物等取扱事業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(特定第一種水産動植物等取扱事業者の届出)
第八条特定第一種水産動植物等取扱事業者は、その事業の開始の日から二週間以内に、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を農林水産大臣に届け出なければならない。ただし、届出採捕者(届出採捕者が第三条第一項に規定する団体である場合にあっては、当該団体に所属する者を含む。)が当該届出に係る特定第一種水産動植物等の販売、輸出、加工、製造又は提供の事業を行う場合その他の農林水産省令で定める場合は、この限りでない。
一氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二事務所又は事業所の所在地
三取り扱う特定第一種水産動植物等の種類
四その他農林水産省令で定める事項
2前項の規定による届出をした者は、当該届出に係る事項に変更(当該届出に係る事業の廃止を含む。)があったときは、その日から二週間以内に、その旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
(特定第一種水産動植物等に係る通報)
第九条特定第一種水産動植物等取扱事業者は、他の特定第一種水産動植物等取扱事業者から譲り受けた特定第一種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第一種水産動植物)が漁業法その他の関係法令に違反して採捕された疑いがあると思料するときは、速やかに、その旨を農林水産大臣に通報するように努めなければならない。
(輸出の規制)
第十条特定第一種水産動植物等取扱事業者は、特定第一種水産動植物等につき、当該特定第一種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第一種水産動植物)が次の各号のいずれかに該当する旨を証する農林水産大臣が交付する証明書(以下「適法漁獲等証明書」という。)を添付してあるものでなければ、輸出してはならない。
一漁業法その他の関係法令に違反して採捕されたものではないこと。
二輸入・養殖水産動植物等であること。
2適法漁獲等証明書の交付を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に申請をしなければならない。
3農林水産大臣は、前項の申請に係る特定第一種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第一種水産動植物)が第一項各号のいずれかに該当すると認められるときは、農林水産省令で定めるところにより、適法漁獲等証明書を交付しなければならない。
4適法漁獲等証明書の交付を受けた者(次項及び第六項において「証明書受領者」という。)は、適法漁獲等証明書を亡失し、又は適法漁獲等証明書が滅失したときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣に申請をして、適法漁獲等証明書の再交付を受けることができる。
5証明書受領者は、次の各号のいずれかに該当することとなった場合は、農林水産省令で定めるところにより、その適法漁獲等証明書(第二号の場合にあっては、発見し、又は回復した適法漁獲等証明書)を、農林水産大臣に返納しなければならない。
一次項の規定により適法漁獲等証明書の効力が取り消されたとき。
二前項の規定により適法漁獲等証明書の再交付を受けた後において亡失し、又は滅失した適法漁獲等証明書を発見し、又は回復したとき。
6農林水産大臣は、証明書受領者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律に基づく処分に違反した場合には、その適法漁獲等証明書の効力を取り消すことができる。
第三章 特定第二種水産動植物等に関する規制
第十一条特定第二種水産動植物等は、当該特定第二種水産動植物等(加工品にあっては、その原材料である特定第二種水産動植物)が適法に採捕されたものであることを証する外国の政府機関により発行された証明書その他の農林水産省令で定める書類を添付してあるものでなければ、輸入してはならない。
第四章 雑則
(立入検査等)
第十二条農林水産大臣は、この法律の施行に必要な限度において、特定第一種水産動植物等取扱事業者若しくは特定第二種水産動植物等の輸入の事業を行う者若しくはこれらの者とその事業に関して関係のある事業者に対し、その業務に関し、必要な報告若しくは帳簿、書類その他の物件の提出を求め、又はその職員に、これらの者の工場、店舗、事務所、事業所、船舶、車両若しくは倉庫その他の場所に立ち入り、業務の状況若しくは特定第一種水産動植物等若しくは特定第二種水産動植物等、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは従業者その他の関係者に質問させることができる。
2前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(権限の委任等)
第十三条この法律に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その一部を地方支分部局の長に委任することができる。
2この法律に規定する農林水産大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
(経過措置)
第十四条この法律に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第五章 罰則
第十五条第十一条の規定に違反した場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第十六条次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一第三条第一項の規定による届出をしないで特定第一種水産動植物等の譲渡しを行い、又は虚偽の届出をしたとき。
二第七条第三項の規定による命令に違反したとき。
三第八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
四第十条第一項の規定に違反したとき。
五第十二条第一項の規定による報告若しくは物件の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第十七条第三条第三項又は第八条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出を行った場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第十八条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条並びに附則第三条、第六条及び第七条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条第二条第一項及び第四項の農林水産省令を定めようとするときは、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、水産政策審議会に諮問することができる。
第三条特定第一種水産動植物の採捕の事業を行う者であって、施行日以後において自らが採捕した特定第一種水産動植物又はこれを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行おうとするもの(その所属する団体が当該者に代わってこれらの特定第一種水産動植物等の譲渡しの事業を行う場合にあっては、当該団体)は、施行日の六月前の日から施行日の前日までの間においても、第三条第一項の規定の例により、農林水産大臣に届け出ることができる。この場合において、その届出をした者は、施行日において同項の規定による届出をしたものとみなす。
2農林水産大臣は、前項の規定による届出があった場合には、施行日前においても、第三条第二項の規定の例により、当該届出に係る番号を当該届出をした者に通知することができる。この場合において、その通知を受けた者は、施行日において同項の規定により通知を受けたものとみなす。
第四条第四条から第六条までの規定は、施行日以後に採捕される特定第一種水産動植物及びこれを原材料とする加工品である特定第一種水産動植物等について適用する。
第五条この法律の施行の際現に特定第一種水産動植物等の販売、輸出、加工、製造又は提供の事業を行っている者についての第八条第一項の規定の適用については、同項中「その事業の開始の日から二週間以内に」とあるのは、「この法律の施行の日から一月以内に」とする。
第六条適法漁獲等証明書の交付を受けようとする者は、施行日前においても、第十条第二項の規定の例により、その申請を行うことができる。
2農林水産大臣は、前項の申請があった場合には、施行日前においても、第十条第三項の規定の例により、適法漁獲等証明書の交付を行うことができる。この場合において、その交付を受けた者は、施行日において同項の規定により交付を受けたものとみなす。
(政令への委任)
第七条附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第八条政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(水産基本法の一部改正)
第九条水産基本法(平成十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
第三十六条第三項中「及び内水面漁業の振興に関する法律(平成二十六年法律第百三号)」を「、内水面漁業の振興に関する法律(平成二十六年法律第百三号)及び特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(令和二年法律第七十九号)」に改める。